断片日記

断片と告知

コロナの秋 11月1日から11月7日

11月1日金曜日

晴れ。気持ちがいい。もらったカレーでカレーうどん。Sがうどん2玉、わたしが1玉。アメトーーク、親が先生芸人、見る。Sは往来座へ。カレンダー作業。セブンイレブンでプリント、S家に戻り調整、を3回繰り返す。夕方、池袋西口の池袋公徳堂でカレンダー用のoppを買う。Sが利用している明治通りクリーニング屋洋洗舎の前を通ると閉店の貼り紙。「閉店のお知らせ いつもご利用いただきまして誠にありがとうございます。このたび当店は2024年10月31日(木)をもちまて閉店することとなりました。クリーニング店として約70年余り、長年にわたるご愛顧に感謝申し上げます。洋洗舎 店主」。もちまして、が、もちまて、になっている。昨日で閉店しているが、店は受け渡しのためか電気がつき開いている。正面右手にかけられていた引き取り手が来ないドレスはそのまままださがっている。往来座で大型のカッターマットと定規を借りる。小倉屋に大阪土産のせんべいを買いに行くと、棚がすかすか。明日も入荷の予定がない、と言われ正面の貼り紙をよく見ると、山田優がここのせんべいを紹介したそうで、千件単位で注文が入っているため店頭売りに回らない旨が書かれている。S家へ。カレンダー用の用紙を切る。夜、往来座へ。ru先輩、koくん、BZさん。お茶割り。KOさん出品のバッグが棚のあちこちにさがっている。koくんに柿の種柚子胡椒味もらう。うまい。今日のkoくんは、ダブルの大きめのスーツに、手にはSから借りた「北の国から」DVDボックスが入ったヴィトンの紙袋という大物感あるファッション。nが、かんぺが進まない、やりたくない、と嘆いている。進まない理由ははっきりしており、じゃあ来月その部分を見直そうかと考えてると、またすぐ1ヶ月経っちゃうの、とn。店でかんぺの原稿を書くnを残して帰る。夕飯は、ファミマのハンバーグと一緒に玉ねぎピーマン舞茸をトースターで焼いたもの、ごぼう汁。麦チョコを少し。S家泊。

 

11月2日土曜日

雨。寒い。もらったかぼちゃシチューに玉ねぎベーコンを足したパスタ。米粒写経の水中考古学、小野寺ひかりと杉江松恋の「古本屋へ行こう!」の動画を見る。「古本屋へ行こう!」では往来座が紹介されている。Sは往来座へ。カレンダー作業。セブンでスキャン、往来座で作業、S家に戻りまた作業。夕方、豊島区中央図書館へ。大阪の地図をコピー。そのまま歩いて大塚まで。たんぽぽハウスを見てから散髪へ。さっぱりする。大塚のユニクロの店長が盗撮で捕まり、こんなことで大塚が出るなんて、と店主が嘆いている。夕飯なにします?と聞かれ、うーんと悩んでいると、鶏むね肉のタンドリーチキンをおすすめされる。西友で素が売っているそう。歩いて東池袋西友へ。買い物。S家に帰る。大阪で行く場所の確認、開店日など調べ、地図に書き込む。タンドリーチキンを仕込んでから、夜、往来座へ。asさん、saさん。お茶割り。asさんにどちらかと言えば「駅 STASION」、「冬の華」は小林亜星がうるさい、と伝えると、小林亜星を観る映画じゃないですか、これで「冬の華」派はわたしとハマちゃんだけだ、とasさん。saさんの実家が屋根工事詐欺にあう。工事2時間ほど、手抜き、で工事費33万円の請求。うちの実家も、と家族の詐欺被害をみなで言い合う。夕飯は、セロリポン酢、タンドリーチキン、ごぼう汁。大阪が舞台の映画が観たく映画「泥の河」を観る。父親を戦争で亡くした子どもが軍歌を歌うところでSがびょーっと泣いている。81年の映画だが、白黒で、物語の舞台の昭和31年ごろに撮られた映画のように見せている。「泥の河」が昭和31年、先日観た「乳母車」や「女中っ子」も同じころ。父親を戦争で亡くし母は体を売り船で暮らしている姉弟の暮らしと、世田谷の大きな一軒家で女中がいる暮らしとの差がすごい。ロケ地巡りをしようと調べるとロケ地は名古屋でがっかりする。S家泊。

