断片日記

断片と告知

コロナの冬 3月22日から3月28日

3月22日金曜日

晴れ。サッポロ一番豚骨塩ラーメン。万ネギとコンビニで買ったチャーシューとゆで卵をのせる。Sがたくさん食べたいというので3袋分作り、Sが1.7、わたしが1.3食べる。アメトーーク、テレビ千鳥、見る。文房堂から額装ができたと電話あり。Sは往来座へ。絵。夕方、池袋から丸ノ内線御茶ノ水まで、坂おりて文房堂へ。蟲文庫のショップカードになった枇杷の絵の額装をお願いしていた。グレーのマット、フレームはチーク材。いい額ですね、と担当さん。今日の担当は昔池袋の中国画材で働いていた方。前から元中国画材の人が働いているとうわさで聞いてはいたが、まさか倉敷に送る日に出会うとは思わなかった。中国画材は、倉敷駅から蟲文庫に行く途中の商店街のなかに本店があった画材屋で、以前は池袋西武の向かいの雑居ビルのなかにも支店を構えていた。画材は世界堂で買っていたが、額装は対面式で相談にのってくれる中国画材でお願いすることが多かった。絵を倉敷に送ることから中国画材の話になり、いろいろ教えてもらう。初代は藤田さんといって、藤田嗣治の藤田、覚えやすいでしょう、満鉄で働いていたんだけど戦後引き揚げて、自分も油絵を描いていたから実家のあった倉敷で画材屋をはじめて、そうあの場所、はじめは小売だったけど自社製品も作るようになって卸もするようになって、それでまぁいろいろあって16年前の12月につぶれてね、そのあとサクラクレパスが買ってくれたんだけど、池袋とか借りてたとこはなくして、自社ビルだったとこだけ名前を変えていまもやってるんだけど、わたしは16年前から文房堂で働いているの、中国地方だから中国画材だって思われてるけど、ほんとは初代が中国が好きだったから。倉敷の本店はアムスと名前がかわったがいまも同じ場所で画材屋をしていて、百椿図のときも足りない画材を買ったりとお世話になった。枇杷の絵が名残り惜しく、もう一度箱から出してよく眺める。配送をお願いして、帰りのエレベーター前で待っているとカウンターのほうから、いい絵だね、いまの方が描かれたんですよ、と担当さんと隣りのカウンターの客の声が聞こえてきたので、カウンターのほうに顔を出し、ありがとうございます、と手を振ってからエレベーターにのる。東京堂書店を見、春の古本まつりの前を通り、水道橋後楽園茗荷谷と歩いて帰る。サンシャイン60くまざわ書店で『スキップとローファー』能登支援版の10巻を買い、特製栞を配布しているはずと店員に聞くとこちらでは配っていませんとのこと。ジュンク堂書店に寄り、地下のコミック売り場に栞があったのでもらう。往来座へ。ru先輩、saさん、miくん。お茶割り。ru先輩に能登支援版の『スキップとローファー』を見せると、支援版と普通版があることを知らなかったと言い、栞はもらったのに、普通版を買ってきちゃった、ちょっと支援版も買ってくる、とまたジュンク堂に買いに行く。後から来たsaさんは支援版を買ったものの、栞は知らなかった、すげーいいじゃん、と言いながらジュンク堂にもらいに戻る。50過ぎた人間が漫画のことでばたばたしてなにやってんのよ、と言いつつ、みな楽しそう。来年の名画座手帳の帯を依頼するためのコスプレ衣装を考えろ、とSが言うので紙などで作ってru先輩に身に着けてもらい写真に撮る。そう悪くない。新宿アルタが2025年2月で営業終了のニュース。ハナマサで買い物。夕飯は、ごぼうほうれん草舞茸油揚げ豚しゃぶ鍋。麦チョコを少し。食べ足りないSはミックスビーンズを食べている。『スキップとローファー』を読む。漫画のなかでは夏休みで主人公と友人たちが主人公の実家の能登に遊びに行っているところ。みなで輪島の朝市にも行っている。あとがきで、主人公の実家のモデルになった家が地震で全壊したこと、作者の祖父祖母が亡くなったことが書かれている。S家泊。

 

3月23日土曜日

雨。母が作ったチキンカレー。人参とナスも入っている。いつもより早く出てBスポで使う資料を借りに図書館に行くと言っていたSは、疲れちゃった、と言いながら布団で寝なおしている。ふだん通りにSは往来座へ。絵。夜、往来座へ。saさん。お茶割り、焼酎のお湯割り。9時から不忍ブックストリームの配信開始。ゲストは虹霓社の古屋さん。Bスポは本のページ数を当てるゲーム。終えて、S、nと松屋へ。シャリアピンハンバーグ定食と豚汁、瓶ビール。腹いっぱいで豚汁食べきらず、Sに食べてもらう。S家へ。『ぼくの憂き世風呂』続き読む。田村隆一吉本隆明と谷中・菊の湯に行っている。

