断片日記

日々の断片と告知

銭湯

誰も知らない

廃業すると教えてもらった銭湯へ行く。山手線で秋葉原まで、総武線に乗り換えて小岩でおりる。駅前や道の先に見覚えがある。ここは、ブックカフェをやっていた友人と、開業前に打ち合せと言いながら飲み歩いた町のひとつだ。駅前からあの路地を入った先の二…

『銭湯断片日記』が出来るまで

2016年3月、龜鳴屋の勝井さんからメールが届いた。金沢の室生犀星記念館から出される冊子『をみなごのための室生家の料理集』への挿絵の依頼だった。仕事の依頼です、と書かれたメールのすみっこにあった、こんなことばがはじまりだった。 「なんで落武者、…

『銭湯断片日記』取り扱い店

5月10日現在、わたしが把握している『銭湯断片日記』の取り扱い店です。店頭在庫は各店舗へお問い合せください。 もちろん、龜鳴屋のサイトからも通販できます。龜鳴屋は5千円以上の注文で送料無料になります。 書籍編集発行所「 龜鳴屋」 *** ■火星の庭(仙…

銭湯断片日記は送料が高い

『銭湯断片日記』、龜鳴屋のサイトでの通販がはじまりました。『銭湯断片日記』は本の厚さが3センチを超えるため、1冊送るのに400円から510円配送代がかかります。それならば、いっそのこと龜鳴屋の既刊本を一緒に注文するのはどうでしょうか。『銭湯…

『市場界隈』『漱石全集を買った日』『銭湯断片日記』

飲み友達でもあり、『銭湯断片日記』のなかにたびたび登場する、はっちこと橋本くんの新刊『市場界隈』が今月5月末に発売されます。発売に合わせ、千駄木の往来堂書店でトークショーが開かれます。橋本くんにお誘いいただき一緒に話すことになりました。 橋…

『銭湯断片日記』できあがりました。

4月21、22日の2日間、金沢の龜鳴屋さんを訪ねました。わたしの本『銭湯断片日記』の本体が出来上がり、残りの貼り込み作業をするためです。 各章扉にはその年に描いた絵を9年分の9枚貼り、奥付には検印紙を1枚貼り、そして付録の冊子を1枚ずつ差し込んでいき…

銭湯断片日記

2007年から書き続けたブログ「m.r.factory」を、ブログ移転に伴い「断片日記」と名前を変えました。こちらの「断片日記」も、引き続き、読んでいただけたらうれしいです。 そして、10年以上書き続けた「m.r.factory」の中から、銭湯について書いた文章のみを…

金沢龜鳴行

五月半ば、二泊三日で金沢に行った。金沢を訪れたのは二回目で、一回目は2011年3月の震災の数日前だった。野町駅そばの銭湯「野町湯」を訪れたが、そのときのことはこのブログに書いていない。沖縄で訪れたいまはなき銭湯も、長野善光寺そばの銭湯「亀の湯」…

いづれ、無かったことになる

マンションの一階の真ん中に、手製の富士山柄がアップリケされた暖簾がさがる。暖簾をはらうと、縫い合わされた布の厚みで手が重い。階段数段おりて半地下の入り口へ。手前左手に傘入れ、自動ドアの引き戸、入ると左手に下足箱、フロントがあり、右手に小さ…

端から端まで

山手線で目白から品川まで、京浜東北線に乗り換えて川崎で降りる。駅の西口からそのまま続く巨大なショッピングセンター、ラゾーナ川崎プラザの二階を抜ける。抜けた先はバルコニーのような場所で、駅前の景色から一転する、ショッピングセンターの裏手に広…

鏡には映らない

新宿から京王線で幡ヶ谷まで。ゆるいBGMがかかる商店街を北へ抜け、この辺だろうと見当をつけたところを左に曲がる。住宅街のなかに目当ての銭湯「観音湯」を見つけるがシャッターが降りている。入り口横に店主入院のためしばらく休業の貼り紙。仕方なく、今…

うらわ稲荷湯

浦和駅西口に降り、日が落ちて灯る飲み屋の明かりを追いかけて小さな路地をぬって歩く。昼間の町の賑わいもいいが、夜の賑わいのなかを歩くのは格別に楽しい。道の向こうの歩道を歩く女に、こちらの歩道の女がこっちこっちと手を振っている。どちらも着飾っ…

入谷コピー文庫「さかえ湯」

「入谷コピー文庫」ある塵シリーズ第3回銭湯に書いた文章を、堀内さんの許可をいただきこちらに転載いたします。街から消えていくものとの付き合い方を考えているときに出会った「さかえ湯」は、消えていくものの多い渋谷という街のなかで、特異な残り方をし…

冬至、鶴の湯

白山の交差点から団子坂に向かい、駒込高校の先、くらしのみち、と描かれた亀のマークの看板の前を左折。折れ曲がる路地を道なりに歩いて行くと、突き当たりに大きな銭湯「鶴の湯」が見える。銭湯の前にはベンチがいくつか並ぶだけの小さな公園があり、銭湯…

松の湯

高田馬場駅から早稲田通りを早稲田大学方面に向かって歩く。明治通りを越えたあたりから、道の両脇に古本屋が並びだす。グランド坂とぶつかるあたりで、早稲田通りは大きく右折する。その右折の角に、銭湯「松の湯」はある。 入り口はタイル張りのビルのよう…

