断片日記

断片と告知

王子の狐と大黒さま

都電に乗って王子に行く。駅前にある川沿いの公園や古い木造アパートの残る住宅街を散策しながら銭湯「飛鳥山温泉」に行く。マンションの1階にある銭湯。日曜日は12時半開店なので、銭湯の前で開くのを待って開店と同時に入る。女湯にはまだ誰もいない。はじめての1番風呂。はぁーのびのび気持ちがいい。湯船はジェット系と電気バスが並ぶ大きなのと、天窓がある薬用露天風呂とその横の水風呂、そして別料金のサウナがある。苦悶の表情で体の位置を変えながら電気バスに入り続けるおば様が1人、すごく気になる。脱衣所にだけ演歌が流れているのも、すごく気になる。ここの銭湯はロビーがとても広くとってあって、生ビールが飲めたり、テレビが見れたり、漫画が読めたりする。灰皿とタバコの自販機が置いてあるのも最近ではちょっと珍しい。
王子駅前に戻り、生ビールとお昼ご飯。銭湯の後の生ビールは本当にうまい。ご飯もうまい。もりもり食す。お腹もいっぱいになったので再び王子散策。広重の浮世絵や落語で有名な王子稲荷神社へ。毎年大晦日の夜に関東中のお稲荷様から狐達が集まったと言われるこの場所。社殿の奥にさらに小さいお稲荷様が続く。御石様と呼ばれる石も祀られていたりする。願い事をしながらその石を持ち、その軽重によって願いがかなうかかなわないかを占うというもの。願い事いっぱいあるのでそれを考えながら石を持ち上げる。かなり・・・重い・・・。願い事ありすぎなのでしょうか。王子稲荷のすぐ横にある名主の滝公園も散策する。小さい頃ここで水に入って遊んだ思い出がある。
再び都電に乗り、終点三ノ輪へ。三ノ輪駅前の古い商店街を眺めながら、昨年廃業した廿世紀浴場をもう一度見に行く。銭湯マップを持った同志が1人いる。ぐるぐる周りを歩きながら写真を撮っている。こないだの私のようだ。こうゆう時、話し掛けて悲しい気持ちを共有したいけれど、それが出来ない。
昭和通りを北上し、千住大橋を渡り、北千住を目指す。こないだのラジオで町田忍さんが言っていたお薦めの銭湯「大黒湯」へ行く。どーんと大きなお寺のような銭湯。脱衣所の天井は黒光りしている格天井でその1枚1枚に花の絵が描かれているけれど、湯気で木がぶわぶわになっていてあまりよく見えない。脱衣所も洗い場も天井がとても高くて気持ちがいい。できれば天窓から太陽の光が入る明るいうちに入りに来たかった。銭湯は夜に行くようなイメージがあるけれど、実はまだ外が明るいうちに入りに行くのが1番気持ちがいいのだ。湯船は飛鳥山温泉とほぼ同じ感じ。大きなの小さなのと露天と別料金のサウナ。今日はりんご湯ということで大きなりんごがこれでもかというくらい湯船にぷかぷかしている。数えてみたら40個以上あった。茹って柔らかくなりそうなものだけれど、どのりんごもカチカチである。持ち上げて匂いを嗅いでみる。小さい頃祖母の田舎から送られてきていたりんごをふと思い出した。
飛鳥山温泉
廿世紀浴場
大黒湯