 

11月3日日曜日

晴れ。納豆ご飯。Sは納豆ふたつ卵ふたつにツナ缶を入れて食べている。お笑い向上委員会、見る。先にS家を出、M家に寄り着替えてから食堂アルバイトへ。食堂はふだん土日は休みだが文化祭のため営業中。めちゃくちゃ忙しい。ふだん食堂を利用していない父兄が多く、混乱をきわめる。終えて、セブンイレブンでプリントしているとコーヒーを買いに来たS。ついでにカフェラテを買ってもらう。往来座に行き、nにカレンダーの日付があってるか見てもらう。西口のキンコーズへ。西口公園ではストリートフェスを開催中で、舞台で、ふしぎなふしぎな池袋、とビックカメラのテーマソングでブレイクダンスが行われている。キンコーズで手差しのコピーをしようとするも、紙を忘れてきたことに気づき、係のひとに、すみません肝心の紙を忘れてきました、また来ます、告げて帰る。S家に戻り、ごぼう汁を作ってから、また西口のキンコーズまで歩いていく。無駄が多くて疲れ切る。池袋駅で明日の新幹線のチケットを発券。往来座へ。お茶割り。nは今日もru先輩と樋口一葉散歩に行って来たそうで、涙橋のジョーと一緒に写るru先輩の写真を見せてもらう。三ノ輪にある樋口一葉記念館にも行ったそう。達筆でまったく読めない原稿の写真を見せてくれる。店内にはラジオで日本シリーズがかかっており、横浜がどんどん点を入れてるところで帰る。大倉で買い物。夕飯は、ファミマで買った冷凍餃子、ごぼう汁。Sは大倉で買った焼き魚も食べる。麦チョコを少し。明日から大阪なので、ごぼう汁は多めに作り、冷蔵庫へ。Sに毎日食べるよう言っておく。M家泊。

 

