断片日記

断片と告知

みんなの家事ブック

本多さおりさんの「みんなの家事ブック」(マイナビ出版)の挿絵や扉絵を描きました。
「家事は閉ざされた空間で黙々と行なうため、ほかの人のやり方を目撃する機会がなかなかありません。」と書かれた序文のことば。
友人の家に遊びに行き、おいしいご飯やつまみが出てくればそのレシピを訊ねることはよくありますが、部屋が片付いていても、着ている服にしわがなくても、掃除の仕方や洗濯のやり方をわざわざ訊ねることはありません。きれい好き、おしゃれ、しっかりしている、そんな印象を持っておしまいなのでは。わたしだってやれば出来る、頭の隅っこでそう思い込んでいることを、ひとはいちいち誰かに訊ねたりはしないものです。しかし、出来ないのではなくやらないだけだ、と思っていることはそもそも、いつまでたっても出来ないしやらないのです。
苦手な人でも時間のない人でも気軽に作れる料理のレシピ本がいくつもあるように、家事にもそれぞれの環境や生活、得手不得手にあったコツや工夫のレシピがあることを、この本ではじめて知りました。
みんなの、と書名にあるように、本多さんだけではなく、本多さんが気になった七軒のお宅に行き知った、家事のコツや工夫が簡潔な写真と文章でわかりやすく紹介されています。写真で見る家はどれも気持ちよく片付いていますが、みんながみんな家事が得意な人ばかりではありません。苦手だからこそ工夫する。続けるコツがある。わざわざ訊くまでもないと思い込んでいた、やらないだけだと思いたかったわたしのウロコをぱらぱら落とす。この本は、そうしたひとにこそ読んで欲しい、閉ざされていた空間に光を当てた一冊です。
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