断片日記

断片と告知

コロナの春 4月26日から5月2日

4月26日金曜日

曇り。先日のトマト汁の残りに舞茸と生クリームを入れたパスタ。アメトーーク、金沢芸人、見る。楽しみにしていたが面白くない。Sは往来座へ。洗濯。nから借りた漫画『不思議の国のバードさん』読む。アイヌ編。夜、往来座へ。名画座手帳の印刷会社のsくん、Jくん、asさん、ru先輩、saさん。ビールのロング缶がどんどんあいていく。saさんは今日誕生日。Jくんは盛岡から東京に出てくるときにプロポーズし、春から一緒に暮らすそう。夕飯は、もらった鶏肉のチーズ焼き、ごぼう大根人参の味噌汁。麦チョコを少し。飲みすぎて早々に寝る。S家泊。

 

4月27日土曜日

曇り。もらった鶏肉のチーズ焼きと玉ねぎのトマトソースパスタ。あちこちオードリー、見る。ワタライすごいねぇ、と便所でスマホを見ていたS。Sは往来座へ。昼過ぎ、東十条に向かって歩く。六又ロータリー、明治通り滝野川住宅、滝野川3丁目アパート、紅葉橋通り、先日歩いた石神井川を越え、王子本町三丁目アパート、北区立中央図書館、トンネルを抜けて、JRの線路を越え、王子保健所通り、右折して住宅街のなかにある銭湯「藤ランド」へ。YBさんに今月末で廃業ですよ、と教えてもらった。3階建てのビルの1階の銭湯。建物を見、前に1度来ていたことを思い出す。銭湯遍路のハンコも押してあるが、ブログに記載はない。ブログを書くのが面倒で銭湯に行くのが億劫になるという本末転倒の結果、銭湯には行くがブログは書かず、という時期がしばらくあり、『銭湯断片日記』から抜けている銭湯も多い。いま思えばぜんぶ書いておけばよかったと思うが、そのころ無理をしていたらたぶんいままで続かなかったと思う。ビルの左手にコインランドリー、真ん中に入口、入ると右手と正面に下足箱、左手に自動ドアの入口。入ると左手にフロント、正面奥に広めのロビー、右手に男湯と女湯ののれんがさがる。女将さんに入浴代520円払う。脱衣所。右手奥にロッカーが集まり、壁沿いに故障中と貼り紙のある赤いお釜の髪乾燥機、ここから動かさないでくださいと注意書きが貼られた体重計、その横に籐製のひとり用ベビーベッドが置かれている。洗い場手前の入口がだいぶ広く、ゴム製の大きいマットとタオルが敷いてある。洗い場自体が横長の長方形。左手に立ちシャワーがひとつ、左右の壁にカラン、真ん中に短めの島カランが2列ある。正面奥の壁左手に中温の湯船、通路挟んで右手に高温の湯船、座ジェット、マッサージ、寝風呂と並んでいる。高温と表記されているものの中温とそう変わらず、温度計も壊れているのか30度半ばを指している。通路から出ると半露天の大きな岩風呂。壁は石と竹材で覆われ、天井は木材、四角く天窓が開いておりほのかに明るい。今日の露天は湯が青く、お香のような匂いが漂う。手前右手に水風呂、奥に別料金のサウナ、水風呂向かいにも立ちシャワーがひとつある。サウナは電気がついておらず人気がない。壁は薄いピンクの大きめタイルだが、立ちシャワーのところだけ黒いタイルで覆われている。左手の男湯との堺の壁の奥の天井はぽこりと立方体に空いており、湯気抜きの窓もついている。脱衣場で着替えていると、ここなにになるのかしら、マンションだって聞いたよ、と常連たちの話し声。ロビーのベンチに座っていると、ここは老舗だもんね、戦前から、昔は2軒銭湯が並んでたんだって、二代に渡って通ってくれてるひともいて、お腹のなかにいるときから通ってたんですよって、でも生活は変わるから、と常連らしき男と女将さんの声が聞こえてくる。ここは青春でした、とその男が帰っていく。女将さんに2度めの銭湯遍路の判子をもらう。王子製紙が出来てその周りに大小の印刷屋ができて、ほらすぐ紙が手に入るから、インク使うから汚れるじゃない、だからそこの職工さんたちが帰りにみんな入っていったんだって、昔はこの辺に銭湯いっぱいあったんだけど、うちも2軒並んで銭湯があって、ほらそこの豆腐屋さんとこに、昔は「藤の湯」って言ったんだけど北区の神谷のほうにもう一軒同じ名前の銭湯があって、紛らわしいじゃないお客さんが、だから30数年前に建て替えたときにうえをアパートにして、名前も「藤ランド」に変えて、だいぶ前におばあちゃんに聞いた話だと保健所通りってあるんだけど、その周りだけ店とか家とかが並んでて、1本入るとそこから先は荒川までずーっと藪だったんだって、そのころからうちはあるからだいぶ古いんじゃないかしら。なんで「藤」なのかはわからないそう。東十条駅を越え、道路拡張で小さくなった富士塚の横を入り、十条の商店街を抜け、ゆとなみ社が関わっている銭湯「十條湯」の前を通り、環七から中山道を越え富士見街道を上板橋まで歩く。平和公園まで来ると大きな音が聞こえ、見るとネパールフェスが開催中。屋台が出てライブもしている。ネパールの民族衣装を着たひとたちがたくさんおりとても華やか。イトーヨーカドーの裏手を通ると、ここ9月まででそのあと建て替えてイオンになるんだって、と通行人の声。S実家へ。S、S母、S兄が片付けに来ている。S兄がVRの機械を持ってきており試しにやらせてもらう。白いヘッドギアをかぶり、両手に小さなリモコンのようなものを握る。コスタリカの海と町が360度見えて酔いそう。卓球ゲームは楽しい。SはS父の小品を整理している。今日はいろいろ片付いた?と聞くと、兄がVRの機械もってくるからぜんぜん進まない、といらいらしている。美味しい焼肉が食べたいとSが言うので崔安閣へ。生ビール、ウーロンハイ、ナムル、チョレギサラダ、焼き肉いろいろ、しめに石焼ビビンバひとつを4人で分けて食べる。投資詐欺にあったS母を慰めると、でも楽しかったのよ、やってるとき、あんなに儲かるなんて、とS母。4人で東上線で池袋まで、JR改札でふたりと別れ、SとS家に帰る。飲みすぎて早々に寝る。S家泊。