11月4日月曜日

晴れ。ヨーグルト。目白駅から山手線で品川まで、駅弁屋で大船軒のサンドウィッチを買い新幹線ホームへ。ひかり507号で新大阪まで。新幹線ホームに、疲れ果てたような外国人観光客が大きなスーツケースとともにホームに座り込んでいる。品川から新横浜のあいだにサンドウィッチ食べ終える。晴れているのに富士山のうえだけ雲があり裾野しか見えず。静岡あたりで茶畑が見えると毎回、茶畑、と思う。山の中にぽつんと見える墓も気になる。新幹線はあまり海が見えないので浜名湖が見えるとうれしくなるが、浜名湖まわりのちょっとした空き地がソーラーパネルだらけになっていて悲しい。新大阪駅は激混み、新幹線改札内の551に何重もの待機列が出来ている。電車で大阪駅へ。ホームの音が、めっちゃすきやねん。車内アナウンスは標準語。どの駅も混んでおり、森ノ宮駅でやっと便所に行ける。改札出てホテルに向かうと駅に沿った区画の裏表に飲み屋があり、最高かよ!と思うも祝日の昼で、王将くらいしかやっていない。ホテルの前まで行き、向こうの通りになにもなかったら王将で昼飯を食べようと眺めると明かりがついている店がある。テイクアウトのたこ焼き屋だがなかにカウンターがある。なかで食べられますか?と聞くと、どうぞ、と入れてもらう。5〜6席の「く」の字型のカウンターで常連らしき年配の男女3人が焼き鳥を食べつつ飲んでいる。端っこの席に座り、生ビール、たこ焼3個とお好み焼きのセットを頼む。男女はスマホ大塚愛の「さくらんぼ」の動画を大きな音で流しながら画面をのぞき込んでいる。選挙行った?行った、思った通りになったわ、維新、選挙行ってもなにもかわらん、それが選挙離れの原因や。3人とも維新に入れ、いまの政治がどんだけしょーもないか、金に汚いかを話している。持ち帰りの客はひっきりなしに来、たこ焼き6個とたこせん、など注文の声が聞こえてくる。たこせんは、でっかいえびせんをパキッと半分に折ったなかにたこ焼きが2個挟まれていて180円。生ビールは380円。店員は若い女性ふたりで、ことば少なく働いている。ホテルにチェックイン。5階の部屋で、窓から森ノ宮の住宅街が見える。窓ははめ殺しでいっさい開かず息苦しい。ホテルに荷物を置き、地下鉄中央線で森ノ宮から堺筋本町へ。歩いてFOLKへ。右手の高速高架下に川と公園が見えたので寄り道。公園に小学生男子たちが団子になって遊んでいる。しょーもないのう、おもろいのは顔だけか。FOLKは1階がカレー屋だが今日は喫茶営業のみ、奥の階段で地下の本屋へおりる。芦野公平個展『FLOATERS』を観、『銭湯生活』no.3と『銭湯文化的大解剖!』を買う。時間を見ると3時を過ぎており、慌てて天満橋まで走るように歩く。街路樹が桐の木でめずらしい。天満橋から地下鉄谷町線で平野まで。アトリエひこへ。展示最終日で16時まで。ぎりぎり5分前に飛び込む。障害を持つひとたちのアトリエと展示スペースで、三軒長屋の二軒分の壁をぶち抜いて展示スペースにしている。壁はきらきらの砂壁のままで古い長屋の様子が残され、床にはレジャーシートやブルーシートが敷かれ土足であがれるようになっている。そのなかにどーんと絵がある。中正人さん、平田安弘さんの絵、かっこいい。だいぶ昔に中正人さんの画集を買っていたのを思い出す。久田奈津紀作品集、ポストカードセットを買う。係のひとがおらず、展示の搬出をしているひとに声をかけてお金を払う。あ、ぴったりあります、と言うと、よかった、はらはらしちゃった、と搬出のひと。sっちゅから行ってみれば、と言われていた帝塚山を歩いて目指す。アーケードのかかる駒川商店街がとても賑やか。ヤンマースタジアム長居がでかい。万代池公園では、大きな池の周りを犬の散歩をしているひとたちが20人くらい歩いている。庄野潤三が子どものころ通っていた帝塚山学院の周りをぐるっと歩く。