断片日記

断片と告知

花見は命がけ

六義園で枝垂桜を見る。お花見8回目。枝垂桜の花びらは小さい。その花びらが、桜の木の根元の苔の上に舞い散り、水玉模様を作っている。園内で1番高い場所、藤代峠のベンチで弁当を食べる。眼下には日本庭園と池、その向こうには満開の白いコブシの花と、桜の木。絶景かな、絶景かな。ホカ弁でさえやけにおいしく感じる、この景色と、雨上がりの澄んだ空気。殿様気分とはこのことか。
本郷通りを歩き、東大を抜け、菊坂の途中にある銭湯「菊水湯」へ。花見で冷えた体がじわーっと温まる。変わっているのは、大きい湯船も、小さい湯船も、どちらも薬湯だったこと。大きい方はジェットバスと電気風呂と泡風呂が区切って設置され、お湯は米ぬかオリーブ湯。小さい方は、茶色く濁った漢方薬湯。正面のペンキ絵は、男湯と女湯をまたぐようにして描かれた大きな富士山の絵。銭湯といえばこのイメージだけれど、意外とこんな風にどーんと描かれた富士山は少ない。菊水湯
夜は、市ヶ谷のお堀沿いの桜を見る。例年よりも人が少ない。せっかくの満開なのに、雨が振ったからか寒いからか、場所取りする人たちもほとんどいない。せめて私だけはしっかり見てやろう。今年は早く咲いてしまったから、このまましばらく寒い方が桜が散らないでいい。