清水湯

2月24日に廃業する、世田谷区太子堂の銭湯「清水湯」へ行く。三軒茶屋駅から茶沢通りを抜けしばらく、左手にコインランドリーを見つけ、空に大きな煙突を見上げる。茶沢通りに面しているのは黄色い屋根のコインランドリーと男湯側の風呂の窓か。コインランド…

大黒湯

雑司ヶ谷のアトリエから小石川図書館に行くとき、よく前を通る。通るたびに屋根の上が気にかかる。銭湯「大黒湯」の屋根の上には、八角形の湯気抜きがある。銭湯の洗い場の屋根に突き出る部分を、湯気抜き、と言うのだとも、大黒湯の紹介文ではじめて知った…

くまの湯

廃業する銭湯ばかり追いかけているわけではないが、何日に廃業すると知ってしまえば、いま見ておかなければと心があせる。廃業の日の銭湯には、いつもとは違う、その日だけの空気が流れている。 大江戸線の終点、光が丘まで。地下鉄の駅の上に建ち並ぶ団地群…

ゆたか湯

高田馬場から西武新宿線で上井草へ行く。改札を抜けしばらく歩いてから、ここが、いわさきちひろ美術館のある町だと思い出す。銭湯「ゆたか湯」は、いわさきちひろ美術館への道筋の、千川通りに面したマンションの1階にある。 千川通りにどーんと、ゆ、サウ…

小杉湯、世界湯、日の出湯

高円寺の銭湯「小杉湯」。鯉の滝登りの木製の懸魚のある、古く立派な銭湯だが、改装され所々新しくなっている。外の路地から見ると、左から女性専用のコインランドリー、入り口、入り口右手に格子窓、窓の向こうにロビー兼ギャラリーの明かりが透けて見え、…

金泉湯

いつでも行けそうだからといつも前を通りすぎていた、早稲田の古本屋、古書現世の横の横に建つ銭湯「金泉湯」に行く。 瓦屋根の、唐破風の、立派な煙突のある、古く大きな銭湯。入り口左手にコインランドリー、暖簾をくぐると正面にフロント、右手に大きな池…

川嶋湯

仕事終わりの王子を誘い、北赤羽の銭湯「川嶋湯」へ行く。はじめて降りる駅から、川を越え、団地を横に見、日の落ちた住宅地の空に煙突を見つける。「川嶋湯」の前の道に、白黒の猫が1匹寝ているのを見る。 瓦屋根の唐破風、木製の懸魚、のある大きく古い立…

第二松の湯

品川から赤い電車に乗り大森町まで。 頭の上を高速道路が走る大きな道路を歩き、川沿いの道を曲がる。ビルとビルの間を見ると、目指す銭湯の煙突が伸びているのを見つける。煙突よりも、横のマンションのほうが背が高く、マンションの外階段のすぐ横で、黒い…

末広湯

12月26日に廃業すると、つぶやきで知った銭湯「末広湯」に行く。品川から京急の赤い電車に乗り換え、京急蒲田駅へ。立替中の入り組んだ駅を降り、乗用車よりもトラックが目立つ大きな道路、第一京浜を歩き、環八を渡って左折する。個人商店もなく、チェーン…

上田六文銭の旅その2

朝9時、ロビーで待ち合わせ。コンビニで朝飯を買い、千曲川の土手に行く。4人で土手に座り、黙って朝飯を食べ、黙って朝の千曲川を見る。川の向こうの太陽がまぶしい。東京に比べて上田の太陽はやけに大きくまぶしく見える。 Kさんの家に行き、Kさんの家の…

みぎひだり

雑司が谷から副都心線に乗り渋谷へ。改札を出ず、いくつかの階段をのぼり、田園都市線のホームへ。用賀まで行く。用賀駅から、瓦でできた遊歩道を歩く。大きな道路にぶつかり、越えれば砧公園がある。トラックが走る大きな道路、目の端に入る高速の高架、そ…

中落ち仙台2日目

チェックアウトは11時とゆっくり。朝風呂に入り、ぼんやりとテレビを見てから、ロビーにおりる。ソファにはすでにパロパロ向井の姿。ドラマの「ママはニューハーフ」を見ていたと報告すると、パロパロ向井は時代劇の「あばれ八州御用旅」を見ていたと言い、…

初音湯

神保町で仕事の打ち合わせを終え、谷中まで歩く。神保町から御茶ノ水、湯島聖堂の横を抜けて、湯島天神、不忍池、へび道、と歩いて行く。湯島天神では菊まつりが開催中で、大きな菊の花の鉢がいくつも並んでいる。大人の頭くらいありそうな巨大な花を見てい…

さよなら倉敷:倉敷滞在4日目その2

蟲文庫に戻り、赤福を食べたり、亀のツブを眺めたり。ツブは、体の大きくなった今も、子どもの頃に通れた隙間を通り抜けられると信じている。狭い隙間に頭を突っ込み、甲羅が邪魔してそれ以上入ろうとしても入れず、だが諦めず、押された何かがツブと一緒に…

「I♥湯」:倉敷滞在3日目その3

8月11日。倉敷滞在3日目その3 昼飯を食って、港で海を見て、足元で揺れるミルククラウンのような海月を見て、港の警備の人に海に落ちないようにと注意されて、正面に見える三角の島の名前が知りたくて聞きはぐって、その向こうに二往復した瀬戸大橋が見えて…