山と言いつつ地面が平ら。帝塚山駅の駅員に、千鳥橋駅に行きたいんですけど、どっち側の電車に乗ればいいですか?と聞くと、何線?と言われ、何線なんでしょう?と返す。結局わからず、とりあえず難波方面の電車に乗る。難波駅でおり、大阪難波駅まで歩く。地下も地上も表示もわかりづらくいらいらする。なんば線千鳥橋駅へ。千鳥橋筋を歩き、自転車屋を過ぎたあたりで左折、こんな暗い住宅街に店があるのかと見回していると暗闇のなかに白く光るピタリと閉じたドアを見つける。sっちゅから教えてもらった店シカクへ。mame個展「くつしたをぬいだら」を観、『銭湯生活』no.1と2を買う。棚にささる冊子を見ていると見たことないものが多くとても楽しい。歩いて1分くらいの銭湯「千鳥温泉」へ。建物左手に入口、青白赤のフランス国旗のようなのれんがさがる。白部分には甲賀文字のような字体で「ゆ」「千鳥温泉」と入っている。くぐると左手に傘ロッカー、正面に下足箱、右手に入口。戸を開けると左手にフロント、奥にロビー、フロント左に女湯ののれんがさがる。入浴代520円を払う。脱衣場。左手壁沿いにロッカー、真ん中にベビーベッドが2人分、畳状の腰掛け、ベンチ椅子があちこちにある。洗い場手前の右手にサウナがある。洗い場との仕切りは全面ガラスでとても明るい。ロッカーの鍵がかけずらく、30回くらい試して諦め、隣りで着替えていた親子連れに助けを求める。これやりづらいんですよ、と言いながら何度か鍵を回してかけてくれる。洗い場。左手に水風呂、左壁沿いにカラン、右壁にもカラン。カランごとにある鏡には右手に鏡広告がついている。以前ネットの記事で見たやつだと思いだす。わたしの前の鏡広告はレシピ本のもの。湯船はT字型で、真ん中に深湯が飛び出し、奥に泡風呂がついた浅湯、右手にぬる湯、左手にでんき風呂とある。湯船の縁は御影石、湯船に沿って腰掛けのような段差がある。ぬる湯の壁にはしりとりクイズの紙が貼られている。水風呂の壁には「千鳥湯温泉」を図解したものが貼られており、欲しいかたフロントまでと書かれている。正面の壁には、下部分に石が貼られ、そのうえはどーんと男湯まで続くモザイクタイル画。緑緑した山並みに、手前左手に立派な松の木、右手前に水辺が見え白い帆掛船がいくつか浮かぶ。山の間からオレンジ薄茶ベージュなどで湧き出る雲が描かれていてかっこいい。夏の夕暮れだろうか。男湯との境の壁の向こうに富士山の頭らしきものも見える。フロントで缶ビールと電気風呂の本を買い、「千鳥温泉」の図解をもらう。ここは1954年に建て替えて、でもその前からやってて、あの壁画はアーティストと町をつなぐ企画があって、描いたのは外国のひと、だからこの町にはあーいうのたくさんあるんですよ。外壁には、正面に富士山、角を曲がって黒黄色で描かれたグラフィティのような絵、タクシーと夜の街を描いた絵、と3種類の壁画が描かれている。缶ビールを飲みつつ、駅まで歩く。大阪の町は歩いていると駅と関係ないところに突然アーケード商店街が現れる。見つけるとなるべく端まで歩くようにしている。千鳥橋駅から九条まで、乗り換えて森ノ宮へ。線路沿いにあった関東煮赤ちょうちんがさがる飲み屋「大御所」へ。生ビール、焼酎麦のウーロン割り、自家製生ハム、ポテトフライ、豆もやし、どて焼き、関東煮の玉子ちくわじゃが芋。眼の前がどて焼きの鉄板で、ときどきおねえさんが水をさしていく。ローソンで買い物。歯磨き粉を買い忘れ、ホテル1階のポプラにも寄る。入ると正面の棚一面に万博グッズが置かれている。ホテルに戻り、Sにラインをすると、店の前でまた事故、と男が道路に倒れている写真が送られてくる。バイクと車の接触事故とのこと。 ローソンで買ったハーゲンダッツのチョコ味を食べて寝る。ホテルオークスアーリーバード大阪森ノ宮泊。