 

4月28日日曜日

晴れ。暑い。母がつくったドライカレー。さまチャン、テレビ千鳥、見る。Sは往来座へ。夕方、山手線で池袋から秋葉原まで、乗り換えて両国まで。フリースペース緑壱でレインボーブックスさんの個展「再見」を観る。最終日の閉店間近だが訪ねてくるひとが絶えず。一箱界隈のひとたち、漫画家仲間、レインボーさんの息子さん。差し入れでもらったという缶ビールをいただき飲む。ダンボールでつくられたコラージュ、少女像、キャンバスからはずされた小さな抽象画、家族に宛てた絵手紙。はじめて観た抽象画にぐっとくる。一箱でのいろいろを語るレインボーさんを見ているのが楽しい。眼の前で絵が一枚売れる。赤玉シールがついている絵も多く、こんなに絵が売れると思ってなかった、と本人がおどろいている。今度は青森で飲みましょう、と握手をして別れる。そのまま裏道を錦糸町方面に歩き銭湯「松の湯」へ。あたりに薪を燃やす匂いが漂っている。瓦屋根の昔ながらの建物に、松と鶴模様の立派な懸魚、裏手には金属製の細い煙突が見える。両脇にコインランドリー、窓に貸し切り風呂ができる案内の紙、真ん中に白いのれんのさがる入口。入ると左右にカラフルな下足箱で、手前が大きめの靴が入るようの大きな下足箱になっている。自動ドアを抜けると、右手に券売機、左手にフロント、正面にテレビソファなど置かれたロビー。現金なら券売機をどうぞ、と女将さんに言われ、520円で入浴券を買う。女性、男性で分かれている入浴券をはじめて見た。左手に女湯ののれん。脱衣場。左手壁にロッカー、右手に壊れた古い体重計と壊れた赤いお釜の髪乾燥機、天井は格天井。洗い場。左手に立ちシャワーがひとつ、左右の壁にカラン、真ん中に島カランが一列。湯船は、正面奥左手手前に小さな水風呂、奥に細長いガラス張りのサウナ。その右横に、表記なし、電気、寝風呂がふたつがざっくりパイプで仕切られ、その横に薬湯が並んでいる。今日の薬湯はラベンダーで、ボイラー室に行く通路部分だけ浅くなっている。天井はかまぼこ型、白とペパーミントグリーンの太い縞模様がとてもハイカラ。正面奥の壁は、モザイクタイル絵。左手にオレンジ色の屋根の教会らしき建物、ひよろっとした白樺の木、薄紫色の山脈の下に白い帆のヨットが浮かぶ湖、右手に国籍不明な塔とその上に虹、男湯の上には飛行機が見える。先日訪れた新宿区の銭湯「金沢浴場」とほぼ同じ絵柄のタイル絵だ。フロントで銭湯遍路の判子をもらう。ここは70年前くらいから、古いことはわからないのよ、バイトだから、昔は家族経営だったけどいまは会社がやっててね、昔は鈴木さんておばさんがやってて、あたしは近所だから子どものころ来てて、いまも同級生が来てくれたりして小学校の校歌歌ったりね、鶴見のいやかさ湯ってところもこの会社みたい、女将さんとかじゃないのよ、だから社長とマネージャーって言ってるの。話している横で、若い女性がスマホで入浴代をすっと払っていく。ペイペイ、という機械音がロビーに流れる。