断片日記

断片と告知

コロナの春 5月20日から5月26日

5月20日金曜日

曇り。暑い。チリビーンズパスタ。チリビーンズは食堂でもらったもの。パスタはマルエツのオリジナルブランドで、ショートパスタのガザレッチェ。マカロニが縦に切れたような形でむにむにしてうまい。TVerでテレビ千鳥、野に咲く花の回を見る。大悟が道端に咲くたんぽぽたちに話しかけている。Sは往来座へ。昨日届いた試作品を陽の光のしたでもう一度見、返信。夕方、Sと車で野方まで買い取りへ。すぐに終わり引き返す。近ごろ届いた封書のことで頭がいっぱいなSは、組合に聞いてみる、Kに聞いてみる、逆恨みされたら怖い、でも必要な人のところへ本は届けたい、と車中ずっとぶつぶつ言っている。往来座に本をおろす。Sと車で駐車場まで。Sは店へ、わたしはS家に戻る。夜また往来座へ。asさん、ru先輩、saさん。本搾り。asさんの憂国、横の会。大倉で買い物。夕飯は、トマトかぼちゃ、鮭の西京焼き、肉ネギ蕎麦。飲み過ぎで早々に寝る。S家泊。

東京都の感染者数、3573人。

 

5月21日土曜日

雨。ミートソースのガザレッチェ。古書組合のユーチューブでコショなひと、を見る。ゲストは古書りべる・りべろさん。古本屋になるきっかけを作った丸山さんのこと、古本が売れなくなったきっかけは阪神大震災、家に本を置くのをやめるようになったからとのこと。石神井さんは本が売れなくなったのはウインドウズ98が出たからだって言ってた、と見ていたS。古書組合で社長以外ではじめて会った古本屋がりべるさん、社長と神奈川の組合に行ったとき、これ池袋を任している瀬戸くんって社長が紹介してくれて、とS。6月の長野行きの列車とホテルの予約をする。夕方、往来座へ。nと買い出しに行くつもりが急な来客で行けず。閉店後、セブンでつまみと酒を買い、8時半からダブリンのめずちゃんとSとnとzoom飲み会をする。めずちゃんは学生寮の部屋でベーグルに野菜を挟んだサンドイッチをつまみにギネスのロング缶を飲んでいる。窓からは曇天と遠くの山が見える。ダブリンの物価が高いこと、日本は安すぎること、日本人は若く見られること、痩せすぎだと言われること、あちらでは尻が大きいことが良しとされそれ用のクリームを尻に塗っているらしいこと、スタバは高いけどよく行くスタバは静かで居心地がいいこと、など2時間ほど飲みながら話す。毎日精一杯で今後のことはまだ考えられない、と。もっと若いときにやっておけばなぁ、とめずちゃんが何度も言う。なまじ経験があるとやったらどうなるかの先が見えてしまいかえって何もできないらしい。10時半過ぎ、店内を片付けて帰る。夕飯は、かき玉うどんを半玉ずつ。食後に、細かく切ったイチゴとバナナにヨーグルトとヨーグルトアイスをのせたものを食べる。うまい。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』下巻を読みはじめる。S家泊。

東京都の感染者数、3464人。

 

5月22日日曜日

晴れ。気持ちがいい。納豆ご飯。通販で送る本を間違えた、お客さんから問い合わせが来て、でも本当に送る本はその次の日に売れちゃってて、とSがどんよりしている。往来座に出勤したSから電話。なんでかわかんないけど売れたと思ってた本があった、よかったけど、なんでか意味がわからない、と複雑な声。絵。夕方、往来座へ。Sと近所に買い取りの下見へ。終えて、nとpoさんとサンシャイン60成城石井西友へ。ダブリンのめずちゃんに送るフリーズドライの味噌汁などを選んで買う。アイルランドへ送れない品物リストにある、あへん、火薬などはいいとして、「性病の予防又は治療の方法の宣伝に関する文章、と博又は占いに関する文章」とか「絹又は人絹の靴下」とか「婦人用の帽子」とかいろいろ意味がわからない。歩きながら、いい陽気だねぇ、とnが言うと、陽気とか言うのがおばちゃんなんだよ、中学生は天気のこととか言わないよね、花がきれいねぇとか、買うつもりのない洋服の生地をすれ違いざま指で触ったりするとか、いつからそれを人はやりだすのか、と言い合う。買い物終え、poさんと池袋駅そばで別れ、nと往来座に帰る。本搾り。大倉で買い物。夕飯は、トマトセロリ、母にもらったサバのみりん干し、小松菜蕎麦をふたりで半分ずつ。イチゴとバナナにヨーグルトとヨーグルトアイスをのせたもの。映画「ホテルハイビスカス」観る。原作を変えるなら変える意味が欲しい。S家泊。