 

11月5日火曜日

晴れ。野菜ジュース。ホテルを出て谷町六丁目まで歩き、谷町線で平野まで。券売機のところにスマホの忘れ物があり駅員に届ける。平野の5番出口で待ち合わせ。目の前にチェーンの大きなたこ焼き屋があり、ソースの焼ける匂いがただよっている。まっすぐ歩いてきて、とラインが来、歩いていくと向こうからTさん。久しぶりとあいさつ。信号渡って、アーケード商店街のなかのうどん屋六々々屋へ。小さな庭が奥に見える古民家風の店。店頭ではおにぎり、弁当、ドーナツ、なども売っている。Tさんは親子丼とうどんのセット、わたしはピリ辛唐揚げ定食、唐揚げ、白飯、おかか、うどん小のセット。うどんがぷよっと太くておいしい。Tさんは昨日島根で開催中のマメイケダさんの展示を観、深夜バスで今朝帰ってきたそう。Tさんとは20年前くらいにイトヘンで出会い、会うのは10年以上ぶりか。お互いの近況など話す。商店街を歩き全興寺へ。スモークがたかれた池のなかに仏像があり、参拝者が柄杓でぴゃーっと仏像まで水を飛ばしている。本堂の周りにも池、カエルのオブジェ、小さな社のようなものがたくさんある。地下におりていくと水に囲まれた暗い部屋があり、床には曼荼羅模様のステンドグラスがはめられている。靴を脱いで曼荼羅のうえにあがりぼーっとする。水琴窟のような水音が気持ちいい。階段の手すりを見ると、透明な筒を88個つなげて作られており、それぞれに四国お遍路八十八箇所の砂が入れられている。駄菓子屋の模型や、地獄の釜の音がするという石に空いた穴など、境内があの世とこの世のディズニーランドのよう。吉田一代ちょっとだけ展で飾られていた花の絵にぐっとくる。住宅街を歩いて大念佛寺へ。本堂は改装中で足場に覆われていて見えず。しめ縄のかかった大楠を眺める。杭全神社へ。杭全は、くまた、と読む。祭りのときにはこの辺りのだんじりが集結するそう。水草に覆われた池に大きな鷺がいる。境内は大きな楠の木だらけ。木のうえから鳥の鳴き声がふってくる。古本屋があるよ、いまも営業してるのかな、と店の前まで連れていってもらうが半分シャッターがおりている。古書からたち。Tさんの子どもの名前。大きな道をふたつ渡り、大阪教育大学付属小学校の横をちょっと入ったところにあるパン屋「パンとお話Appleの発音」へ。古い平家の四軒長屋の左から2番目。近くに大阪の古い長屋を改築している建築家がいるそうで、ここもその作品のひとつ。入口横は切っても切ってものびてくる大きなゴムの木と、名前を教えてもらったが忘れた白い花など、植物だらけでかっこいい。定休日だがなかではTさんのパートナーが仕込みをしている。奥の部屋に入れてもらいTさんが作ってきた紙ものや絵を見せてもらう。出来たばかりの来年のカレンダーを渡す。すぐに便所の戸に貼ってもらえてうれしい。隣りに住む大家さんにもあいさつ。大家さんは四軒長屋の端で子どもの絵画教室を50年以上もしているそう。多いときには50人以上の子どもがここで絵を描いていたそうで、絵、絵の具、筆、画板、モチーフ、賞状などが壁沿いの床から天井まで堆積している。いまと違い昔は塾など勉強系のものに通っている子はおらず、絵、習字、ピアノ、など情操教育の習い事が多かったそう。毎年ここでクリスマス会がおこなわれ、高学年の子たちだけ終わったあとに大家さんちでお茶が飲めるのがみなのあこがれだった。いまは自転車を描いていて、部屋のなかに置かれた自転車の周りに描きかけの絵が散らばったままになっている。親子二代三代にわたって通うひとたちもいる。卒業したあとも遊びに来る子たちもいる。なにもかも神々しい。なんで平野?大阪来たならもっといいとこあるやろ、とTさんにも大家さんにも言われたが、来てよかった。Tさんと別れ、銭湯「きりつぼ温泉」へ。建物左手に入口、右手にコインランドリー。のれんをくぐると左手に下足箱、右手に向かってロビーが続いている。窓の外に池。ロビーにフロントがあるのかと思っていたがなく、奥の壁を左手に曲がってたところに手前が男湯、奥が女湯の引き戸があり、開けると真ん中に番台がある。入浴代520円を払う。脱衣場。右手の男湯との仕切りの壁は下半分がロッカー、上が鏡。左手の壁は一面にロッカー。真ん中にマッサージチェアがふたつ、大きなテーブル、その上に本棚、手前左手の壁にも本棚。棚には、あさきゆめみしシティハンターHUNTER×HUNTERエンジェルハート、あまから手帖など漫画と雑誌がきれいに並べられている。天井は応接間みたいな洋風の造りで灯りも応接間みたい。洗い場に入る手前右手に流し、左手に古い体重計が置かれている。洗い場。正面に掛け湯、ライオンの顔がついているが湯は出ていない。左手壁沿いにカラン、奥にマッサージの湯船とサウナ。右手前に水風呂、右壁沿いにもカラン、段あがってまたカラン。洗い場中央に、深湯、奥に浅湯、浅湯をパイプで区切って右手に円形にくり抜かれたジェットがふたつ、右手奥に電気風呂がある。浅湯の床にはタイルで大きな鯉が描かれている。サウナの右手に故障中の立ちシャワーがひとつ、その右手に露天風呂のドア。外に出ると岩風呂で屋根がなく空がきちんと見えて気持ちいい。大きな煙突も見える。壁は白いタイルだが、湯船も床もいろんな色と柄のタイルが敷かれていて明るい。右手の男湯との境の壁には、水風呂のところにペンギンのシール、奥に向かってタイルの上に直接ペンキで富士山が描かれている。天井の湯気抜きは真ん中に四角くあいている。この形を見ると関西の銭湯に来た気がする。番台で缶ビールを買う。番台のうえに一昔前の家庭用のような緑の電傘。「きりつぼ」の名前の由来を聞くと、町名も名字もなんも関係ない、あさきゆめみし?あぁ、そうなんかなぁ、でもわからん、と笑っている「パンとお話Appleの発音」に戻り、さっき見に行ったらやってたから、とTさんと串カツどて焼き武田へ。寺の塀にへばりつくように営業している屋台で、おばさま3人で週3日営業している。串の数、長さで会計するのを知らずに、途中まで隣りのひとの串入れに食べた串をさしていた。瓶ビール、タコ、ちくわ、ネギマ、ニラベーコン、かぼちゃの串焼き、どて焼き。横のひとは韓国から、その隣りは近所に住んでいる夫婦らしい。Tさんの子が自転車で通りかかりあいさつ。南港通を歩いて桐本酒店へ。Tさんひとりでも子どもたちとも来るそう。ステーキ屋のような雰囲気とバイカーのような客層なのに、子連れで来るひとも多く、和風のつまみも充実している。白ワイン、オクラの煮浸し、味醂干し、おでん、ミートドリア、焼きそば。お腹いっぱい。パン屋の仕事、絵を描くこと、寝る時間。帰り道、チャルメラの屋台を見かける。谷町線で平野から谷町四丁目まで、大阪城難波宮跡のあいだを歩いて帰る。途中、キューズという大きなショッピングモールがあり看板を見ると古着屋がある。閉店間際で時間がないが、ぱっと見てまだら模様の赤いマプラーを買う。ホテル1階のポプラでハーゲンダッツのチョコアイスを買い、ホテルに帰る。楳図かずおの訃報。アイスを食べて寝る。ホテルオークスアーリーバード大阪森ノ宮泊。

