断片日記

断片と告知

コロナの冬 12月31日から1月6日

12月31日金曜日

曇り。寒い。S母がくれた菊芋とベーコンのジェノベーゼパスタ。菊芋が甘くてうまい、とS。あちこちオードリーで爆笑問題の回。反省会で、このまま23時以降テレビラジオ男でいるか、ゴールデン覇王になるかの分かれ目、と若林。Sは布団に埋まりながらブログを書いたりユーチューブを見たりしている。家に一度寄り、副都心線雑司が谷から祐天寺まで。電車内の画面では、生活困窮者に食料を配る街角、2年ぶりに開催のコミケ、元旦にかけて大雪のおそれのある日本海側、のニュースが流れている。祐天寺の改札を出、東口の商店街を抜け駒沢通りに出て右折、すぐ次の角に大きな更地、その向こうに大きな煙突が見える。年末の空と煙突がとてもきれいだ。空き地の手前を右折すると1軒越えてすぐ銭湯「効明泉」がある。入り口左手にコインランドリーと自販機、右手の路地では猫が1匹鳴いている。入り口には自転車が数台とめられ、人がひっきりなしに出入りしている。正面ののれんをくぐると、正面と左手に下足箱、正面奥に自動ドア、越えると小さなロビーがある。ロビーは右手にソファスペース、左手にテレビと飲料水の冷蔵庫、正面にフロントがあり、天井から小さなシャンデリアのような明かりがさがっていてる。フロント右手が女湯の入り口。脱衣場。木の板で斜めに覆われた天井、丸太を1本削ったようなどーんとしたベンチ、と木がふんだんに使われている。ロビーのシャンデリアの暗さや入り口周辺の木陰と合わさり、銭湯全体がどことなく山小屋を思わせる。右手の壁にロッカー、島ロッカーが真ん中にひとつ、道に面したガラス戸の向こうに小さな庭がある。ガラス戸手前にコインランドリーの洗濯機が3台か4台、と便所。洗い場。左手すぐにふたり分の立ちシャワー、左手の男湯との壁沿いにカラン、真ん中に島カランが1列。右手は休止中だと思われるサウナ、サウナの手前に建つ壁にもカラン、右手のサウナの奥の壁にもカランが少しある。湯船は右手の壁の真ん中あたりから正面の壁に沿って「く」の字型に置かれた大きな変形湯船で、その左側に寝ジェットがひとつ、パイプのみで仕切りられた座ジェットがふたつ並んでいる。寝ジェットのほうは壊れているのか湯が出ていない。正面の壁一面に、ピンク紫色系の細かいタイルで大きな山脈が描かれている。今日は若い人が多いね、今日でおしまいだから、とここでも常連客の声が響く。湯は熱めだが、赤ん坊を抱えた若い母親が湯船に入ってくる。えらいわねー泣かなくて、と常連客。パパと何度か来てるから慣れてるんです、今日は最後だからゆっくり入りたいって、と母親。湯からあがりフロントで銭湯遍路の判子をもらう。女湯ののれんのしたからさっきの赤ん坊がはいはいで顔を出し、そのたびに母親に連れ戻されている。はいはいの赤ん坊のお兄ちゃんが男湯から顔を出し、ちらっとこちらの冊子をのぞき、ぼく14個、と言いながらわたしの顔を見上げてくる。女湯のタイル絵を聞くと、モンブラン、そこの写真の、とロビーの壁に貼られた写真を指しながら女将さん。男湯から出てきた年配の男が、長い間本当にありがとうございました、と女将さんに頭をさげていく。ふたりで、あ、判子もらっていいですか、長い間お疲れ様でした、と入ってきた二人連れ。フロントで缶ビールを買い、飲みながら銭湯を出る。駅まで戻り反対側に出、上目黒小学校の脇から住宅街をおりていき暗渠のようなゲートを抜け、蛇崩・伊勢脇通りと書かれた電柱を越え、中目黒駅のある山手通りに出る。Sに電話をしようと携帯を見ると1%しかなく、見回すと改札内に公衆電話を見つけ、財布にあった30円で電話をかける。30円分ってこんなに短いっけ?と思うくらいすぐ電話が切れる。副都心線直通に乗ると急行で、雑司が谷にはとまらず池袋に出る。東口に出、また東池袋マルエツでSと落ち合い買い物。本搾り。夕飯は、トマト、マルエツで半額になっていたほうれん草のおひたし、マルエツで安くなっていた寿司のパック、マルエツで買った天ぷらで年越し蕎麦。紅白とお笑いをいったりきたりしながら、ハーゲンダッツのアイスを一口だけ食べる。チャンネルを変えるとちょうど紅白で中村佳穂からの宮本浩次。映画「マトリックス」を観る。昔観たときは戦うシーンがひたすらかっこいいと思っていたが、いま観るとなんか違う。白人のカンフーシーンってなんかださいよね、とS。Sは夜遅くまでブログを書いている。Sの手帳によると、今年わたしは81本、Sは84本映画を観たらしい。S家泊。

