高田馬場駅から早稲田通りを早稲田大学方面に向かって歩く。明治通りを越えたあたりから、道の両脇に古本屋が並びだす。グランド坂とぶつかるあたりで、早稲田通りは大きく右折する。その右折の角に、銭湯「松の湯」はある。
入り口はタイル張りのビルのような外観だが、見上げるとタイルの上から瓦屋根がのぞいている。1年中クリスマス飾りのような電飾がタイルの上から垂れている。入ると数段の階段があり、正面の壁に入り口改装前のものだろう、立派な懸魚が飾られている。松の木に大きな丹頂鶴が二羽、羽を広げている。中央下に小さく「松の湯」の文字も彫られている。階段をのぼりきると、左手に下足箱、正面に自動ドア、入るとロビーと右手にフロントがある。
フロント左手に女湯の入り口。常連客用のロッカーのほかに、サウナ客専用のロッカーがあるのが珍しい。洗い場は、入ってすぐ左にサウナ、水風呂、打たせ湯ジェットと壁に沿って「く」の字型に湯船は曲がり、小さな円筒の中に入るマッサージジェット、泡風呂と電気風呂と続く。打たせ湯はちょろちょろ流れ落ちる湯を両肩に当てるもので、湯の勢いが弱々しく効果は微妙だが、打たせている姿がとても愉快だ。島カランは1列だが、水風呂と打たせ湯の湯船を覆うように壁があり、そこにもカランがついている。正面の壁には、タイルのモザイク画。大きな鶴が4羽、色鮮やかな空を舞っている図だ。
フロントで銭湯遍路の判子を押してもらう。この場所に銭湯が建ったのは大正のころだが、いまのご主人が継いだのは昭和25年のこと。いまの建物は昭和45年に、フロント形式に改装したのは18年前だという。モザイク画の鶴が気になり聞いてみると、写真や絵を持っていくと注文を聞いてくれる業者がある、と教えてくれた。話しを聞いている間も、ひっきりなしに客が、それも若い客が入っていく。年配客ばかりの最近の銭湯と違い、大学のそばらしい、活気のある銭湯だった。
松の湯
(銭湯マップ番号 15)
東京都新宿区西早稲田1−4−12
営業時間 15:00〜25:00
定休日 月曜
松の湯