断片日記

断片と告知

コロナの秋 9月24日から9月30日

9月24日金曜日

晴れ。鶏肉ナスパプリカのグリーンカレー、ルーはハナマサオリジナル。手軽でうまい。鶏肉の白、ナスの黒、パプリカの赤、が炒めていて楽しい。Sは往来座へ。昼過ぎ、東池袋の再開発地域を歩きながらスマホで動画を撮る。封鎖されている柵に、この奥に住人がいます、と書かれた貼り紙。再開発に反対する黄色いのぼり。日に日に町の解体が進んでいく。伸びてきた髪にげんなりし、近所の美容室を検索して予約の電話。やりたい髪型はあるものの名前がわからず、下を刈り上げ頭頂部に髪を残す、ちょんまげ、などで検索するとマンバンという単語と写真が出てくる。念のため電話でマンバンが出来るかどうかを確認すると出来るとのこと。夕方、鬼子母神通りのSヘアへ。どれくらい切ります、と聞かれ、怖いのでこれくらいで、とスマホで探しておいた浅めのマンバンの写真を見せる。よかった、電話でマンバンって聞いたとき、どうやって女性らしさを出そうかと思って悩んじゃって、天辺にちょっとだけあるやつかと思ってたからドキドキしちゃった、と美容師さん。頭頂部に髪をまとめ、襟足にバリカンを当てる。いきますよー、わー、とはしゃぎながら襟足、耳の後ろ、もみあげを刈りあげていく。女でマンバンをやるのはじめてとのこと。マスクの紐のあたりが切りにくそうなので、一瞬マスク取りますか?と聞くと、大丈夫、もう2年もこれだもの、慣れました、たまに店に入ってきたとたんマスク取る人もいて、でも言えないんですよー、女性はまだいいんだけど、男性は耳の後ろ側の際までびっしり生えてる人がいるから大変。刈りあげ部分は薄過ぎても怖いのでおすすめの9ミリにしてもらう。放ったらかしでぼーぼーだった部分も整えてもらい、シャンプーして終わる。長い部分をおろしていると刈りあげた部分はまったく見えず、薄毛のおかっぱに見える。3週間くらい経って生えてきた毛が長過ぎだなーと思ったら次はもっと短く刈りあげましょう、ちょうどいいなーって感じだったら9ミリで正解かも、ちょっと様子みましょうか、コスパがいいのは自分で刈ること、真後ろは人にやってもらって。酔っぱらってやったらだめですよ、と念をおされる。髪が軽くて気持がいい。小腹がすき、S家で昨日nにもらったイチジクのパンをトースターで焼いて食べる。夜、往来座へ。マンバン頭、ru先輩とnには好評。長いもっと刈ったほうがいい、次は俺が刈る、とS。本搾り。大倉で買い物。夕飯は、シソ豚つくね鍋。Sはイチジクのパンと梨も食べる。映画「タクシードライバー」観るも途中で寝落ち。音楽がムーディー。S家泊。

東京都の感染者数、235人。

 

9月25日土曜日

曇り。明太クリームパスタ。Sは往来座へ。『火の鳥』読んで過ごす。夜、家に寄り、母が作った手羽元と玉子の煮物もらう。大倉で買い物してから往来座へ。Sとnは、先日買い取りし店の奥に積んであった本の山から市場に出品する分を仕分けて縛っている。『東京の古本屋』献本分から1冊もらう。本搾り。今日の昼、Aラージでマトンカレー食べたんだけどすごくおいしかった、とru先輩。夕飯は、ブロッコリーアボカド、母にもらった手羽元と玉子の煮物。映画「タクシードライバー」の続き観る。頭のおかしくなった帰還兵が皆殺しにして終わるのかと思っていたらぜんぜん違った。トラビス最後死ぬかと思ってたのに、とS。S家泊。

東京都の感染者数、382人。

 

9月26日日曜日

曇り。ナスとひき肉のカレー、ルーはジャワカレーハーフとバーモントの中辛。「こころ旅」、岐阜の飛騨古川の回を見る。鯉のリボンちゃん。瀬戸川に泳ぐ鯉に向かって日野正平が手紙を読んでいる。これ俺いっぱい出てくる、と『東京の古本屋』を読みながらS。Sは往来座へ。『火の鳥』と『東京の古本屋』を読む。わたしもぽつぽつ出てくる。本のなかのSは、昼間は三升屋の弁当を食べ、店では古本屋の仕事をしている。最近のSは、家で昼飯を食べてから出勤し、店でも家でも動画ばかり作っている。日常は同じことの繰り返しに見えてそうでもなく、このときだけのなんでもない日々のことがことばになって本に残っている贅沢さ。夜、往来座へ。saさん、めずらしいことりのHちゃん、miくん。本搾り。ハナマサで買い物。夕飯は、豆もやしのナムル、冷奴、豚肉ピーマンレンコン炒め。ハーゲンダッツのアイスをふたりでひとつ食べる。S家泊。

東京都の感染者数、299人。

 

