断片日記

日々の断片と告知

誰も知らない

廃業すると教えてもらった銭湯へ行く。山手線で秋葉原まで、総武線に乗り換えて小岩でおりる。駅前や道の先に見覚えがある。ここは、ブックカフェをやっていた友人と、開業前に打ち合せと言いながら飲み歩いた町のひとつだ。駅前からあの路地を入った先の二…

酸っぱい

食堂の端っこには食べ終わった食器をさげる場所、返却口がある。 返却口の手前には水の流れる溝がある。ここに食べ残しを落とす。溝の奥には水の溜まった大きな水槽がある。ここに食器を落とす。食器は洗われ翌日も使われる。 溝に落とされた食べ残しは水で…

市場の屋根

沖縄の那覇市、土産物屋が並ぶ国際通りを、ゆいレールの牧志駅を背にしばらく歩くと、アーケードのある横道が左手に3本現れる。アーケードの入口にはそれぞれ、平和通り、むつみ橋通り、市場本通り、と看板がかかげられている。そのうちの市場本通りを土産物…

「本のあるところ」入谷コピー文庫

堀内恭さんが発行している『入谷コピー文庫』にときどきよばれて文章を書いている。毎回、テーマもまちまち、書く人もまちまち、堀内さんが声をかけた人たちの文章がコピーされ綴じられる、たった20部だけ作られる小さな同人誌だ。ブログへの転載は問題あり…

『銭湯断片日記』が出来るまで

2016年3月、龜鳴屋の勝井さんからメールが届いた。金沢の室生犀星記念館から出される冊子『をみなごのための室生家の料理集』への挿絵の依頼だった。仕事の依頼です、と書かれたメールのすみっこにあった、こんなことばがはじまりだった。 「なんで落武者、…

『銭湯断片日記』取り扱い店

5月10日現在、わたしが把握している『銭湯断片日記』の取り扱い店です。店頭在庫は各店舗へお問い合せください。 もちろん、龜鳴屋のサイトからも通販できます。龜鳴屋は5千円以上の注文で送料無料になります。 書籍編集発行所「 龜鳴屋」 *** ■火星の庭(仙…

銭湯断片日記は送料が高い

『銭湯断片日記』、龜鳴屋のサイトでの通販がはじまりました。『銭湯断片日記』は本の厚さが3センチを超えるため、1冊送るのに400円から510円配送代がかかります。それならば、いっそのこと龜鳴屋の既刊本を一緒に注文するのはどうでしょうか。『銭湯…

『市場界隈』『漱石全集を買った日』『銭湯断片日記』

飲み友達でもあり、『銭湯断片日記』のなかにたびたび登場する、はっちこと橋本くんの新刊『市場界隈』が今月5月末に発売されます。発売に合わせ、千駄木の往来堂書店でトークショーが開かれます。橋本くんにお誘いいただき一緒に話すことになりました。 橋…

『銭湯断片日記』できあがりました。

4月21、22日の2日間、金沢の龜鳴屋さんを訪ねました。わたしの本『銭湯断片日記』の本体が出来上がり、残りの貼り込み作業をするためです。 各章扉にはその年に描いた絵を9年分の9枚貼り、奥付には検印紙を1枚貼り、そして付録の冊子を1枚ずつ差し込んでいき…

夕方のチャーハン

大学の食堂で夕方4時間アルバイトをしている。絵だけでは食えず、金に困ってはじめた仕事だが、腹を減らして駆け込んでくる学生たちにカレーをよそい、ラーメンを茹でながら、使われた食器を洗いかたしていく作業は性に合っていたようで、気づけば4年経って…

ポポタム14周年記念包装紙

西池袋にあるブックギャラリーポポタムが、2019年4月1日で14周年をむかえます。14周年を記念した、わたしがイラストと文字を描いた、ポポタムの包装紙が出来上がりました。デザインは横山雄さん。4月1日の記念日より、ポポタムでお買い上げの商品を包みます…

銭湯断片日記

2007年から書き続けたブログ「m.r.factory」を、ブログ移転に伴い「断片日記」と名前を変えました。こちらの「断片日記」も、引き続き、読んでいただけたらうれしいです。 そして、10年以上書き続けた「m.r.factory」の中から、銭湯について書いた文章のみを…

引っ越しました

以前使っていたブログ・はてなダイアリーのサービスが終了し、はてなブログに引っ越ししました。 こちらで書き続けていきます。 以前のブログもこちらで読めます。 沖縄の市場の古本屋ウララでの展示は2月14日まで。明日、明後日の二日間です。

犀星スタイル沖縄スタイル

沖縄の市場の古本屋ウララで個展をします。 2016年発行の『をみなごのための室生家の料理集』、2018年発行の『犀星スタイル』は、どちらも室生犀星の孫、室生洲々子さんが編集し、龜鳴屋が発行した小さな冊子です。わたしはその二冊に挿絵を描かせていただき…

朝の音

たくさん飲んだ日の翌日、便所に行きたくて目が覚める。外はまだまだ暗く、夜と朝のはざ間くらい。尿意と布団から出る面倒くささをはかりにかけて、もう一度目をつぶったり、天井を見たり。そんなとき、ボン、と大きな音が隣りからする。隣りの豆腐屋が大豆…