バイトだという女性は、客が来るたびに、こんにちは、いらっしゃいませ、いってらっしゃい!と送り出している。池袋に戻り、往来座へ。saさん、神田川クルーズしてきたru先輩。お茶割り。ハナマサで買い物。S家に戻る。モズ(猫)はいつものように手足を伸ばしてホットカーペットに寝転んでいる。撫でろ、といういつもの格好だ。すぐ横にはしたばかりのゲロが転がっているのもいつものことだ。鍋にしようとごぼうと肉を煮ていると、帰ってからモズが一言も鳴いていないことに気づく。モズ、と名を呼び、顔を見ると目がどろんと開かれ反応がない。さーっと水のように失禁し脱糞している。Sとマッサージし、人工呼吸し、おいモズ、モズ、戻ってきて、となんどもなんども呼びかけるが、とうとう戻ってこなかった。体はまだ温かいが、瞳孔が開いたまま、口も固く結んだまま開かず。つけっぱなしにしていた鍋の火をSが消しにいく。ダンボールにおしっこシートとタオルを敷き横たえる。葉っぱを食べるのが好きだったから顔の横に冷蔵庫にあったカブの葉っぱをそえる。Sが、モズの分も出しちゃった、と3匹分の夜用の猫餌を皿に出している。夕飯は、ごぼうカブの葉油揚げ豚しゃぶ鍋。麦チョコを少し。台所にモズの入ったダンボールを置く。S家泊。

 

4月29日月曜日

曇り。早朝便所に起きる。一緒に起きてきて頭をなでろとせがむモズがいない。布団に入れろと顔を引っ掻くモズがいない。鳴き声がしない。体をすりよせてくるものがいない。玉ねぎもらったチキンのチーズ焼きを使ったカレー。ルーはバーモントの中辛。飯を食べていると横に来て撫でろというモズがいない。横に座り右手に手をのせてくるモズがいない。しずかだね、とS。1匹いないだけなのに。台所に置いたダンボールのなかに寝ているモズをなんどもなでる。昨晩と違って体は固くて冷たい、肉球と毛は柔らかい。薄いピンク色だった耳の内側が真っ白になっている。こたつの横にダンボールを移し、パソコンを叩きながらモズをなでる。店は定休日だがSは往来座へ。モズのダンボールを横に置いて、モズの絵を描く。ときどき、タマとウメがダンボールをのぞいて匂いをかいでいく。夕方、大塚まで歩く。大塚駅の日比谷花壇で花を見、芍薬を2本買う。花びらは白くて丸く、中心に濃いピンク色が入っている。ラテンドールという浮かれた名前がついている。S家に戻り、モズの横に芍薬を置く。まいばすけっとで缶ビール買い、飲みながら目白台まで歩く。ふいに涙が出てくる。目白台まいばすけっとでまた酒を買い、飲みながら護国寺マルエツまで歩く。Sと合流し、買い物。お茶割り飲みつつ帰る。夕飯は、ごぼう小松菜油揚げ白菜水餃子鍋。麦チョコを少し。ドラマ「季節のない街」続きを見る。K会長に借りたシャベルを持って、Sとモズを埋めにいく。Sが掘った穴に、モズと芍薬を埋める。抱えたモズの軽さが、モズの軽さでしかなくまた泣ける。またね、と言いながら土をかける。Sがその辺で引きちぎった草を土のうえにまいている。M家泊。