 9月27日月曜日

曇り。寝坊。かき玉うどん。昼のニュースで小室圭さんが長い髪を結んでいるのを見、あの頭うらやましい、俺もやりたい、とS。慌てて支度をし、Sと車で神保町の古書会館へ。古書会館の駐車場も近くの駐車場も埋まっており、空くまで古書会館の周りを3周する。カーゴ2台分を中央市に出品。終えて、車で内神田へ。コインパーキングに車を停め、Sは免許の更新のため神田免許運転更新センターへ。わたしはその間、神田周辺を歩き、銭湯「稲荷湯」の場所を確認。神田西口商店街のアーチを見、そのまま商店街を散策。tabacco、公衆喫煙所、と書かれた自動ドアに人が出入りし、ガラス戸の向こうで煙草を吸っている。飯屋が道の両脇にびっしり並び、それ以外はマッサージ屋と個室ビデオ屋の看板が目立つ。2時40分の開店時間を目指し、銭湯「稲荷湯」に戻る。ビル街でぱっと見どこに銭湯があるのかさっぱりわからないが、レンガタイル貼りのビルの1階にのれんがさがる。白いのれんの真ん中に横に「稲荷湯」、右端に縦に殿方、左端に縦に婦人、その横に長谷川と黒文字で書かれている。のれんをくぐると、左手に下足箱、正面に自動ドア。入ると正面にフロント、手前に小さなロビー、フロント左手が女湯の入り口。入り口のうえの壁に、滝のうえに富士山、の絵がかかる。脱衣場。小さな島ロッカーが真ん中にひとつ、その背に洗い場に向かってベビーベッドがついている。左手の壁にサイズが小さめのロッカー、洗い場の手前左手に便所とコイン洗濯機が1台。右手の壁沿いに古いマッサージ機、赤いお釜の髪乾燥機、乗るとがちゃんと音のなる古い体重計、鏡と流しが並ぶ。右手の男湯との境の壁のうえには、石造りの大きなガマが座布団にのって鎮座している。洗い場。右手に立ちシャワー1台、そのまま男湯との壁沿いにカラン、島カランが真ん中に1列。左手の壁にもカラン。湯船は奥の壁沿い右手から、あたる場所が少しずつ違う座ジェットが3台、泡風呂、と区切りなく大きな湯船に並んでいる。湯は熱めな気がするが、温度計を見ると42度。湯船の奥の壁は半分くらい凹んだ部分があり、そこだけ茶色い長方形のタイルと、所々にヨーロッパの家並みのようなタイルが貼られている。そのうえの壁は、富士山のペンキ絵。男湯との真ん中に大きな富士山、そこから裾野がずーんと壁の端まで続いている。裾野の下には、左から、満開の桜、ひまわり、紅葉した木、雪ののった松の木、が並んでいる。ちらっと見える男湯のペンキ絵は、富士山の下に桜が見える。桜とひまわりの下に、広告が5枚貼られている。便利屋、広島料理、パン屋、居酒屋、霊験目薬。ビジネス街のため皇居ランナーと近隣で働く人たちが多い銭湯だと思っていたが、以外と年配の方たちが多い。フロントで銭湯遍路の判子を押してもらう。女湯入り口にかかる絵を指し、誰が描いたものかとたずねると、奥のもそうなんだけど、田中みずきさんの、この絵を持って営業に来てね、と店主。スタンプ帳の判子の下にある枠を指しながら、ここに日付けとか、田中みずきとか書いておかないと、見直したときに忘れちゃうから、と教えてくれる。ここは俺が生まれたときからだから65年、名前の由来はそこにお稲荷さんがあるから。「稲荷湯」のビルの横手、道に面している男湯の洗い場部分が一部ガラスブロックになっている。その斜め向かいに小さな新宿稲荷神社がある。コインパーキングに向かって歩いていると途中でSと出会う。Sにも「稲荷湯」の外観を見せてから、車で雑司ヶ谷に戻る。免許更新の講習で、講師の人の話し方が早すぎて何を言っているのかさっぱりわからなかった、とS。本籍地がわかるというバーコードが印字された紙を渡されたが、なにに使うかまったくわからない、とS。渡された冊子によると、昨年から交通事故の死亡者数が戦後はじめてくらいに減ったとのこと。道路に描かれたひし形のマーク、あれわかった、近くに横断歩道がありますよ、ってマークだった、とS。雑司が谷に戻り、Sと歩いて、池袋西武の地下のトミカショップへ。ミニカーを見るも欲しい車が見つからず。そこからビックカメラ、ヤマダラビのトミカショップも見る。ビックカメラで広島の路面電車のミニカー買う。西武の地下のガーデンでつまみ、みつぼで焼きトンを買い、往来座へ。店の奥にテーブルをセッティングする。Hちが来たのでローソン100に酒を買いに行き、缶ビールで乾杯する。『東京の古本屋』刊行記念飲み会。遅れて丸三での仕事を終えたZA先輩来る、また乾杯。近所のuとMiが通りかかってHちの本を買っていく。後からuが実家から届いたぶどうを届けてくれる。東京、コロナ、古本屋の三重奏。BOEES。宮崎県のシャッター商店街。心霊動画。まじめな姿勢で書かれたものは長く残る、とu。11時過ぎまで。久しぶりに飲み会というものをした。片付けて帰る。M家泊。

