断片日記

断片と告知

をみなごのための室生家の料理集

室生洲々子著『をみなごのための室生家の料理集』(発行・龜鳴屋)の挿絵を描きました。室生洲々子さんは作家・室生犀星の孫娘。孫娘の目から見た、祖父、祖母、母が作った室生家の味が23点、この本では紹介されています。料理集といっても細かな分量は書かれておらず、室生家の台所に立つ女たちの横で出来上がっていく料理を眺めているような、子が母に教わるような、柔らかに流れる調理法が読んでいて楽しいです。所々に書かれた室生家の出来事の数々も、洲々子さんがこっそり台所の窓を開けて見せてくれているような楽しさがあります。頑固者の祖父、ハイカラな祖母、料理上手の母、それを見ていた洲々子さんが残す室生家の味を、ぜひご堪能ください。
造本設計発行は金沢の龜鳴屋さん。アタリの線を額縁のように活かし、柔らかな紙と、真ん中まできれいに開く糸綴じが、手に心地いい造本です。龜鳴屋さんは雑誌『spectator』コペ転特集で取り上げられている7人のうちのひとりでもあります。こんなひとり出版社があるのか、こんな人がいるのか、と読んで驚かれたかたも多いのでは。龜鳴屋の勝井でござい、と、近藤勇(私)宛てに届く江戸の書状のようなメールが毎回おかしく、どんな人なんだろうと思っていたところに、『spectator』の絵の依頼がきて驚きました。
『をみなごのための室生家の料理集』は、洲々子さんが名誉館長をされている金沢の室生犀星記念館で販売されます。

■6月17日追記
『をみなごのための室生家の料理集』
通販はこちら:龜鳴屋/サイト移転のお知らせ 金沢 室生犀星記念館
店頭販売はこちら:金沢 室生犀星記念館 軽井沢高原文庫
都内での店頭販売は、古書往来座(南池袋)のみ取り扱いがあります。古書往来座ブログ「往来座地下」