 

4月30日火曜日

晴れ。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。忙しく気が紛れて楽。人数が少ないのに無理して時間内に終わらせると人員が補充されないので、ひとの少ない日は残業します、とチーフに宣言。まぁ、やってみれば、とのこと。終えて、昨晩モズを埋めた場所を見てからS家へ。Sは休日、布団に転がり動画を見ている。家の静かさに慣れない。モズがよく鳴いていたのもあるが、ひとがモズを呼ぶ声、モズがタマとケンカする声、鳴いたモズに答える声が部屋から消えた。慣れなきゃね、とS。スマホとパソコンのなかにある、モズの写真や動画を探す。もっと撮っておけばと思いつつ、何枚撮っていても結局足りないのだとも思う。夜、Sとモズの墓を見、缶ビール飲みつつ往来座へ。通販で注文があった本を探す。お茶割り飲みつつ、Sと明治通りを歩いてスーパーよしやまで。いつもと違うものを食べようと、刺し身の盛り合わせ、スモークタン、生ハム、チーズなど少し高いものを買う。セブンイレブンでモズの写真をプリントアウト。お茶割り飲みつつ帰る。夕飯は、刺身の盛り合わせ、フライドポテト、スモークタン、トマトアボカドチーズサラダ、ごぼう汁。麦チョコを少し。映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」観る。評判がいいと聞いていたがどこがいいのかさっぱりわからない。ときどき、モズ、と呼んで見る。M家泊。

 

5月1日水曜日

雨。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。忙しい。終えて、モズの墓を見てからS家へ。昨晩セブンイレブンでプリントアウトしたモズの写真を額に入れ、S家の玄関に置く。入谷コピー文庫『自分の怒りについて語ってみませんか』届く。Sは休日、ブログを書くか、かんぺの表紙を彫るか、「北の国から」の動画を見るかしている。夜、Sと缶ビール飲みつつ東池袋マルエツへ。寒いので途中から有楽町線の地下道を通る。買い物し、また地下堂を通って帰る。往来座が入るビルの水道料金と漏水問題、Sがゴネようかと思ってと言うので、ゴネたらいいと思うと答える。夕飯は、トマト、もらった豚肉の香草パン粉焼き、玉ねぎジャガイモ人参カブ鶏肉のシチュー。映画「大河への道」観るも途中で眠くなり帰る。M家泊。

 

5月2日木曜日

晴れ。涼しい。納豆ご飯。今朝ね、斜め向かいのYさんちの前で猫がひかれて、Yさんが気づいたときには死んでたって、わたしが見に行ったときには新聞紙かけてあって、赤い首輪してて、保健所に電話したんだけどやってくれないって言うから警察に電話して、来てくれたおまわりさんに大変ねって言ったら、そうなんです9時前はわれわれがやるんですよって、と母。食堂アルバイトへ。忙しい。終えて、モズの墓に拾ったツツジの花をのせてからS家へ。疲れて転がる。たまにモズの名前を呼ぶ。太ももや布団をポンポンと叩きながら呼ぶ。夜、往来座へ。saさん、sa2号さん。お茶割り。sa2号さんは家から氷とグラスを持ってき、カウンターでウイスキーのロックを飲んでいる。ローソン100で買い物。夕飯は、トマト、玉ねぎかぼちゃにもらったハンバーグをのせてトースターで焼いたもの、もらった温泉卵を入れた根菜汁。飲みすぎたSがまた風呂場で寝ている。S家泊。