夜のコンビニ

食堂のアルバイト帰り、近くの古本屋に顔を出す。いつもの顔が帳場の周りですでに一杯やっている。誰かもう一本飲む人いるー?と声をかけながら、夜のコンビニへ自分の酒を買いに出る。 また酒ですか。 腕に抱えた缶ビールを見て、レジの向こうの彼は必ずこ…

嘆き節

西口のコンビニへ移動した彼の替わりに、西口のコンビニから新しい店長がやってきた。入れ替わりなんですよ、と新しい店長を紹介された。紹介された気安さからか、レジの向こうの新しい顔と話すことに抵抗がない。 自分が来たとたんすぐモノが壊れるんですよ…

ゆるい約束

よく行くコンビニがふたつある。一軒は昼間、弁当や珈琲を買いに、もう一軒は夜、缶ビールや缶チューハイを買いに行く。店を分けているのは、昼間に行くコンビニにしかいれてもらえる珈琲がなく、夜行くコンビニのほうが酒が安いからだ。 昼間のコンビニでい…

北陸中日新聞

8月18日の北陸中日新聞で『犀星スタイル』を取り上げていただきました。 【本】「犀星スタイル」出版 伝わる 文豪の暮らし:北陸文化:北陸中日新聞から:中日新聞(CHUNICHI Web)

犀星スタイル

室生犀星のファッションや暮らし方に光を当てた冊子、『犀星スタイル』が出来上がりました。室生犀星と娘の朝子さんの書いたエッセイや日記のなかから、孫娘の洲々子さんが、犀星のこだわりをよりぬき編まれた一冊です。 目次は、オデイト、艶布巾、満州ダイ…

金沢龜鳴行

五月半ば、二泊三日で金沢に行った。金沢を訪れたのは二回目で、一回目は2011年3月の震災の数日前だった。野町駅そばの銭湯「野町湯」を訪れたが、そのときのことはこのブログに書いていない。沖縄で訪れたいまはなき銭湯も、長野善光寺そばの銭湯「亀の湯」…

○△□なTシャツ展

盛岡ひめくりさんでのTシャツ展に今年も参加いたします。今年のテーマは、○△□。今回わたしがご用意したTシャツは、丸三角四角の描き文字から模様に流れるデザインです。シルクスクリーンの印刷は秋田の6jumbopinsさん。Tシャツのサイズはもちろん、Tシャツの…

観覧車

仙台駅前の高層ビルの最上階には展望台がある。青葉城から仙台市内を眺めたことは何度かあるが、街中から郊外を見る機会はいままでなかったし、あえて見ようと思うこともなかった。それが昨夜の飲み会でいい展望台があると聞いてきたSが、どこの展望台だった…

新緑

サンシャイン通りのユニクロに靴下を買いに行った帰り道。人ごみを避けグリーン大通りに出ようと、ひと昔前まで人生横丁があった裏道を抜けた。巣鴨プリズンの時代からあった人生横丁は、長屋のような二階建ての飲み屋が並ぶ味のある横丁だったが、いまは小…

いづれ、無かったことになる

マンションの一階の真ん中に、手製の富士山柄がアップリケされた暖簾がさがる。暖簾をはらうと、縫い合わされた布の厚みで手が重い。階段数段おりて半地下の入り口へ。手前左手に傘入れ、自動ドアの引き戸、入ると左手に下足箱、フロントがあり、右手に小さ…

端から端まで

山手線で目白から品川まで、京浜東北線に乗り換えて川崎で降りる。駅の西口からそのまま続く巨大なショッピングセンター、ラゾーナ川崎プラザの二階を抜ける。抜けた先はバルコニーのような場所で、駅前の景色から一転する、ショッピングセンターの裏手に広…

鏡には映らない

新宿から京王線で幡ヶ谷まで。ゆるいBGMがかかる商店街を北へ抜け、この辺だろうと見当をつけたところを左に曲がる。住宅街のなかに目当ての銭湯「観音湯」を見つけるがシャッターが降りている。入り口横に店主入院のためしばらく休業の貼り紙。仕方なく、今…

うらわ稲荷湯

浦和駅西口に降り、日が落ちて灯る飲み屋の明かりを追いかけて小さな路地をぬって歩く。昼間の町の賑わいもいいが、夜の賑わいのなかを歩くのは格別に楽しい。道の向こうの歩道を歩く女に、こちらの歩道の女がこっちこっちと手を振っている。どちらも着飾っ…

東京の空

西池袋でカレーを食べた帰り道、雲ひとつない青い空を見上げながら、東京のお正月っぽい、と明日長野に帰る友人が言う。 年末年始、友人たちがSNSにあげる、それぞれの故郷の写真を見るのを楽しみにしているが、雑煮の違いや家族の写真に気をとられ、どの町…

本の背中

ときどき知人の古本屋の手伝いをしている。主な手伝いは買取で、古本屋とともに客の家に車で出向き、客が売りたいという本の版型を揃え、縛りやすい高さに積みなおし、縛られた本の山を車に運び込んでいく。単純な力作業だが本の量が多いときは重宝がられて…