Y この、お風呂の絵、この背景画、変な、モダンなペンキ絵。

R 中間色なんか使いやがってさ。銭湯の絵ときたら、原色でなきゃいけません。中間色だと、湯気で、二重になっちゃって、ダメなんですよ。しかも、この絵、奥十和田の初夏の光景で、湖畔を、洋服をきた若き男女が、散歩している構図じゃありませんか。空が、奇妙なコバルト・ブルーで、こいつは、しまりません。やはり、銭湯の絵ときたら、原色でないと…(二人は、洗い場で、石鹸をつけて、ゴシゴシ、体を洗っている。)そうすると、ちょうど、湯気で中和して、ほんとうの中間色が出るんです。

原色が湯気で中和するなんて、ほんとだろうか。S家泊。

 

3月24日日曜日

曇り。玉ねぎ人参ひき肉のトマトソースパスタ。お笑い向上委員会、あちこちオードリー、見る。台所で音がしたので見に行くと大きなネズミがコンロの穴に石鹸を引き込もうとじたばたしている。石鹸が穴をふさぎ行き場をなくしたネズミがコンロの周りを走り回り冷蔵庫の裏手に逃げていく。わー!と叫んでコンロにのった石鹸をSに見せる。Sが冷蔵庫の裏に虫網をつっこみぐるぐるしても出てこず。なんで猫が三匹もいるのに、とS。猫はなにもせず、ネズミにも気づかず。Sは往来座へ。絵。夜、往来座へ。saさん。お茶割り。nの風邪が感染ったようで喉が痛い。ハナマサ、弦巻通りのまいばすけっとで買い物。夕飯は、ごぼう白菜油揚げ水餃子鍋。水餃子には白菜のみじん切りを入れる。今日は餃子の皮やぶけず。『ぼくの憂き世風呂』続き読む。田村隆一小松左京と大阪・天満温泉に行っている。

R ヒマつぶしに、風呂屋を利用するという手はないんだな、大阪には。東京の銭湯は、ヒマがヒマになって、心をなぐさめてくれるのです。戦前の小林秀雄や、戦後の吉本隆明の銭湯論を読むと、風呂屋におけるヒマと、そのヒマの活用法が分かってくるような気がするけどナア。

K ヒマつぶしなら、大阪近辺にはたくさんあるんですよ、有馬、白浜、といった、それこそ白砂青松の温泉街がね。

R なーるほどそうか。そうか。東京だと、いちばん近くて、那須、塩原、草津、箱根、となっちゃうし、いまみたいに交通の便がよくなかったから、それで東京の銭湯は、温泉の代替物になったのかもしれないな。

白砂青松は、はくさせいしょう、とふりがながついている。S家泊。

 

3月25日月曜日

雨。よしやで買ったレトルトラーメンで、らあめん花月嵐「嵐げんこつらあめん」。万ネギ味玉チャーシューのせる。最近食べたレトルトラーメンのなかで作るのが楽で味も一番好み。Sはチンした飯をラーメンの汁に入れ、残った飯に卵をかけて食べている。Sは休日、布団に転がり動画を見ている。喉頭関節痛治らず。体がだるい。ジキニン飲んで寝る。夕方、Sは古書会館へ。北部古書会館問題の会議とのこと。そのままZA先輩とサン浜名中華で飲んでいるとラインがくる。出かける気になれず寝て過ごす。12時過ぎ、ファミマで買ったスイーツを持ってS帰る。コーヒーゼリーが入ったでかいプリンを食べ、ジキニンを飲んで寝る。S家泊。

 