 

11月6日水曜日

晴れ。野菜ジュース。9時半ごろチェックアウトし、昨晩見た古着屋セカンドストリートへ。10時の開店をベンチで待っていると、モール全体に開店前のアナウンスが流れ、それがどれも居酒屋の便所に貼られた親父の小言のようでげんなりする。昨日見て気になっていたでかいダウンのコートを買う。重くはないが荷物がダウンでぱんぱんになる。森ノ宮から、谷町六丁目まで、乗り換えて谷町線で平野まで。「パンとお話Appleの発音」へ。奥のギャラリーでは帽子の展示が行われており、ギャラリー開店前に庭が見えるカウンターで食べさせてもらう。卵、生ハム、豚肩ロースのサンドイッチ3つ。卵は焼いてありふんわり醤油味がしてうまい。パンがしっとりふわふわでうまい。店中がパンのいい香り、窓から奥の庭の緑が見える。Tさんが描いた包装紙をもらう。クリスマスのシュトーレンは毎年Tさんの絵の包装紙で包まれており、Instagramで見ていていつもかっこいいと思っていた。Tさんに平野駅の交差点まで送ってもらい握手して別れる。南港通をひたすらまっすぐ歩いて駒川中野から駒川商店街へ。個人商店が多く、どの店もぎんぎんに営業していてこんなに活気のある商店街を久しぶりに歩く。Tさんに教えてもらった「本のお店スタントン」へ。新刊と古本の店。「柚木沙弥郎 永遠のいま」を買い、Tさんから託されていた帽子展のフライヤーを渡す。近鉄大阪線針中野から大阪阿部野橋まで、環状線に乗り換えて大正まで。3日間で買った本、ダウンで荷物が重くでかく、駅のロッカーに預ける。saさんから、屋根工事詐欺の現場に立ち会っていたらハシゴから落ちて骨折とDM。大正駅を出るとどこまでも平らな道がのぺーっと続いている。電車の高架下には沖縄料理屋がぽつぽつとある。以前Hっちのトークショーで沖縄からの移民が多く住む町と知り、来てみたかった。駅近くの廃業した銭湯「三光湯」の外観を見、木津川沿いに出て歩く。川沿いは工場、倉庫が多く、川の色は茶色い。てきとうなところを右折し、銭湯「大正湯」を見に行く。まだ営業前で、のれんは出ていない。コインランドリーや銭湯の2階のガラス窓にはテープが☓に貼られ、建物の古さもあってか戦時中のように見える。石造りの外観で、2階にはガラスの展望室のようなものもあり、建物に迫力がある。銭湯の向かいは古い団地群。ふと向こうにアーケードが見えたので行ってみる、イズオ商店街。端まで歩く。駒川と違い、シャッターがおりたままの店が多い。大正通に戻り南下していると渡船場の看板が出ていたのでその通りに左折。ここだけ通りに椰子の木が並び、沖縄がどこかの観光地のよう。大きなショッピングモールがあるが、平日だからか暗くひと気がない。右手の高台には大きな団地群。千島団地。また看板が出ていたのでその通りに左折し、落合上渡船場へ。空が広い。上流に丸い水門が見える。鯛のような平べったくでかい魚が船着き場にへばりついて泳いでいる。川幅は30〜40メートルくらいだろうか。訓練中とかかげ、ひとを乗せていない小さな船が、こっちとあっちの船着き場を行ったり来たりしている。乗客は自転車のひとが多く、自転車をとめベンチに座っているか、自転車の横に立って待っている。壁に貼られた時刻表を見ると15分ごとに船が回ってくる。時間になるとゲートがあき、係りのひとに、こんにちは、と声をかけられながら乗船する。乗船料は無料。ベンチもなにもない船で、屋根はあるが壁はない。向こう岸はすぐ目の前で、エンジンがかかったかと思うとぐるっと回ってすぐブレーキがかかる。船着き場のタイヤにどんっと船をあてながらとまり、紐をかけてドアをあける。降りる人が優先。みな自転車に乗りぱーっとどこかへ消えていく。西成津守側を歩く。川沿いは砂利屋コンクリ屋ばかりで、道が白っぽい。砂を乗せた大きなトラックがすぐ横を抜けて行き怖い。落合下渡船場へ。学生服の女の子が自転車を前にベンチに座って待っている。船着き場のひとから、こんにちは、おかえりなさい、と声がかかる。あっという間に向こう岸へ着く。空がずっと広い。こんな通勤通学路があるのか。ドキュメント72時間で気になっていた大正区の渡船場、こうした渡船場が7箇所あるらしい。どうせなら大正区の向こう岸も見てみようと、大正内港臨港緑地へ。港内は大きな船着場、その横に緑地公園がへばりついている。公園内の藤棚のしたで女の子ふたりがレジャーシートを敷き、編み物をしている。