断片日記

断片と告知

まどのむこう

野獣派、フォービズム、という絵の表現を知ったのは絵の学校に通っていた20代のころだ。知ったばかりのころはブラマンクやスーチンの絵の激しさに焦がれたが、観続けていくうちに、やがて好みは野獣派に影響を受けた日本の画家たちへ移っていった。赤や緑の…

金沢へ犀星を囲みに

市場の古本屋ウララの店主・宇田智子さんの書いた「金沢へ犀星を囲みに」が北陸中日新聞に掲載されました。一緒に歩いた金沢がこうして宇田さんのことばで書き残ることがとてもうれしいです。 【寄稿】宇田智子 金沢へ 犀星を囲みに:北陸文化:北陸中日新聞か…

東京の古本屋

はっちこと橋本くんの新しい連載がWEB本の雑誌ではじまりました。題して「東京の古本屋」、3日間の東京の古本屋滞在記です。第1回目は、古本屋の知人、としてわたしの断片日記にも登場する古書往来座です。今夏は東京オリンピックもあり、いつもにも増して変…

痛風未満

昨年10月半ば、朝起きて便所に行こうと立ち上がったときだった。右足の甲が痛い。寝ているときには気が付かなかったが、立ち上がり甲に力が加わると激痛が走る。見ると少しだけ腫れている。転んだりひねったりした覚えはなく、あるとすれば日々飲んできた酒…

二日目のカレー

まだ要町そばの廃校になった小学校の理科室で絵を描いていたころ、描くのに飽きると近くのかえる食堂に逃げた。かえる食堂ができて間もないころだ。『銭湯断片日記』にも出てくるが、はじめからみどりのカレーばかり食べている。野菜とかみどりとか、日頃を…

2019年でした。

今年4月、はじめての本『銭湯断片日記』(龜鳴屋)が出版されました。雑誌と書籍で絵の仕事をいくつかしました。入谷コピー文庫に文章を寄せました。11月から金沢の室生犀星記念館で展示「犀星スタイル 武藤良子原画展」が開催中です。 退屈くんに教えてもら…

枕詞

金沢でちょっと遠いところ、第7ギョーザとか、レモン湯とか、へ行こうと思うと、勝井さんが車を出してくれる。乗っているあいだ黙ったままでも構わないけど、ちょっと遠いので車のなかでなんか話す。何度も車に乗るうちに、話したことを忘れて同じ話をまた話…

福神漬け

学生がカレーの食券を持ってやってくる。券を受け取り、長方形のカレー皿に飯を半分、カレールーを半分よそう。炊飯器の横には福神漬けの入ったポッドが置かれている。トングで福神漬けをつまみながら、福神漬けはつけますか?と注文が入るたびに聞く。答え…

近くて遠い金沢と

いつもはひとりでビジネスホテル泊まりだが、今回の金沢行きは友人が一棟貸しの宿を探してくれた。東山茶屋街のそばの、古い長屋を改装した宿だ。1階には、みなで食事ができる大きなテーブルと椅子、小さいが煮炊きのできる台所、洗濯機乾燥機がついた風呂場…

「犀星スタイル」グッズ販売はじまりました

金沢・室生犀星記念館のサイトで「犀星スタイル」グッズの販売がはじまりました。 サイトの雑貨の頁で、室生家で食べられていた金沢式玉子焼きのトートバッグとサコッシュ、版画家の畦地梅太郎さんの文字を装画に使った『われはうたへどもやぶれかぶれ』サコ…

入谷コピー文庫「かすり傷」

堀内恭さんが発行する入谷コピー文庫の最新刊、異論・反論・与論島シリーズの第4回「お痛み」に「かすり傷」という文章を書きました。ブログに転載いたします。 「かすり傷」 夜遅く帰ると家のわきの電柱の下で男と女が口喧嘩をしている。言ったとか言わない…

伝え継ぐ日本の家庭料理

全集『伝え継ぐ日本の家庭料理』(農文協刊)の装画を描きました。 前書きには「このシリーズは、日本人の食生活がその地域ごとにはっきりした特色があったとされる、およそ昭和35年から45年までの間に各地域に定着していた家庭料理を、日本全国での聞き取り…

犀星スタイル−武藤良子原画展

『をみなごのための室生家の料理集』と『犀星スタイル』の挿絵の原画展を、金沢の室生犀星記念館で行います。 11月30日には、沖縄から市場の古本屋ウララの店主・宇田智子さんをお招きして、犀星の孫の室生洲々子さん、宇田さん、わたしの3人でトークショー…

『放送作家の時間』と『君恋し』

『放送作家の時間』(大倉徹也著 イーストプレス刊)の装画を描かせていただきました。永六輔さんと出会い、まだ放送作家ということばがなかった時代に、ラジオ、テレビ、舞台の世界に飛び込んで行った大倉徹也さんの、極私的放送史です。 目次を見るだけで、…

おっぱいらー

夕方には東京を出たが、早々に渋滞につかまり、山のホテルに着いたのは夜9時半を過ぎていた。門限は11時ですと言われ、慌てて部屋に荷物を放り込み、来る途中に見かけた一番近いラーメン屋まで歩いていく。降るような星の下、ホテルの自販機で買った缶ビー…

