11月27日金曜日
曇り。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。終えて、S家で猫のうんこを拾ってから往来座へ。Sと東上線で上板橋のSの実家へ。SとSの母と3人で、Sの父の彫刻のリストづくり。家とアトリエに置いてある作品の、名前と素材を調べ番号をふっていく。3分の1ほど終わらせたところで、疲れた、とSの母が言うので、駅近くの中華屋に行き食べて飲む。12月に神保町でSの母の個展があるとのこと。駅前で解散し、東上線で池袋に帰る。「北の国から」続き。よしのさんが靴を買ってくれる。五郎が買ってくれた靴を探しに、純と蛍が夜の町を走る。ケイコちゃんち更地になる。S家泊。
東京都の感染者数、570人。過去最多。
11月28日土曜日
晴れ。ミョウガ納豆ご飯。Sはバターロールも食べている。Sは往来座へ。掃除洗濯などし、夕方要町のブックオフまで歩く。2階の古着コーナーでセーター2枚買う。前に買ったビニールは名刺の角が汚れることがわかったので、パルコで蓋のついたビニールを買う。往来座と大倉に寄り帰る。夕飯は、小松菜里芋のシソ豚つくね鍋、トマト。「北の国から」本編見終わり、スペシャル版の「北の国から 83’冬」見る。笠智衆が雪の上に豆をまく。M家泊。
東京都の感染者数、561人。
11月29日日曜日
曇り。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。大学は推薦入試の日のため日曜でも食堂を開けた。終えて、往来座でチャリを借り、エーグルドゥースへ土産を買いに行くが店の外の列を見てやめる。30分ほど近くをぶらぶらしまた見に行くが、列が伸びていてあきらめる。往来座と大倉に寄り帰る。夕飯は、鶏肉クリームパスタ、さんま三匹、トマト。さんまはSが2匹、わたしが1匹。Sがネットでうまいさんまの焼き方を調べて焼いた。「北の国から `84 夏」見る。あばよ。正吉が富良野を去る。まだ子どもが食べてる途中でしょうが。Sが何度もモノマネしていた場面は、そこになるだいぶ前に、あーここかー、となる。M家泊。
東京都の感染者数、418人。
11月30日月曜日
晴れ。ヨーグルト。いい天気でよかったわね、と母。出かけに、なんかおいしいもの買ってきて、と1万円渡される。山手線のドアのうえの画面で、ダース・ベイダー役の俳優死去、9本足のマダコ見つかる、のニュースが流れる。上野駅構内のメルヘンで玉子とカツのミックスサンドを買い、新幹線の改札へ。改札内の下の階のコンビニニューデイズで雑誌と本のラックを眺める。赤川次郎や西村京太郎などの文庫新書コンビニ漫画が並ぶなかに、村上春樹の『一人称単数』が一冊だけ刺さっている。改札内の弁当屋土産物屋はみな開いているが、ホーム階の駅弁屋は3月から閉まったまま。新幹線はがらがら。車内アナウンスで、マスクの着用、おしゃべりはお控えください、向かい合わせ4人掛けの座席にするのはご遠慮ください、と流れる。
金沢駅に着き、K宅まで歩く。Kさんと昼飯を食いにいつもの大黒屋を目指しながら、最近すぐ近くであった火事の話をする。早朝5時ごろ火事があったが、Kさん夫妻は起きなかった。聞き込みに来た若い警察官に、あんなに消防車が来たのに?といぶかしがられた、とKさん。大黒屋でいつものカレー鍋うどん。食べながらKさんが最近行った蟲文庫の、恥ずかしくて二言くらいしか話せなかった、の話など。Kさんちに戻ると新聞社のMaさん。本の話。終えて、ひとりで『金沢ばあばのまほう手帖』の原画展をしている彗星倶楽部へ。本の編集と展示でお世話になったNさんに挨拶。