断片日記

断片と告知

アーケードの本

那覇の「市場の古本屋ウララ」で開催していた「おかえりなさい、アーケード」展は10月12日に最終日をむかえましたが、ウララ店頭でいまもひっそり続けられています。

店主・宇田智子さんの冊子『アーケードの本』は展示最終日に出来上がりました。アーケードの装画や挿絵は、「おかえりなさいアーケード双六」を作るさいに、宇田さんに確認してもらうために描いたラフ絵です。気に入っていただき、そのまま冊子に使われることになりました。

「違法」「留置場まで連れていかれても守ってきたアーケード」「合法なものを作る金はなかった」「なにがあっても工事を中止しないという約束ができるところ」などはらはらすることばが並ぶなかで作られてきたマチグヮーのアーケードたち。そのなかでもウララの前の「公設」市場と「私設」の水上店舗をつなぐ市場中央通り第一アーケードを作る、建て替える、ことがどんなに難しいことか。アーケード問題を考えるために宇田さんが読んだ本のなかには、『世界のアーケード』など「目のくらむようなアーケード街」を紹介した本もあれば、『金沢民景』の「キャノピー」や、クリストの「アンブレラ」プロジェクトの図録まである。アーケードをつけることでその土地らしさが無くなると嘆く知識人たちへの怒りも書かれている。

冊子に同封されていた橋本倫史さんのフリーペーパー「わたしの街」には、アーケードの解体現場に立ち会いながらも「すべてを見届けることはできない」と歯がゆく思いつつ「でも今は、私が見れないものは、きっと別の誰かが見ていてくれるだろうと考えるようになった」とある。

比嘉チハルさんは、「最終日の10/12から毎週1本ずつ再整備の動画を投稿します。」とユーチューブに動画をあげている。市場の庇のうえの猫、ウララ向かいの古本市、会議、アーケード修繕費の集金、アーケード解体、を映像で見ることができる。庇のうえの猫の鳴き声も残されている。

それぞれの目が、それぞれのアーケードを見上げている。展示になることで、それが形になり残されていく。

那覇に行かれるかたはウララの店頭で、遠いかたは通販で、それぞれのアーケードの形に触れてもらえたらうれしいです。

アーケードの本 宇田智子:市場の古本屋ウララ

わたしの街 橋本倫史:市場の古本屋ウララ

比嘉チハルさんの「おかえりなさい、アーケード」展、動画

https://www.youtube.com/watch?v=4pIrnlv4SNI

https://www.youtube.com/watch?v=KHCeCsPvPfU

「おかえりなさいアーケード双六」もぜひ。

おかえりなさいアーケード双六 武藤良子:市場の古本屋ウララ

おかえりなさい、アーケード展 - 断片日記