断片日記

断片と告知

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

空耳

7月頃に北池袋の銭湯「小松湯」に行ったときのこと。入り口のところでなにやら撮影をしている人たち。銭湯の入り口に立つ怪しいおじさんと、そのおじさんを撮影する怪しいスタッフたち。自主制作映画の撮影かしら、とその時は大して気にもとめず、おじさんの…

夏の終わり

夏のはじめに鳴く蝉と、夏の終わりに鳴く蝉は、どっちがいいのかしら。足元の、くっついたまま果てている、2匹の蝉の死体をじっと見る。

わしゃ、今が花よ

池袋から電車に乗って北浦和へ。電車に乗っているときの楽しみは、車窓から見える町並みだ。古い家、古いアパート、その屋根の上にのる物干し台、銭湯の煙突、土手のある大きな川、そんなものが見えるととてもうれしい。 北浦和の埼玉県立近代美術館で「丸木…

恐ろしい町

夕方、副都心線に乗って渋谷へ。センター街そばの銀行に入る。お金をおろそうとATMに近づくと、ビービーとなにやらけたたましく鳴り響いている1台がある。見るとカードの差込口にキャッシュカードが刺さったままになっている。忘れ物だ、銀行の人を呼ばない…

夏期講習

夏が終わる前に、思い出したことを書いておく。 私が通っていた高校には、出たい生徒が好きに参加できる夏期講習というものがあった。受験対策の夏期講習だとは思うのだけれど、本気で受験する人たちは予備校の夏期講習に通うわけで、この高校の夏期講習は、…

朝と夜

深夜。本も読み飽きたので、そろそろ寝ようかと思う。電気を消し、掛け布団を丸めたり広げたりしながら、布団の上で二転三転する。どの体勢で今日は寝ようか、ごろごろしながら考える。そんなことをしているうちに、いつの間にか眠っていて、気がつくと朝に…

晴れ御い

副都心線に乗り明治神宮前まで。雨の中、明治通りを渋谷まで歩く。渋谷で諸々の用事を済ませ、また明治通りを明治神宮前まで歩く。原宿渋谷間の往復。こんなんじゃ歩いたうちに入らない。体がもっと歩けと欲求するけれど、雨が降っている中歩くのはやだな、…

夏に根性焼き

コミケに行ったあの日から、今年の夏は終わってしまったのか。まだ8月とは思えないほど、毎日涼しい。喜ばしいことのいくつか。首に出来ていた汗疹が、連日の涼しさで完治した。クーラーをつけなくても夜眠れるようになった。散歩中に頭がくらくらしない。考…

彷書月刊

「彷書月刊」の2008年9月号が届く。ナンダロウさんの連載「ぼくの書サイ徘徊録」の今号のテーマは「家内制自主出版としての『文庫』」。そこに紹介されているのは、「スムース文庫」、「入谷コピー文庫」、「コクテイル文庫」、「蟲文庫文庫」、そして「わめ…

日の出祭り

昼過ぎ、古書往来座へ。完成した「チョモランマ」を見、これは乙女じゃない、このサイドチョモランマが変、と散々瀬戸さんに文句を言い、作り直してもらった「新チョモランマ」がこれ。これもまだ実物を見ていないのですが、「旧チョモランマ」よりは乙女な…

チョモランマ

古書往来座の瀬戸さんが、「死闘篇」発売記念で作ってくれた武藤良子外市専用機「チョモランマ」。設計の段階からうるさく口をはさみ、「乙女な感じで」と口をすっぱくしながら言い続け、できた本棚がこれです。実はまだ完成した姿をこの目で見ていないので…

未知との遭遇

夜7時半。アトリエからの帰り道。アトリエそばの図書館の返却ボックスに期限のきれた本をドコンドコンと返し入れ、公園を通り、昔からある寂れた商店街を池袋駅目指して歩いていたときのこと。通り過ぎた路地の奥に何かを見たような気がする。一瞬、野良猫か…

スマさん

北浦和の埼玉県立近代美術館で「丸木スマ展−樹・花・生きものを謳う−」を見る。見ている最中ずっと「生きとし生けるもの」という言葉が頭に浮かぶ。見終わって、美術館から外の公園に出る。公園にある木すべてが、スマさんの描いた木のように見えてくる。ス…

萌え論

コミケ会場でお会いした久世番子さんの同人誌「何の話をしてたっけ。」を読む。この中に出てくる作品「スペシャルイシュー旧宮家」。いわゆるひとつの「貴族萌え」ですね、と番子さんが書かれているように、「旧宮家萌え」な話であります。明治20年生まれの…

久しぶりの早起き。6時半に起き、7時半には家を出る。池袋駅構内でにぎり飯を3つ買い、新木場行きの埼京線に乗る。国際展示場まで直通のこの電車、池袋駅の時点ですでにコミケな人々が大勢乗っているのでは、という懸念はすぐに解消され、ぽろぽろとそれらし…