東京都の感染者数、78人。

 

1月1日土曜日

晴れ。KOさんがくれた餅をトースターで焼く。黄色っぽい粟餅と白い餅をひとり4個ずつ、わたしは醤油をつけ、Sはキナコ砂糖醤油で食べる。どちらの餅もうまいが、粟餅の歯ごたえがとにかくうまい。Sは布団にくるまりながらブログを書きつつテレビを見ている。わたしは炬燵でブログを書きつつテレビを見ている。爆笑ヒットパレードのビック4のトークを見て笑う。夜、Sと護国寺まで散歩。猛烈に寒い。境内にカップルが一組、年配の男がひとり、とほぼ人がいない。お参り。セブンイレブンに寄るが棚にものがほとんどない。正月で物流が止まっているからだ、とS。S家に帰り、Sだけ自転車でミニストップへ。夕飯は、水餃子鍋、しめにラーメンをふたりで一玉。Sがミニストップで買ってきた麦チョコをふたりで一袋食べる。映画「ユリイカ」を観る。S家泊。

東京都の感染者数、79人。

 

1月2日日曜日

晴れ。かき玉うどん。Sは布団にくるまりブログ書きつつユーチューブを見ている。ひたすらごろごろ。書くことないよねー、とS。夜、家に寄り母から手伝うよう言われ、かまぼこを切ったりナルトを切ったり皿に並べたり。6時過ぎ、往来座へ。Sと、しばらくしてZA先輩が来、先輩が買ってきた缶ビールで乾杯。6時半、3人でM家へ。ここ数年恒例になった母のおせちと雑煮を食べる会。母の作るものは全体的に味が薄いが今年はとくに薄い。八頭の煮物が好きなSが3回おかわりをする。食後、Sが鳥好きな母のために持ってきたバードカードゲームで対戦。鳥の親子集めゲーム、鳥の親子神経衰弱。思った以上に盛り上がる。先輩がアホウドリのカードだけは絶対取ると固執する。今年はあと2〜3回集まってやりましょう、とZA先輩。9時過ぎに家を出、Sと先輩と、これも恒例になった目白台の東京カテドラル教会まで散歩。24時間開けっ放しの敷地内の奥にある喫煙所でSと先輩が一服。すぐ横でタクシーが一台休憩している。極寒にも関わらずタクシーはエンジンをつけっぱなしにせず、つけたり切ったりを繰り返している。こういうひと好き、っと先輩が言う。「おかえりモネ」でのりょーちんの演技が受け入れられない問題、ZA先輩がいいドラマだから見ろとすすめる「透明なゆりかご」。護国寺で先輩と別れ、Sともののないセブンイレブンで買い物して帰る。Sが言い張るので映画「マトリックスリローデッド」を観る。アクション、説明、カンフー、説明、キスシーン、説明、カンフー、説明、の繰り返し映画。アクションシーンも観念的な説明も冗長でさっぱり面白くない。こんなはずではなかったと思いながら寝る。S家泊。

東京都の感染者数、84人。

 