市場と銭湯、トーク公開。

5月に往来堂書店で行われた「市場と銭湯」トークショーの全文が公開されました。一部加筆訂正されています。 話はとぶし、戻るし、文句も言ってるし、だいたいいつもこんな感じで、終りのない話をつまみに橋本くんと飲んでいます。 市場界隈 那覇市第一牧志…

棒にふる

7月から8月半ばまで、ずっと仕事の絵を描いていた。アトリエとして使っている部屋は三階建てのビルの上にちょこんと建てられたサンルームで、眺めがいいかわりに陽がそのまま差し込んでくる。クーラーもない。指先でオイルパステルが溶け、ときどき汗が紙に…

誰も知らない

廃業すると教えてもらった銭湯へ行く。山手線で秋葉原まで、総武線に乗り換えて小岩でおりる。駅前や道の先に見覚えがある。ここは、ブックカフェをやっていた友人と、開業前に打ち合せと言いながら飲み歩いた町のひとつだ。駅前からあの路地を入った先の二…

酸っぱい

食堂の端っこには食べ終わった食器をさげる場所、返却口がある。 返却口の手前には水の流れる溝がある。ここに食べ残しを落とす。溝の奥には水の溜まった大きな水槽がある。ここに食器を落とす。食器は洗われ翌日も使われる。 溝に落とされた食べ残しは水で…

市場の屋根

沖縄の那覇市、土産物屋が並ぶ国際通りを、ゆいレールの牧志駅を背にしばらく歩くと、アーケードのある横道が左手に3本現れる。アーケードの入口にはそれぞれ、平和通り、むつみ橋通り、市場本通り、と看板がかかげられている。そのうちの市場本通りを土産物…

「本のあるところ」入谷コピー文庫

堀内恭さんが発行している『入谷コピー文庫』にときどきよばれて文章を書いている。毎回、テーマもまちまち、書く人もまちまち、堀内さんが声をかけた人たちの文章がコピーされ綴じられる、たった20部だけ作られる小さな同人誌だ。ブログへの転載は問題あり…

『銭湯断片日記』が出来るまで

2016年3月、龜鳴屋の勝井さんからメールが届いた。金沢の室生犀星記念館から出される冊子『をみなごのための室生家の料理集』への挿絵の依頼だった。仕事の依頼です、と書かれたメールのすみっこにあった、こんなことばがはじまりだった。 「なんで落武者、…

『銭湯断片日記』取り扱い店

5月10日現在、わたしが把握している『銭湯断片日記』の取り扱い店です。店頭在庫は各店舗へお問い合せください。 もちろん、龜鳴屋のサイトからも通販できます。龜鳴屋は5千円以上の注文で送料無料になります。 書籍編集発行所「 龜鳴屋」 *** ■火星の庭(仙…

銭湯断片日記は送料が高い

『銭湯断片日記』、龜鳴屋のサイトでの通販がはじまりました。『銭湯断片日記』は本の厚さが3センチを超えるため、1冊送るのに400円から510円配送代がかかります。それならば、いっそのこと龜鳴屋の既刊本を一緒に注文するのはどうでしょうか。『銭湯…

『市場界隈』『漱石全集を買った日』『銭湯断片日記』

飲み友達でもあり、『銭湯断片日記』のなかにたびたび登場する、はっちこと橋本くんの新刊『市場界隈』が今月5月末に発売されます。発売に合わせ、千駄木の往来堂書店でトークショーが開かれます。橋本くんにお誘いいただき一緒に話すことになりました。 橋…

『銭湯断片日記』できあがりました。

4月21、22日の2日間、金沢の龜鳴屋さんを訪ねました。わたしの本『銭湯断片日記』の本体が出来上がり、残りの貼り込み作業をするためです。 各章扉にはその年に描いた絵を9年分の9枚貼り、奥付には検印紙を1枚貼り、そして付録の冊子を1枚ずつ差し込んでいき…

夕方のチャーハン

大学の食堂で夕方4時間アルバイトをしている。絵だけでは食えず、金に困ってはじめた仕事だが、腹を減らして駆け込んでくる学生たちにカレーをよそい、ラーメンを茹でながら、使われた食器を洗いかたしていく作業は性に合っていたようで、気づけば4年経って…

ポポタム14周年記念包装紙

西池袋にあるブックギャラリーポポタムが、2019年4月1日で14周年をむかえます。14周年を記念した、わたしがイラストと文字を描いた、ポポタムの包装紙が出来上がりました。デザインは横山雄さん。4月1日の記念日より、ポポタムでお買い上げの商品を包みます…

銭湯断片日記

2007年から書き続けたブログ「m.r.factory」を、ブログ移転に伴い「断片日記」と名前を変えました。こちらの「断片日記」も、引き続き、読んでいただけたらうれしいです。 そして、10年以上書き続けた「m.r.factory」の中から、銭湯について書いた文章のみを…

引っ越しました

以前使っていたブログ・はてなダイアリーのサービスが終了し、はてなブログに引っ越ししました。 こちらで書き続けていきます。 以前のブログもこちらで読めます。 沖縄の市場の古本屋ウララでの展示は2月14日まで。明日、明後日の二日間です。