リベンジ

明日17日(日)はコミケです。「大阪京都死闘篇」を小脇に抱え、「けものみち計画」のブースでナンダロウさんと和光大の学生さんと共に出店します。コミケは入場料、無料です。お盆休みお暇なかた、ぜひのぞいてみてください。 東京ビックサイト 西 な―15b …

書評のメルマガ

「書評のメルマガ vol.372」に「緊急寄稿 わめぞ文庫、創刊す」を書かせていただきました。今号のメルマガのタイトルは、「物書きの流刑地 号」。そこに文章を寄せるのは、エンテツさん、大竹さん、塩山さん、そして武藤、という人選に、ナンダロウさんの何…

夏と死体

夏の道路にころころと転がる蝉の死体。他の虫の死体はほとんど道路で見ないのに、この蝉の死体だけは節操もなくころころと転がっている。長い間、土の中にいて、やっと出てきたと思ったら、鳴きわめき、交尾をして、道路に転がる。その生き方にも、死に方に…

夏の味

はも、さんま、てんぷら、ひややっこ、だだちゃまめ。居酒屋のメニューではなく、いつものラーメン屋で出してくれたおつまみの数々。ここに通うようになってから、よく魚を食べるようになった。おいしいけれど、ラーメン屋でなぜ魚なのか。はも、と言えば関…

青臭い話

新宿へ。学生時代の友人と飲む。はじめて会ったのが18の頃だから、もう20年近い付き合いになる。それだけ経てば心身共に多少は変わりそうなものだけれど、この友人たちはほとんどそのまま。結婚したり、子どもができたり、仕事を変わったり、いろいろあるも…

街頭テレビ

渋谷で仕事の打ち合わせ。青山まで歩き、HBギャラリーで高広夏子さんの個展「竜巻とチョコレート」を見る。 夜はいつものラーメン屋で一杯やる。店の奥にあるテレビでオリンピックの映像を見ながら、瓶ビールを飲み、餃子をつまむ。日本選手が出てくるたびに…

20世紀少年未満

数年前、生徒数の減少から、廃校になった雑司ヶ谷小学校。その解体工事をしているときに、校庭の隅の二宮金次郎と夏みかんの木があった小さな山から、タイムカプセルが見つかった。工事の人が見つけたそれ。いつの生徒が埋めたものだかはっきりわからなかっ…

ミニミニ打ち上げ

アトリエに取材に来たナンダロウさんと池袋の北口を目指して歩く。平和通りにある中華料理屋「永利」。今日はそこで「死闘篇」の完成ミニ打ち上げが行われる。先に着いた我々でビールを飲んでいると、向井さんとAさんが少し遅れて到着する。今日は「死闘篇」…

処女と死闘篇

「大阪京都死闘篇」が出来上がった。明るいオレンジ色の表紙、ぎっちりと書き込んである文字と挿絵、58ページもあるのに意外と薄く、手のひらにすっぽりと収まる感じ。はじめてにしては、まぁまぁか。そうでもないか。これが私の「処女出版」か。しかし、「…

隙間から見る

夜、副都心線に乗って北参道まで。神宮花火大会を見に行く。街中でやる神宮の花火は、川や海でやる花火大会とはちょっと違う。大きな三尺玉などの花火は上がらず、その代り小さくて色がきれいな花火がたくさん上がる。建物に囲まれた場所でやるので、ビルの…

着信

副都心線に乗って、明治神宮前まで。青山のHBギャラリーで大西洋さんの個展「ラクガキ」を見る。オーパギャラリーで金子佳代さんの個展「PIECE UP PIECES」を見る。 電話の多い1日だった。

バカボンド

暑いので、髪を結い上げている。頭のてっぺんにお団子がくる、あの文化系お洒落女子がよくしている髪型だ。本人はそのつもりで結っているにも関わらず、誰もそうとは思ってくれない。古書往来座の瀬戸さんには「宮本武蔵の弱い頃みたいですね」と言われ、旅…

夕立

雲がどんどん黒くなり、空がどんどん暗くなり、すぐそばの雲が低音でゴロゴロ鳴り出すと、くるぞ、くるぞ、とワクワクする。夏の雨は、ぽつ、とはじめの一滴が頭にあたったときから、どーん、と降ってくるまでの時間が短い。はじまっていきなり盛り上がるラ…

生乾き

道路工事した後の、アスファルトの上を歩く。出来たてほやほやのそれは、熱くて、黒くて、ねちねちしている。サンダルの底がアスファルトから離れるたびに、ねちゃ、ねちゃ、と不快な音をたてる。そう言えば、こんな出来立てほやほやのアスファルトは久しぶ…

手荷物

ちょっとした用事で電車に乗るとき、かばんの中に入れていくのは出版社のPR誌がいい。文庫よりも軽いので、読むときも、それをかばんに入れて歩いているときも、邪魔にならなくていい。荷物の隙間にするりと入る薄さもいい。読み切りが多いから、5分10分の乗…