断片日記

断片と告知

2010-01-01から1年間の記事一覧

2010年、ありがとう

2010年は、個展「曇天画」がありました。書籍や雑誌の挿画の仕事をしました。貧乏なのに、仙台、倉敷、仙台、上田、と4度も旅行に行きました。おいしい酒を飲み、おいしいご飯を食べました。廃業していく銭湯を追いかけて、できるだけ多くの湯船につかりまし…

末広湯

12月26日に廃業すると、つぶやきで知った銭湯「末広湯」に行く。品川から京急の赤い電車に乗り換え、京急蒲田駅へ。立替中の入り組んだ駅を降り、乗用車よりもトラックが目立つ大きな道路、第一京浜を歩き、環八を渡って左折する。個人商店もなく、チェーン…

上田六文銭の旅その2

朝9時、ロビーで待ち合わせ。コンビニで朝飯を買い、千曲川の土手に行く。4人で土手に座り、黙って朝飯を食べ、黙って朝の千曲川を見る。川の向こうの太陽がまぶしい。東京に比べて上田の太陽はやけに大きくまぶしく見える。 Kさんの家に行き、Kさんの家の…

上田六文銭の旅その1

10時過ぎの新幹線で、上野を出る。荒川を越え、高崎までの平らな地面を、新幹線が走る。平らの地面の向こうに、遠く薄く見えていた山が、トンネルをいくつか抜け、近く濃くなり、上田に着く。駅前は、整備されたきれいなロータリー。マクドナルド、ローソン…

もっとずっと

バスキアの、ドキュメンタリー映画の宣伝記事を、新聞で読む。バスキアも生きていれば50歳。記事にはそう書いてある。美術の教科書に載るような人の年齢が、わたしと11しか違わない。せめてもう少し、手の届かない年齢でいてくれないものか。 わたしが子…

わめぞ忘年会

今年の「わめぞ」の忘年会は、西池袋の中華「蘭蘭」の別館。いつも使う西口本店も良いのだけれど、店長に、カラオケあるよ、2次会に行くてまはぶけるよ、と別館の地下の個室をすすめられた。 予約の時間より少し早く別館に行く。前を歩いていた退屈くんをつ…

みぎひだり

雑司が谷から副都心線に乗り渋谷へ。改札を出ず、いくつかの階段をのぼり、田園都市線のホームへ。用賀まで行く。用賀駅から、瓦でできた遊歩道を歩く。大きな道路にぶつかり、越えれば砧公園がある。トラックが走る大きな道路、目の端に入る高速の高架、そ…

食の達人たち

小学館文庫、野地秩嘉さん著、「食の達人たち」、の表紙挿画を描きました。読んでいる間、頭に浮かんでいたものは、継ぎの茶碗や皿でした。割れたり欠けたりした茶碗や皿を、漆や金で継ぐ。時として、傷つく前よりも美しく見える茶碗や皿が、出てくる人たち…

中落ち仙台2日目

チェックアウトは11時とゆっくり。朝風呂に入り、ぼんやりとテレビを見てから、ロビーにおりる。ソファにはすでにパロパロ向井の姿。ドラマの「ママはニューハーフ」を見ていたと報告すると、パロパロ向井は時代劇の「あばれ八州御用旅」を見ていたと言い、…

中落ち仙台1日目

朝8時半起床、9時半に家を出る。池袋駅の山手線のホームに着くと、この旅の同行者、古書現世のパロパロ向井が人待ち顔で立っている。パロパロ向井は「火星の庭」の前野さんたちに会いに、わたしはさらに、前回の仙台行きでうまくて悶絶したマグロの中落ちの…

明日はみちくさ市

明日は、イベント盛りだくさんの鬼子母神通り「みちくさ市」を楽しんで、鬼子母神停留所から都電に乗って大塚へ、そこからJR山手線で日暮里へ、夕焼けだんだんを下って谷中ぎんざからよみせ通りの「わくわく大感謝祭」へ、そして最後は谷中の銭湯「初音湯」…

初音湯

神保町で仕事の打ち合わせを終え、谷中まで歩く。神保町から御茶ノ水、湯島聖堂の横を抜けて、湯島天神、不忍池、へび道、と歩いて行く。湯島天神では菊まつりが開催中で、大きな菊の花の鉢がいくつも並んでいる。大人の頭くらいありそうな巨大な花を見てい…

捏造

先日のこと。短大時代の友人3人、先生ふたり、先輩ひとり、と渋谷で飲んだ。卒業してから20年近く経ったいまも、短大時代の友人たちと会い飲むのは、彼女たちが、誰かの誕生日だ、誰かの個展だと、何かにつけて連絡をくれるからで、今日渋谷で集まり飲むのも…

エイチビー番外地

HugeDomains.com - Shop for over 300,000 Premium Domains 雑談を記録したいんです、とある日橋本くんに言われ、その通りに酒を飲みながら雑談し、出来上がったものが「エイチビー番外地」です。曇天画、東京と田舎、銭湯、絵を描くこと、などをインタビュ…

味噌塩醤油

雑誌「うかたま」の増刊号、「手づくりのたれ・ソース・調味料」の表紙の絵を描きました。子どもの頃から、甘いお菓子よりも、塩っぱいものが好きだったわたしにとって、味噌のレシピだけで20種類以上も載っているこの本は、見ているだけで幸せです。チョコ…