会場を見ていると別れたばかりの新聞社のMaさんが慌ててやってくる。電話したらaさんが今日しかだめとのことで、Kさんも来、急遽車で泉鏡花記念館へ向かう。連載のお礼と本の話。鏡花本の展示を見せていただきながら、コロナ禍で寄贈本が増えた話、鏡花ファンの本へのこだわりなどを聞く。終えて、記念館の目の前にある神社の裏手、五木寛之が暗がり坂と名付けた坂をおり、すぐ横のあかり坂をあがって車まで戻る。ホテルそばまで送ってもらいチェックイン。Kさんとハンズ前で落ち合い、急いで待ち合わせの大関へ行く。大関は、おでんがカニ面をのぞき全品100円の日とのこと。『犀星映画日記』の打ち上げで、Muさん、Siさん、Kさんとわたしで飲む。前回わたしが来て飲んだ日から飲んでいない、とMuさん。本の売り方、SiさんKさんの体調、夫婦間の会話がない、など。出ると、外の地面は濡れているが空は晴れている。晴れと雨が交互にかわる金沢の冬の天気。解散し、犀川大橋までひとりで散歩、コンビニ寄ってホテルに帰る。エコノホテル金沢片町泊。
東京都の感染者数、311人。
12月1日火曜日
地面が濡れているが曇り。朝でも部屋が暗い。窓からは隣りのビルの非常階段と室外機が見える。腹がごろごろする。ホテルのバイキングで納豆ご飯。犀川大橋渡って室生犀星記念館へ行く。大橋から見える山、医王山なのか、の山肌が白い。記念館の展示は犀星の顔に焦点をあてた「犀星の肖像」。下駄を履いたような顔。青白い青年かと思っていたら猪みたいな顔だった、と、朔太郎にまで書かれる始末。本や雑誌にこんなにいくども、コンプレックスだった自分の顔や体型について書き残した作家が他にいるだろうか。唯一現存する、雑誌に載った朔太郎とのツーショット写真でも、犀星だけ酸っぱいものを食べた直後のような顔をしている。そして翌月号に犀星自身が抗議文を寄せている。
ロフトで買い物してから、彗星倶楽部へ。サイン会の日。長屋を改装したギャラリーで、展示室のすぐ横に茶の間があり、ふわーっと見に来た人が、ふわーっと一緒に茶を飲み、おしゃべりして帰って行く。神様の声が聞こえる人が来る。夕方、マスダさんの料理を版元のMaさんが届けてくれる。編集と展示のNさん、版元のMaさん、デザイナーのKiさん、Kさん夫妻、愛知から来たKoさんが揃い、茶の間で『金沢ばあばのまほう手帖』の打ち上げ。マスダさんのご飯、おいしい。能登の町別の田舎度、蒲郡のみかんとフグ、元夫の話などで盛り上がる。23時ごろ解散し、コンビニ寄ってからホテルまで。エコノホテル金沢片町泊。
東京都の感染者数、372人。
12月2日水曜日
晴れ。ホテルのバイキングに行く気にならず、昨晩コンビニで買って飲まなかったグリーンスムージーのようなものを飲む。チェックアウトし、荷物を抱えてKさんちへ。しばらくして新聞社のMaさんが車で迎えに来、新聞社の社内見学をさせてもらう。まだ新しいガラス張りのビル。報道から校閲までワンフロアにずらーっと机が並んでいる。どこかにあるスピーカーから刻々といまのニュースが流れ続ける。新聞用の大きなコピー機のそばに赤ペンと赤鉛筆が入った箱。部署によって直しを入れる色が違うんですよ、どこが直したかわかるように、と案内してくれたSuさん。2階にある社員食堂は、日替わりのA、B定食が各400円、す蕎麦は200円。周りに食べるところが少ないのでわりと夜遅くまでやっている、とのこと。おいしいですか、とたずねると、前の業者のほうが美味しかったな、と小声でMaさん。SuさんMaさんKさんと車で中華料理サイコロへ。中華のコースを食べていると、小さな舞台で中国琵琶の演奏がはじまる。東京で働いていたころ池袋の警察署に詰めていた話など聞く。金沢駅前まで送っていただき解散。
