断片日記

断片と告知

虹の橋

西武池袋線桜台駅で降りる。練馬と江古田に挟まれた小さな駅と小さな商店街のある町。とりあえず腹が空いたので、駅の周りを歩きながら飯屋を探す。はじめての町で、知らない飯屋に入るときの、その入る基準。店ののれんがきれいなこと、地元の人たちがひっきりなしに入っていくこと、ドアが開く度に中から「いらっしゃいませ〜」と気持ちの良い声がすること。小さな中華料理屋に入る。上記の基準を全て満たし、特に中華という油を使う料理にも関わらずのれんの白さは特筆すべき清潔さで、ここに決めた。餃子と瓶ビールを頼む。出てきたその餃子は、今までいろんな町の中華屋で食べた餃子の中で、たぶん1番うまい。もっちりとした皮にぷりぷりの肉。5個で350円という値段もいい。中瓶にするか大瓶にするか迷ったけど、大瓶のビールにして良かった。その餃子がうまかったので、久しぶりに食べたくなったワンタンメンを頼む。懐かしい清んだスープのしょう油ラーメンにワンタンがのり、シナチクとネギとワカメがのっている。そして最近めったに見なくなったナルトものっている。ナルト自体はそんなにうまいものではないが、久しぶりに目にするとうれしくなる。ワンタンメンも懐かしい味がしてうまかったが、目の前のテーブルで昼から熱燗を飲んでいるおじさんの頼んだチャンポンがすごくうまそうで、今度もし来る機会があれば、あれを食べようと心に決める。
雨の中、沈んだ雰囲気の商店街を歩きながら本日の銭湯「久松湯」へ。週替わりで男湯と女湯が入れ替わるそうで、今日の女湯はフロント向かって左側。外見は古いが中は改装されイマドキの銭湯になっている。湯船は、本日はワイン風呂の薬湯と、その横の大きな湯船はジェット系がいくつかと電気風呂と泡風呂に仕切られ、さらにその横に大きな水風呂があり、水風呂の向こうには別料金のサウナがある。変わっているのは正面のペンキ絵ならぬタイル絵で、たぶんお台場辺りから見たレインボーブリッジだと思うのだけれど、レインボーブリッジにしては細く頼りなく。朝焼けか夕焼けかに染まる空の下、車も人もいないレインボーブリッジに蛍光灯のような明かりだけが点々とついている、なんとも寂しい絵だ。もう1つの本日男湯の方のタイル絵は、海にヨットの絵だそうで、そちらの方が見ていて気分が良さそうだが、珍しさ面白さではレインボーブリッジの方が上か。それにしても、雨の中、こんな絵を見ながら入浴していると、ちょっと寂しい気分になる。いつも浮かれているので、たまにはそんな入浴もいいのかもしれない。