東京都の感染者数、3317人。

 

5月23日月曜日

晴れ。気持ちがいい。カブとベーコンのパスタ。Sは往来座へ。絵。夜、往来座へ。本搾り。夕飯は、トマト、ピーマンじゃが芋肉炒め、小松菜蕎麦。M家泊。

東京都の感染者数、2025人。

 

5月24日火曜日

晴れ。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。終えて、S家へ。Sは休日、布団に転がりユーチューブを見ている。これ見て、と編集を終えたBスポの動画を見せられる。絵。夜、M家へ。母にチキンのトマト煮をもらう。大倉で買い物。オリオンビールを飲みながら旧高田小跡の公園を抜ける。この景色を王子に見せたいね、と通るたびにSが言う。夕飯は、トマトカブセロリ、チキンのトマト煮、ミョウガ納豆そば。映画「月はどっちに出ている」を観る。タクシー会社で働く在日朝鮮人の男、歌舞伎町でフィリピンパブを経営するその母親、そこで働くフィリピン人の女、おれは朝鮮人は嫌いだけどあんたのことは好きだ、と言い続ける新潟出身の男。人の持つ気持ち悪さと気持ち悪さのなかにある明るさが綱渡りのように描かれていてとても好きだ。M家泊。

東京都の感染者数、3271人。

 

5月25日水曜日

晴れ。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。終えて、往来座へ。sとnと副都心線雑司が谷から北参道まで。セブンイレブンで缶ビールと安全カミソリを買い、飲みながら鳩森八幡神社まで。境内のベンチにSを座らせ、さっき買った安全カミソリで坊主頭の襟足の剃り残しを剃る。その様子を見ながら、これはあれだな、デコちゃんと松山善三だな、とn。神宮球場に着くまでに缶ビールを2本飲む。第一ゲートから入り、ライト側のポールのそばの指定席へ。今年から球場内での酒の販売が復活し、酒のタンクを背負った派手な衣装のおねえさんたちが球場内の階段を行ったり来たりしている。半休をとったru先輩、遅れて仕事帰りのas さんも来る。今日は名画座手帳編集部の決起集会。生ビール、レモンサワー、ポテト、ピザ、ソーセージなどやりつつヤクルト日ハム戦を観る。タンクを背負うおねえさんに、どうしてこの仕事を?と聞くと、野球が好きだから、と。コロナ禍で釣り銭のやりとりが銀色のトレーにかわった、と教えてもらう。向かいに見える三塁側のベンチにビックボスがいるはずだが遠すぎてわからず。写真を撮って拡大してみるもやっぱりわからず。9回裏のホームラン、ヤクルトの勝利で終わる。ホームランを打った山崎が、ヒーローインタビューでオスナに尻を蹴られたと言い受けている。試合終わりにホープ軒に行こうとするも長蛇の列であきらめる。そこからラーメンを探して明治通りを歩き代々木近くの中華屋まで。生ビール、肉ニラそばを食べる。代々木から山手線で池袋まで。解散し、Sとru先輩と雑司ヶ谷に帰る。M家泊。

東京都の感染者数、3929人。

 