1月3日月曜日

晴れ。早めに起きる。ツナトマトソースパスタ。今年から昼12時前に店を開けると忘年会で誓ったSは、いつもより1時間早く家を出る。ブログ書き。銭湯の描写が長くなりがちでつらい。夕方、東京の感染者数が100人を越えたとニュース。夜、サンシャイン通りブックオフとパルコの世界堂で買い物、三省堂で立ち読み、ツルハハナマサで買い物してから往来座へ。Sはひとり店番。年末年始でたまっていた通販を片付けている。本搾り。時間がかかりそうなのでSを残して先に帰る。10時過ぎ、S帰る。夕飯は、トマト、ピーマンれんこん豚バラの炒めもの、かぼす煮麺。ここ最近、赤瀬川原平のファンタジーっぽいやつ、岡田睦『明日なき身』、手塚の『火の鳥』を読んでいたSは、頭に入ってこない、いまこういうのを読みたいんじゃないんだよなー、とひとりぶつぶつ言っている。岡田睦ってうーむ、と言いながらSが納得いかない箇所を読み上げている。なにを読むか悩んでいると、これ読みな面白いから、と揚羽堂さんの『古本屋残酷物語』をすすめてくる。「小川の兄貴」がほぼ毎日出てくる。S家泊。

東京都の感染者数、103人。

 

1月4日火曜日

晴れ。玉ねぎ人参豚バラのカレー、ルーはカレーの壺。以前使っていたカレーの壺マイルドのほうがうまい気がする。Sは往来座へ、一日店番。ここ数年年賀状は出したりやめたりだったが急に思い立ち消しゴム版画を作る。虎柄。刷り終え、夕方歩いて小石川図書館まで。閉まっていたのでポストに本を返却。歩いて大塚のブックオフ東池袋マルエツとまわり、S家に戻る。シチューの鶏肉を煮込む。往来座へ。昨日今日と売り上げはぼちぼちとのこと。レジの金が合わない、鍵が見つからない、とSが騒いでいる。本搾り。ハナマサで買い物。近所の猫番してからS家に帰る。夕飯は、トマト、高級食パンの残りをトーストしたもの、シチュー。ノルシュテインの映画「アオサギと鶴」「霧につつまれたハリネズミ」「話の話」を観る。なにがマーベルだよ、なにがザイオンだよ、みんながノルシュテインがすごいって言うのがやっとわかった、とはじめてノルシュテイン映画を観たS。なんかすごいショック、もうこれ以上観れない、とS。『古本屋残酷物語』の続きを読む。S家泊。

東京都の感染者数、151人。

 

1月5日水曜日

晴れ。昨日のシチューの残りにベーコンとほうれん草とチンした飯を足したリゾットもどき。うまい、とS。沖縄、新規感染者600人の見通しのニュース。どうするの1月行くってはっちに言っちゃったじゃん、とS。行くのが無理な旨をはっちにライン。Sは休日、布団にくるまりブログを書くかユーチューブを見るかしている。昨日の版画の続き、家にあった他の色の紙にも刷る。夜、uの家の下で待ち合わせ。知らないおじさんが作った餅をもらう。スパークリングワインを飲みながら高田馬場まで散歩。ブックオフで何冊か買う。近くの安安で生ビール、ナムル、にんにく、焼肉。長野が数年ぶりに大雪で1日で30センチ積もった話、姪っ子が雪を憎んでいる話、uが山で見分けられるきのこが2種類だけある、など。歩いて雑司ヶ谷まで、都電のところで解散。ファミマで買い物して帰る。S家泊。

東京都の感染者数、390人。

 

1月6日木曜日

曇り、雪。寒い。ツナほうれん草トマトパスタ。昼前から雪が降り出す。Sは往来座へ。雪やまず積もりだす。夕方Sから、今日車で買い取りに行けるかどうかの確認電話。S家から往来座まで歩いてみると、大通りは行けるが脇の小道は雪が積もり車で行くのは危険と判断。往来座に行き、今日は無理、危険、とSに言う。買い取り先に電話し延期してもらう。往来座で梅酒のホットを一口飲んでから、西武本社のデッキへ。デッキの半分は閉鎖され、残りの半分に雪合戦をする人たち、雪だるまを作る人たちなど。パルコの世界堂で買い物。池袋東口に出ると、オレンジ色のベストをつけた人たちが歩道のあちこちを雪かきしている。東池袋マルエツで買い物。本搾りを飲みつつ霊園を抜けて帰る。雪景色がとても美しい。途中4回滑り、1回は膝もつく。猛烈に寒い。町のあちこちでしゃべるがアスファルトをこする雪かきの音がする。9時過ぎSが帰る。夕飯は、トマト、母がくれた鶏の味噌漬けとピーマンれんこん炒め、かぼす煮麺。もらったかぼすはこれでおしまい。ZA先輩がいいという「透明なゆりかご」1話目を見る。S家泊。

東京都の感染者数、641人。