東京都の感染者数、154人。

 

9月28日火曜日

曇り。ミョウガ山芋納豆ご飯。昼過ぎ、Sと目白駅へ。山手線で高田馬場まで、東西線に乗り換えて木場まで。Sは、今日の切符はぜんぶ持って帰るからと言いながら、言ったそばから忘れて切符を自動改札に吸わせている。木場公園を抜けて東京都現代美術館へ。予約していた「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」を観る。神話、死、瀧、繰り返し。すごい情熱だなぁ、とS。売店見るもなにも買わず。過去作品にマスクをコラージュした作品。常設展も観るかと聞くと、もういっぱいいっぱい、無理、とS。木場公園で蚊にくわれたので近くの薬局でウナクールと本搾りを買う。ウナクール、すぐ効いてすごい。本搾り飲みつつ、門前仲町まで散歩。歩いているとすぐ川にあたる。富岡八幡宮、すぐ横の成田山深川不動産の周りには道沿いに屋台がたっている。植木屋、焼そば、焼き鳥、古道具。夕方で屋台は仕舞いつつあるが、観光地に来たようで楽しい。深川不動産は、社のすぐ裏手に高速の高架が走っている。越中島東京海洋大学の横を抜け、明治丸の横から向かいの相生の里を眺める。一平ちゃんを思い出す、とS。中の島公園から相生橋にあがり、橋を渡って月島へ。Sはまた股擦れが痛いとがに股で歩いている。せっかくだからもんじゃ食べたい、ともんじゃストリートを歩くと、道の片側が高層マンションになっていて驚く。もんじゃストリートは半分くらいシャッターがおりているが、開いている店にはそこそこ人が入っている。飲める店がなさそうなのでもんじゃは諦め、普通の居酒屋に入るとたまたま信州料理の店。誰もいない2階のテーブル席で食べ飲み、蕎麦でしめる。門前仲町も月島も歩いていると路地の奥に小さな飲み屋の明かりがぽつぽつ見える。とてもうらやましい。有楽町線で月島から東池袋まで。マルエツで買い物し、都電の線路でSと別れる。M家泊。

東京都の感染者数、248人。

 

9月29日水曜日

晴れ。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。食堂の営業時間が終わり、テーブルに置かれた飛沫防止用のパーテーションを拭いていると、一緒に拭いていたTさんが大きなため息をつき、これしなくて済むように早くなって欲しい、と独り言のようにつぶやく。終えて、家に寄り、母にミョウガをもらう。大倉で買い物してからS家へ。Sは休日、布団に転がるかブログを書くかしている。あまりにも手持ち無沙汰だから短いの作った、と、nがカンペを折る動画を見せてくる。さいとうたかおの訃報。夜、Sが散歩したいというのでマルエツまで。買い物して本搾り飲みながら、歩いたことのないマルエツの向かいの高速高架したを探検しつつ帰る。夕飯は、トマトアボカドブロッコリー、冷奴、なかがわ製麺で買った皮で作ったシュウマイ。皮がつるつるしてうまい。映画「ベルリン天使の詩」観る。学生のころ好きだった映画のひとつ。子どもが子どもだったころ、と字幕が流れた瞬間に、あー、と思う。有楽町の駅出てすぐの果物屋の向かい、焼きそばと立ち食い蕎麦屋の隣、1階がゲーセンのその2階の映画館で「ベルリン天使の詩」と「東京画」の2本立てを観たこともあった。いつも遅刻してくるYUさんと。M家泊。

東京都の感染者数、267人。

 

9月30日木曜日

曇り、ときどき小雨。納豆ご飯。NHKフジロックの感染対策を追いかけた番組。クラスターは発生しなかった、とのこと。食堂アルバイトへ。終えて、往来座へ。Sが一日店番。頼まれてローソンでアイスコーヒーのメガを買い、郵便局に分厚いゆうパックを出しに行く。S家へ。掃除。ここ数年、全集『伝え継ぐ日本の家庭料理』で目次と表紙の装画を描き、単発の絵を描き、金沢での展示も3度あり、常に目の前にあることを追いかけ過ごしてきたが、8月に全集最後の装画を提出し、その後ぽつぽつ装画の仕事があったもののそれも終わり、あれ?この先ぽかっとなにもない、と2ヶ月経ったいま急に実感が押し寄せる。家に寄り母の作ったピーマンの肉詰めもらう。夜、往来座へ。本搾り。夕飯は、豆もやしのナムル、トマトブロッコリー、冷奴、ピーマンの肉詰め。「ベルリン天使の詩」の特典映像を観る。M家泊。

東京都の感染者数、218人。