3月26日火曜日

雨。喉頭関節痛治らず。今日会うはずだったmiちゃんuちゃんに行けない旨をライン。Sがファミマで買った汁なし担々麺をチンして食べる。Sはファミマで買ったカルボナーラを食べている。薬飲んで寝る。しばらくして、n病院行ったらコロナだったって、治りかけで薄い線でたって、とS。Sは無症状だが、念のため、今日Yくんとビリヤードに行く予定だったが中止の連絡をしている。87年のNHK山田太一ドラマ「今朝の秋」を見る。笠智衆杉村春子樹木希林。むいた夏みかんに大さじ2杯くらいの砂糖をかけて食べている。いつもと体調が変わらないSは布団に転がり動画を見るかブログを書くかしている。夕方、昨晩Sが買ってきたファミマのいちごクレープを食べる。いちごとはじめに書かれているわりにいちごがほとんど入っておらず。1個のいちごを半分に切ったものがクリームのうえにのっており、したのほうにいちごジャムらしきものがちょびっと入っている。8割りホイップクリーム、1.9割りが皮、0.1がいちご。薬飲んで寝る。夜、Sと缶ビール飲みつつ東池袋へ。ビールが苦みしか感じずまずい。口内に膜があるみたい。マルエツでささっと買い物。本搾り飲みながら帰る。本搾りは味があるがいつもより苦みが強いような気がする。夕飯は、玉ねぎ人参ミックスビーンズベーコンのトマト汁。なんでおれにはうつんないの?とSが言うので、バカだから、と答える。薬飲んで布団に転がる。S家泊。

 

3月27日水曜日

晴れ。納豆ご飯。味道楽も飯にかけて食べる。Sは納豆ふたつ卵ふたつにツナ缶を混ぜたものを飯にのせて食べている。相席食堂、見る。食欲あり、熱なし、若干の喉と頭の痛み、治りづらい風邪くらいの感じが続く。花粉症の鼻水のほうがつらい。K会長に連絡し、検査キットをお願いする。Sは車で買い取りへ。わたしも行くはずだったが念のためやめる。Sが戻って来、検査キットを試すと線がびしっと2本現れる。陽性。Sは少しでもビリヤードがしたいと言いながらビリヤードへ。体調悪くないので絵を描く。夜、Sが戻り、本搾り飲みつつ弦巻通りのまいばすけっとからマルエツまで散歩。買い物。本搾り飲みつつ帰る。夕飯は、ごぼうほうれん草豆もやし水餃子鍋。水餃子には白菜のみじん切りを入れる。85年のNHK山田太一ドラマ「冬構え」見る。笠智衆の、あー、とか、うー、とか、ことばにならないつぶやきがこんなに表情豊かだったとは。しかし旅シーンが長く、笠智衆のイメージビデオのよう。小沢栄太郎藤原釜足。S家泊。

 

3月28日木曜日

曇り。まいばすけっとで買ったレトルト麺、日清の沖縄風ソーキそば。万ネギチャーシュー味玉ものせる。冷蔵庫に死蔵していたコーレーグースーもかける。風だがうまい。Sは赤い靴下だけ洗濯かごから抜き洗濯している。若干の喉の痛み、それ以外に症状はなし。やっぱり花粉症の鼻水のほうがつらい。Sは往来座へ。絵。夜、本搾り飲みつつ、弦巻通りのまいばすけっとから目白台護国寺と散歩。講談社の壁面に『スキップとローファー』の垂れ幕。護国寺マルエツで買い物。本搾り飲みつつ帰る。帰り道、雑司ヶ谷の通称雄幸公園の横を通る。まだ桜がまったく咲いておらず。夕飯は、トマト、玉ねぎれんこん鶏肉にコンビニで買ったシチューの具の素を足したシチュー。23時過ぎ、酔っ払ったSが帰る。楽しかったー、と言いながら酔っててとてもうるさい。asさんが4月から来られなくなるかもしれないからって、ぼくらと一緒に11時過ぎまでいてくれたの、とS。ru先輩が外の棚をしまうときに棚が倒れて足を負傷したそう。そのとき道を歩いていたラッパーみたいな男の人がさっと来て大丈夫ですかってぐっと棚あげてくれたの、とS。ru先輩にラインをすると、青く腫れ足の感覚がない、と返信くる。Sの夕飯は、トマト、マルエツで買った焼き鳥、シチュー。TVerにあったアメトーークのキャンプ芸人を見ようとすると、ぼくほんとキャンプってだめ、芸人がキャンプするってほんといや、とうるさいので見るのやめる。『ぼくの憂き世風呂』続き読む。田村隆一が浅草の大黒湯で谷中・菊の湯と同じ奥十和田湖のペンキ絵を見て、女将さんに「たしか、ペンキ屋さんは青田さんと言ったけど。」と教えてもらっている。4章は浅草に行き佐多稲子と牛鍋屋で話している。

S それに女湯には、オシロイの匂いがしました。あのオシロイを落して、ええ、その落し方も、一ぺん、水をさっとかける。すると、皮膚の上に浮いているオシロイが落ちて、それから、あぶらについているオシロイだけがからだに残るのですよ。ですから、お湯をからだにかけると、白い色のお湯がさっと流れるのです。あんな風景はもうなくなってしまいました。

S家泊。