5月26日木曜日

晴れ。ヨーグルト。山手線で田端まで。北口の改札でKさん、カメラマンのOさん、著者のYさんと待ち合わせ。今日はYさんの本に掲載する写真を撮るための田端散歩に混ぜてもらう。Kさん、Oさん、Yさんは昨日も田端を歩き、今日は二日目の散歩になる。北口を出て左折、階段をのぼって切通しの上へ。童橋公園のビニールがぐるぐるに巻かれた犀星の石、童橋、芥川龍之介の旧居跡、旧石英書房そばの芥川が通っていたタバコ屋、田端駅の素朴な南口、開成横のひぐらし坂、西日暮里公園を抜けて諏訪台通り、富士見坂と諏訪神社、鶉山書店跡、本行寺の結城信一の墓、谷中霊園の池田蕉園の墓、ミミズク書房、とずーっと歩く。狛犬好きのOさんは神社があると狛犬を見てずーっと動かず。池田蕉園の墓に刻まれた歌が薄くて見えない。近くの広津和郎の墓。昼飯はYさんおすすめの不忍池そばの東天紅へ。昔は不忍池越しに「東天紅」のでかい文字が見えていたが、ビルが新しくなりあのでかい看板はなくなった。エスカレーターでロビーにあがり、予約で一杯だと言うのでロビーの椅子に腰掛けおしゃべりをしつつ待つ。1時間弱待ち、9階のレストランに通されランチメニューのなかから山の膳を選ぶ。瓶ビールを4人で1本飲みつつ昼飯。山の膳は、しゃれた唐揚げ定食、デザートに杏仁豆腐がつく。大きな窓から足元の不忍池スカイツリーがどーんと見える。池は蓮の葉で緑色に覆われている。池の向こうに見慣れぬ新しい高層ビルがいくつか見える。食べ終え、KさんとYさんがここはどっちが払うかでもめ、ここはわたしが、いや昨日も払ってもらったし、いやいやKさんに払わせるわけにはいかない、とテーブルから立ち上がって伝票の奪い合い。しばらくしてKさんが伝票を隠して戦いが終わる。古書ほうろうへ。宮路さん、みかこさん久しぶり。たまたまいらしたみきこさんにも挨拶。武相高校鉄道研究同好会が作った『今日ものんびり都電荒川線 チンチン電車でめぐる駅前銭湯と下町の風景』『前川千帆展』図録、Sの土産に『西東三鬼の世界』を買う。西東三鬼本は山高登蔵書だそうで、宮地さんが「のぼるぞうしょ」と版が押されたしおりを入れてくれる。なぜか「松川事件無罪確定判決 広津和郎記念講演會」のチラシが入っている。都電の本は平成11年に出た本で、写真は白黒だがふだん都電の本では見ないような細かい町の景色が写っていてうれしい。各駅ごとの銭湯の写真も地図も充実している。この本は宮地さんが図書館で働いていたときに出会ったものだと教えてもらう。ほうろう前の門から東大の構内を抜けて白山まで。白山神社の神輿を入れる建物が町内ごとに違う色形でかわいらしい。入り口まで古本が積まれた誠文堂書店、Yさんが好きなグラフティーという喫茶店。疲れたので白山上まで歩きタクシーをつかまえ、田端北口まで。線路を越え3月で廃業したというホテルメッツの足元にあるだるまや食堂へ。シャッターが半分しか開いておらず、6時からとのこと。時間潰しに、線路沿いを歩いて東北本線と山手線が両脇に見える橋まで行く。ときどき貨物列車が通り過ぎていくのを4人でぼーっと眺める。まだ6時にならないと、東灌森稲荷神社、大きな車輪のある東田端公園、隣接する北区立滝野川第4小学校など見、まただるまや食堂まで戻り、近くの生け垣の石に腰掛けて開店を待つ。飲み会だけ参加するためにSが来る。食堂がどこだかわからず、一度駒込で降り、また電車に乗って田端まで、しかし出る改札を間違えたかもとまた中に入って440円もかかった、と興奮している。6時になり、カウンターに5人並んで瓶ビールから。目玉焼き、ウィンナー炒め、モツ炒め、焼のり。ママさんはさっき見た第4小学校の卒業で、武田久美子の出身校なこと、子どものころからおっぱいがでかかった、と教えてもらう。用務員室にいつも酒を飲んでいるおじいさんがいて誰なんだろうと思っていたら、ある日テレビを見ていたらそのおじいさんが映ってサトウハチローと名前が出ていた、と。東田端公園の向かいにあったガラス窓にカレーなどと書かれた古い潰れた飲食店がだるまや食堂の本店だった。場所柄、貨物やJRで働く人たちが客に多く、その人たちに開いてもらったママさんの誕生日会の写真など見せてもらう。以前はJRの線路を越える橋のうえに店があったそうで、その橋が撤去になったときに向かいの立ち食い蕎麦屋とともに下に移転した。いまの店舗は奥まっており、うえの陸橋からも下の道からも見えない。便所は店内になく、向かいの公衆便所に用を足しに行く。手洗いの水はボタン式で押すと水がびしゃーっと吹き出る。9時過ぎまで飲み、田端駅の改札で解散。Yさんは、今日訪ねたすべての古本屋で必ず本を買っていた。KさんとOさんは田端南口そばのホテルに泊まる。S家に帰ると、Nさんからメール。『伝え継ぐ日本の家庭料理』のシリーズが第13回辻静雄食文化賞受賞したとのこと。「時間が経つほどに意味が増していくだろうと思います」というNさんのことばがうれしい。中身はもちろんだが、表紙の評判もいいと教えてもらう。S家泊。

第13回辻静雄食文化賞 受賞作・受賞者決定|プレスリリース|ニュースリリース|辻調

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東京都の感染者数、3391人。