瓢箪町から浅野川沿いを歩き、東山の銭湯「大和温泉」へ。マンションの1階にある銭湯。入口に金沢の住宅でよく見る風除室。ガラス張りのこの建築物を風除室というのだと冊子『金沢民景』で知った。入ると、左手に昔の映画館のチケット売場のような手の部分だけ開いた小さな半円窓、ここで入浴代460円払う。右手に下足箱。靴を脱いであがるとロビー。テレビ、冷蔵庫、椅子にテーブルと一通りのものが置かれているが、目に入るのは天井を飾るネオン管と壁に展示された大小の絵。ネオン管は色とりどりの明かりがつき、脱衣所の天井へまで伸びている。女将さんに、シャンプーとか持ってます?タオルは大丈夫?あんまり荷物が少ないもんだから、と心配される。左手の女湯ののれんをくぐる。脱衣所は左手の壁一面にロッカー、右手に鏡、真ん中に長椅子、脱衣籠もあり。ロッカーは真ん中がガラス張りでなかが見え、なかに白いプラスティックの脱衣籠が入っている。たいてい洗い場手前にある流しがないのが珍しい。洗い場は、真ん中に島カランが一列、右手の男湯との壁に沿ってサウナ、水風呂、壁にカラン。正面の壁に、右から座ジェット、となにもない湯船。通路を越えて、正面の壁の左手は奥に引っ込んでおり、大きな長方形の、ぬるめの泡風呂になっている。湯は水風呂以外は茶色の温泉で、ヒアルロン酸のようなぬるっとさがある。左手の壁は、入ってすぐに流し、全身立ちシャワー。シャワーは壁の数カ所にノズルと、外国の風呂にあるような頭上固定式シャワーだが、シャワーヘッドのなかにノズルが4ヶ所見える。壁や天井は白やベージュを基調にシンプルだが、正面の壁には兼六園のことじ灯籠を模した半立体の石づくりのオブジェがくっついており、灯籠部分には明かりが灯っている。男湯との境の壁のうえのガラス部分にもことじ灯籠がデザインされている。受付にいるまだ若い女将さんに「かなざわおふろ旅スタンプラリー」の判子をもらう。「かがのと湯めぐりスタンプラリー」もはじまりましたよ、とそちらにも判子をもらう。銭湯の3階に作家5人のアトリエがあるそうで、ロビーや、外壁、銭湯横の通路にあるのはみな3階の作家たちの作品とのこと。銭湯はいつからあるのかわからないが、元々「大和湯」だったところを祖父が買って「大和温泉」にした、と教えてくれた。
浅野川沿いを歩き梅ノ橋をわたる。HATHiの店頭に龜鳴屋の本があるのを見、金沢城横の白鳥路を抜ける。途中にあった三文豪の彫刻を立ち止まって眺める。秋声は手にタバコと帽子を持ち、鏡花は胸に兎を抱え、犀星はひとり腰掛け帳面に、ふるさとは遠きにありて、の詩をしたためているところ。動物好きを表すためか、腰掛けた横にちょこんと小鳥も添えられている。あとからKさん夫妻に聞くと、あの道は昼でも暗くてよく痴漢が出た、犀星の眼鏡が昔はよく盗まれたとニュースになってたけど最近は聞かない、と教えてもらう。通りを越え、土産物屋が並ぶ紺屋坂をのぼり兼六園には入らず左折。兼六園沿いの細道を歩き金城霊澤へ。時間があるとよくここのなんでもない水を見に来る。21世紀美術館のミュージアムショップをのぞき、犀川にかかる桜橋をわたり、桜坂をのぼって寺町を抜け、泉野の銭湯「Zささのゆ」へ行く。平屋のような作りの銭湯。入口外に赤い三角コーンに守られながら「木村栄博士生誕の地」と彫られた石碑が建っている。入口に風除室、左手に24までしかない、なぜか20以降は数が順番通りに並んでいない下足箱。靴を脱いであがるとロビー。左手にフロント、フロント右手が女湯の入口。