歩いているとまたアーケード商店街見える。見たらつい気になり歩いてみないと気がすまない気持ちになる。イズオ商店街まで歩き、銭湯「大正湯」へ。石造りの建物。右手だけにピンクののれんがさがっている。入ると両脇に下足箱、床のタイルがとてもカラフル。左手に女湯の引き戸。右手の番台で入浴料520円払う。脱衣場。格天井、左手にロッカー、真ん中にどーんどベビーベッドが8台、真っ白い布団がくるっと丸まり待機している。洗い場手前の右手に岩を丸く削ったような流し、左手にぶら下がり健康器。洗い場の入口は石で造られたアーチのよう。洗い場。造りは「きりつぼ温泉」に似ている。正面に掛け湯。左手の壁沿いにカラン。右手は手前に塩湯、壁沿いにカラン、段あがってまたカラン。右手側のカランを押してみるが水もお湯も出ず、左手側のカランに腰掛ける。真ん中正面に飛び出るようにある深湯、奥に浅湯、浅湯の端には超音波の泡、正面奥の壁が1畳分くらい凹んでおりそこに電気風呂がある。電気風呂は足を入れただけで毛穴がちりちりするくらい痛く強い。湯船の縁はどれも御影石。床も大きな石が貼られ、あいだを水色のタイルで埋めている。天井はかまぼこ型、真ん中に四角い湯気抜きがある。男湯との境の壁には熱帯魚のモザイクタイル画。洗い場はここもいろんな色、模様のタイルが使われておりとても明るい。ここは昭和26年から、そのころはこの辺には30軒くらいあって、もう歩くと銭湯、改装したのは49年、サウナとかが出はじめたころで、うちのお父さんがサウナや露天風呂を造ろうとしたら周りから、そんなんしたら大正湯にしか行かへんようになる、と反対されて、結局壁だけモザイク画にかえたの、タイル屋の目録にそれしかなかった、あのころ子供がぎょーさんおったから女湯は魚にして、水族館みたいな。女将さんにどうぞと言われ、男湯を見せてもらう。男湯のモザイクタイル絵はエキゾチックな女のひと。脱衣場にはインベーダーゲームかなにかの筐体がひとつ、いまはテーブルがわりに使っているそう。男湯の脱衣場にはちゃんと池も残っており、大きな鯉がうようよ泳いでいる。以前、40年くらい生きていた鯉がいたがお客さんが持ってきた鯉を入れたら病気を持っていて全滅したそう。いまの鯉は平成12年にお母さんがそろそろいいかってこんな小さい鯉を20匹くらい入れて、亀もいるんです1匹、女湯のとこはコインランドリーになってるけどその前は池で、亀がわんさかいて、コインランドリーにしたときに掘ったら小亀がたくさん出てくるからお客さんにあげたりして、いま一匹だけ男湯の池に残ってる、わたしより長生きするかもしれん。大正駅まで戻り、周りをぐるっと歩き沖縄料理屋を探すが思ったよりない。駅の反対側には小さな飲み屋街があるが、まだ早い時間で開いていない。開いていたガード下の沖縄料理屋へ。オリオンの生ビール、ゴーヤチャンプルー、フーチャンプルー、ラフティ、沖縄そば。腹いっぱい。店員の男性が、沖縄式の結婚式をするんだ、と話している声が聞こえてくる。Kちゃんから連絡をもらい会うことに。大正から環状線で大阪へ。帰宅時間と重なったのかホームが激混み。快速に乗り新大阪へ。きょろきょろしてると、ムトーさん、と声がかかる。改札外の渋い喫茶店へ。アイスカフェラテ。Kちゃんはカレー、サラダ、カルピスのセット。カルピスには真っ赤な缶詰のチェリーが浮いている。Kちゃんは新大阪で働いているそうで、こちらに来てまだ1年くらいなのにすいすい迷わず歩いているが、ときどきいまいるのが新大阪、とびっくりするそう。京都に590円で30分で行けることがうれしいとのこと。母が肉まんを食べたいと言っていたので、551に連れて行ってもらう。4箇所あるから、空いてるとこ、と連れて行ってもらい2箇所目でそう並ばずに買える。新幹線改札まで送ってもらいKちゃんと別れる。新幹線で品川まで、山手線で目白まで。Yくんとビリヤードをし飲んでいたSがこっちに向かっていると言うので、花の橋あたりで落ち合う。めちゃくちゃ酔っ払っおり道の向こうでげらげら笑って手を振っている。往来座のそばまで来、自転車駐輪場に忘れた、というので別れてM家に帰る。しばらくしてSから電話。小銭がないから自転車出せない、と言うので、近くにローソンがあるからそこで水かお茶を買ってくずせばと言うと、水なのお茶なのどっち、とずっとうるさい。M家泊。