明日は外市、酉の市

アトリエからの帰り道、いつも暗い道が明るいと思ったら、酉の市の提灯が揺れていた。都電の、鬼子母神前停留所と雑司ヶ谷停留所の間にある大鳥神社。そこでおこなわれる酉の市の、明後日7日は一の酉。古書往来座「外市」で古本を見て、大鳥神社の境内の屋台…

かぼちゃと茸

目次と次号予告の頁に絵を描きました。JAの雑誌「家の光」です。2010年12月号からの連載です。目次の頁には、冬至のかぼちゃ、予告の頁には福寿草、を描きました。お米や野菜を作る人たちが、お米や野菜をたくさん食べるわたしの絵を見てくれる、と思うとな…

未来の絵

未來社のPR誌「未来」の表紙に、2008年5月号から2010年4月号までの2年間、小さな絵を描いていた。「未来」は、書店を中心に配布されているPR誌で、「わめぞ」のいくつかの古本屋にも置かれている。 Nさんから、学術書の表紙の絵を描いてもらえませんか、と突…

日々の箇条書き

誕生日に、立石書店の岡島さんが、寿司を奢ってくれる。落合にある回転寿司屋。岡島さん、古書現世のパロパロ向井、丸三文庫の羊三ちゃん、こうのちゃん、とわたしがカウンターに横一列に並び、回ってくる寿司をつまむ。「家族ゲーム」みたいだな、と岡島さ…

21年目

18歳、高校三年の進路相談で、お前はどうしたいんだ、と担任に聞かれ、探検家になりたいです、と答えたが却下された。 中学高校6年間の女子校の授業の中で、一番好きなのは美術の時間だった。音楽、書道、美術と3教科から選べる中、6年間ずっと美術を選択し…

倉敷滞在記まとめ

今さらですが、倉敷滞在記、書き終りました。さかのぼって読んでいただけるとうれしいです。 瀬戸内海またぐ:倉敷滞在1日目 用水路と花崗岩:倉敷滞在2日目 赤かぼちゃ:倉敷滞在3日目その1 あれがアートや:倉敷滞在3日目その2 「I♥湯」:倉敷滞在3日目…

ボエーズ

「わめぞ」の外市、みちくさ市の打ち上げの2次会か3次会、遊び足りない奴らでカラオケに流れることがままあるのですが、音痴だからとずっと逃げていました。とある晩、逃げるのにも飽きてふと参加し、赤いスイトピー、を熱唱したところ、面白いと受けました…

私史

家の前の通りは、弦巻通り、という名前で、だいぶ昔、弦巻川という川だった。川だった名残か、大雨が降ると、雨水は枝分かれした小道から弦巻通りに流れ込み、道はにわかに川になる。川になった道に、外に出しておいたサンダルや、植木鉢が浮き、よく流され…

恐れることは何もない

7月に発売された「日本人が知らないブッダの話」、そして今日発売の「恐れることは何もない」。同じ学研から、同じ著者での第二弾です。ブッダの話が好調だったため、と第二弾の挿画も描かせていただきました。増刷もうれしいですが、二作目も描かせていただ…

干瓢

浅草の観音裏、木村衣有子さんのよく行く縄のれんの店で飲む。古書往来座の写真展の打ち上げと、干瓢を、木村さんが書いた、わたしが描いた、仕事の打ち上げ。今日発売の京阪神エルマガジン社「うまい旅関東篇」に、木村さんは「地味な滋味」と題した干瓢の…

出来たばかりの本を手渡したいから、と出版社の名前の入る紙袋をさげて、Nさんは雑司ヶ谷に来た。袋から出てきたのは、7月に発売された阿刀田高さんの「闇彦」とその英語版で、今月開催された国際ペン東京大会2010で、国内国外の作家たちに配られるためだけ…

バイバイ、レンゲ畑

「日和下駄」。「今日東京の表通は銀座より日本橋通は勿論上野の広小路浅草の駒方通を始めとして到処西洋まがひの建築物」と荷風が批判したまがい物の西洋建築も好きなら、「裏町を行かう、裏道を歩まう」と荷風が愛した隅田川沿いの入り組んだ路地もそこに…

明日はみちくさ市

明日は「みちくさ市」なのです。なのですが、いつもの「みちくさ市」とは違うのです。その違いをご紹介いたしましょう。 まず「みちくさ市」ですが、開催場所が二箇所に増えました。いつもの鬼子母神通り商店街、そして商店街の真ん中辺り、文房具の「隆文堂…

古本とドローイング

はじめての町、はじめての場所、はじめての人たちと何かをするとき、しばらく忘れていた感情がよみがえる。入学式の、アルバイトの初日の、はじめて画廊で絵を展示したときの、感情がよみがえる。自分のことを知っている人たちに囲まれて過ごすことに慣れた…

さくらんぼの実る頃

岡崎京子の漫画「東京ガールズブラボー」を久しぶりに読む。「東京ガールズブラボー」は、とーちゃんとかーちゃんがリコンしてトーキョーに住むことになりました、ツバキハウスと屋根ウラとピテカンのあるトーキョーに行けるのよ!!パパママリコンしてくれ…