脱衣所に入ると、右手の壁沿いからロッカー、関西で見るようなベビーベッドがふたり分、ベッドのうえには水色の脱衣籠がのせられている。壁に木村栄博士の記事。生い立ちから、天文学の考え方のひとつZ項を発見した経緯、亡くなるときに枕元にそろばんがあったことまで、大きく引き延ばされた新聞が貼られている。洗い場に入ると、左手にサウナ、水風呂、泡風呂、座ジェットと、男湯との壁にくっついて並んでいる。ジェットは背中や腰に当たる水勢は弱く、前方から腹に向かってくる水勢が激しい。そういえば、「大和温泉」もここ「Zささのゆ」も洗い場に大きな球体の照明がぽつんとあり、東京では見たことがない。脱衣所で体を拭いていると、隣りのロッカーのおばさまが銭湯グッズ一式をロッカーのうえの棚にあげようと奮闘しているところ。手伝うと話しかけられる。土鍋でお米を炊くときって、水はどれくらい入れるのかしら。弱火でやってるんだけど、焦げちゃうのよ、芯もあるし。もらったんだけどね、土鍋。フロントの女将さんに「かなざわおふろ旅スタンプラリー」「かがのと湯めぐりスタンプラリー」に判子をもらう。うちのおじいさんはね、歴史の本を書いたこともあるの、それで新聞も貼ってあるのよ、いまは施設にいるんだけど、ここで銭湯やってた人から買ってはじめたって聞いたわ。ロビーの壁には鉛筆で書かれた落書きと、身長を記したあとがある。小学生のお孫さんのものとのこと。
銭湯に向かって歩いているときは感じないが、Kさんちまでの帰りの道のりがえらく遠く感じる。やっと着いたKさんちで、Kさん夫妻と茶を飲みながら、盗まれた犀星の眼鏡、誰にお願いするかの話などしているうちに時間が過ぎる。慌てて金沢駅のあんとへ、GOTOでもらった千円分のクーポンを使い土産物を買う。母にきんつば、往来座に天狗のジャーキーなど。20時に黒百合にすべりこみ、生ビール。丸芋のとろろ、金時草のポン酢和え。日本酒冷やで頼み、最後におでんの車麩をと注文すると売り切れだった。カウンター目の前に置かれたおでんの鍋は透明のパーテーションで囲まれ、カウンターはグループごとに色付きのパーテーションで区切られ、隣りの人の顔もわからない。声だけ拾うと、右隣りの女性ふたり組は外国のクリスマスの本気度合い話し、左隣りの三人組は、大分から来た男ふたりと、どこかでナンパされた観光客のおんながひとり。今夜は帰さないぞー、と昭和なことばを吐きながらひとりの男が笑い、もうひとりの男は金沢のおでん薄くない?と文句を言いつつ食べている。隣りの顔は見えないが、今夜は帰さない男は頭のなかで「北の国から」の草太にーちゃんの顔になる。女はときどき笑い、大分行ったら連絡するねー、しろよー、と言い合っているが、連絡するほど会話が盛り上がっていない。ぎりぎりまで飲み、21時金沢発の新幹線で上野まで。雨が降っているから迎えに行くよ、とSが目白駅まで迎えに来てくれたが、着いたときにはやんでた。M家泊。
東京都の感染者数、500人。
12月3日木曜日
晴れ。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。終えて、往来座へ。夕方、Sと西巣鴨まで車で本の買い取りに。戻って往来座で、金沢で買った天狗のじゃーキーをつまみに本搾り飲む。nから漫画『水は海に向かって流れる』借りる。大倉で買い物。夕飯は、春菊肉蕎麦、ゴーヤのツナ和え、サンマの開き、金沢で買ったへしこをクリームチーズにのせたもの。この食べ方は別院通りのYのメニューにあったもの。へしこ、うまい。「北の国から `87 初恋」見る。れいちゃんの白い手袋。アイラブユー尾崎豊。M家泊。
東京都の感染者数、 533人。