 

11月7日木曜日

晴れ。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。終えて、往来座へ。nは骨折したsaさんの付き添いで病院へ、Sがひとり店番している。夕方、saさんとnがタクシーで戻る。nとセブンイレブンでコーヒーとアイスを買い、ひといき。左腕は亜脱臼骨折、腰はヒビ、まぶたが切れ、指も腫れている。来週の手術まで自宅待機だそうで、左腕だけゆるく三角巾で吊られている。体もなるべく動かしたほうがいいとのこと。セブンイレブンで食料など買い、Sとsaさんを家まで送る。寝ながらスマホが見られる器具が欲しいというのでビックカメラ、ヤマダラビ、ドン・キホーテを見に行くが、種類が少なく、saさんにラインで写真を送りつつ選ぶ。往来座に戻り、往来座にあった木の台にくくりつけ、ru先輩とsaさんちまで運ぶ。よれよれのsaさんに、ベイスターズ優勝おめでとうございます、とru先輩がふかぶかと頭をさげている。往来座に戻り、お茶割り。「パンとお話Appleの発音」で買ったバジルパン、ゴルゴンゾーラのパンと、新大阪で買ったカールのチーズ味も食べる。うまい。大倉で買い物。夕飯は、セロリポン酢和え、もらった鶏そぼろ豆腐、もらった牛肉の甘辛煮に冷蔵庫に残っていたごぼう汁を足したもの。水曜日のダウンタウン、見る。M家泊。