断片日記

断片と告知

2015-01-01から1年間の記事一覧

役立たず

口の奥、喉だかあごだかが痛みだし、話すことも噛むこともままならなくなり医者に行った。内科医にわからんと言われ、紹介された歯科医に行くと、あっさり潰瘍だと知れた。上の親知らずが大きくなりすぎて下の歯ぐきを傷つけてます。それが潰瘍になってます…

ちゃんとしてるね

前回、恭太さんや十四郎さんが褒めてくれたのは、ピカソやクレーが子どもの描く絵を面白がるようなもので、技術ではなく、はじめてもらったクレヨンで描きなぐるのがただ楽しくてたまらない、まだ自分が下手なことを知らない、下手なことを恐れない子どもの…

ドミソラーメン

穂村弘『短歌の友人』で紹介されていた馬場あき子の短歌。 都市はもう混沌として人間はみそらーめんのやうなかなしみ 寒くなった最近、食堂では味噌ラーメンの注文がぐっと増えた。温かければどんなで麺でもいいと思うが、不思議と味噌ラーメンが好まれるよ…

娘に伝えたい おせち料理と季節のごちそう

『娘に伝えたい おせち料理と季節のごちそう』に雑煮やお重の挿絵を描きました。難しい面倒くさいと敬遠されがちなおせち料理ですが、そのときはひとつからでも、と、娘たちへと書かれた著者・本田さんの序文のことばが柔らかくて嬉しいです。ひとつから、と…

はじめての言語獲得

雑司ヶ谷小学校の同級生から装画依頼がきたのは、作家になった樋口毅宏くんについで二人目のこと。 中学から私立へいったわたしは、雑司ヶ谷小学校から雑司ヶ谷中学校へ進んだ彼らが羨ましくて仕方がない。同じ制服を着て笑う彼らに、違う制服を着るわたしは…

ポポロックフェス

雑司ヶ谷の家からそう遠くない場所にギャラリーが出来るらしいと知ったのは、学研から出ていた雑誌『Pooka』の記事だったように思う。どの駅からも遠い、何もない住宅地にギャラリーを作る人たちがいる、と出来てすぐにひやかしに行ったのが運の付き。ギャラ…

夏だから!カレー皿とTシャツ展

盛岡の中津川沿いにあるギャラリー、shop+spaceひめくりでのTシャツ展がはじまりました。岩手山、北上川にかかる開運橋、中津川の土手、盛岡城址から見た大きな空、と、盛岡に行き見るたびに大好きだと思う景色をさりげなくTシャツに描きました。さりげなさ…

潮の音、空の青、海の詩

仙台在住の作家、熊谷達也さんの新刊『潮の音、空の青、海の詩』(NHK出版)の装画を描きました。仙台のブックカフェ「火星の庭」の前野さんと知り合い、2009年からはじまった本のイベント「Book! Book! Sendai」に参加するため、毎年6月、古本屋の友人たちと…

生活の底

いくつかあった絵の連載がふいになくなり金に困った。何年続こうといつか終わりはくるのだとわかってはいたが、その日が重なるところまでは頭がいたらなかった。どうしたことか単発の仕事さえもぴたりと止んだ。振込みのなくなった口座から金は減る一方で、…

イタリア再訪日記

先月の発売でしたが紹介が遅くなりました。『HB』を発行しているはっちこと橋本くんの『イタリア再訪日記』上・中・下巻の装画を描きました。一定の距離を保ったまま、しかし面白いと思う人たちが行くところはどこまでも追いかけていく、奇妙な傍観者・橋本…

入谷コピー文庫「さかえ湯」

「入谷コピー文庫」ある塵シリーズ第3回銭湯に書いた文章を、堀内さんの許可をいただきこちらに転載いたします。街から消えていくものとの付き合い方を考えているときに出会った「さかえ湯」は、消えていくものの多い渋谷という街のなかで、特異な残り方をし…

隣りの卒塔婆

以前、どうした流れか忘れたが、退屈くんと卒塔婆の話になったことがある。新潟生まれの退屈くんが、東京に出てきてはじめて卒塔婆を見て驚いたとかなんとか、そんな話だったように思う。雑司ヶ谷にいくつかある墓地でも、子どものころ観ていたゲゲゲの鬼太…

入谷コピー文庫

堀内家内工業発行の小部数冊子「入谷コピー文庫」ある塵シリーズ第3回銭湯に、渋谷の銭湯「さかえ湯」について書きました。街から消えていくものとの付き合い方、折り合いのつけ方を考えていたときに出会った「さかえ湯」は、渋谷という移り変わりの激しい街…

猫の友だち

アトリエとして借りている風呂なしアパートのわたしの部屋へ、ときどき猫が訪ねてくる。近所のひとたちから、ちゃーちゃん、と呼ばれているこの猫は、首輪をし、この辺りを我がもの顔で歩いているが、どこのうちの飼い猫だかはわからない。 昼過ぎアパートへ…

甘い正月

正月が近づくと祖母は台所で玉子焼きを焼く。ガス台のまえに小さな祖母の背中がある。長方形の型に砂糖をたっぷり溶いた卵を流し込み、ちゃっちゃと箸で丸めていく。台所から甘い匂いが流れ出す。焼きあがった玉子焼きが木のまな板のうえに並べられていく。…