断片日記

断片と告知

2011-01-01から1年間の記事一覧

古本屋ウララ

今年10月、沖縄の日本一狭い古本屋「とくふく堂」が閉店し、その跡地を受け継ぐ形で、「市場の古本屋ウララ」が開店した。ウララの店主は、元ジュンク堂の書店員で、わたしが池袋店で働いていたとき、とてもお世話になった人だ。池袋店から沖縄店へ、その後…

都電のパンチラ

法明寺の参道の中ほどに、右手に折れる道がある。石畳と大きな欅の下を抜けると、小学校と音大の前に出る。そのまままっすぐ、曲がりくねりながら道なりに歩くと、正面に小さなトンネルが見えてくる。雑司が谷停留所と鬼子母神前停留所の間にある、都営荒川…

もの食う本

古書往来座で買った雑誌『暮らしの手帳』第1世紀100号を眺めていた。わたしが生まれる前、1969年発行のものだ。中ほどのカラーページに、「おべんとう」の特集が組まれていた。塩鮭と玉子焼き、とりそぼろ、とりのからあげとちくわ。いまと変わらな…

鹿児島のクリスマス

季刊「うかたま」2012年vol.25の、和豆・洋豆の定番料理、に挿絵を描きました。オイルパステルで描いたフライパンや匙や皿の上に、いろんな色形の豆たちがのり、頁を飾っています。うかたま.net [季刊 うかたま] 雑誌「ESSE」2012年1月新年特大号、曽野綾子…

わめぞTV

明日11月29日(火)は、「わめぞTV」の放映日であります。明日の見所ですが、ひぐらし文庫・原田さんに聞く特集『「本屋」は死なない』、雨傘特別編「ペリカン時代で飲み食いした全記録・武藤良子高円寺大食い対決」、そして盲本道「ブルゴーニュ岡島防衛戦!…

おおきな木

大きな木を切り倒すのを見てしまうと、人殺しの現場を見てしまったようで気分が悪い。何十年何百年分を、鉄の刃が1日で切り倒していく。金があればこの土地を買うのにと思うが、金を持つ人はこういうことに金を使わないのだ。雑司ヶ谷のカブトムシの何割か…

すだれの空

何日か手が空くと、描きはじめるまで、時間がかかる。シートを広げ、画材を並べ、いつでも描けると白い紙を前にして、なのにそれから手が動くまでに時間がかかる。久しぶりに見る白い紙はとても怖い。窓にかかる、100円均一で買った、まばらなすだれの隙間か…

小杉湯、世界湯、日の出湯

高円寺の銭湯「小杉湯」。鯉の滝登りの木製の懸魚のある、古く立派な銭湯だが、改装され所々新しくなっている。外の路地から見ると、左から女性専用のコインランドリー、入り口、入り口右手に格子窓、窓の向こうにロビー兼ギャラリーの明かりが透けて見え、…

慌てる女

先日、鍋屋横丁で用事を済ませ、そこから中野に出ようと歩いていると、大久保通りに出たところの小さな交差点で、若い女に話し掛けられた。すみません、中野駅はどちらでしょう。中野駅はどっちだろう、同じことを考えていたわたしは、交差点の向こうに見え…

みどりの窓口

誘われて赤坂へ、志の輔の独演会を観に行く。演目は「異議なし!」「みどりの窓口」「柳田格之進」。まくらから「異議なし!」「みどりの窓口」では笑わされ、最後に「柳田格之進」で泣かされた。「みどりの窓口」は、みどりの窓口で働く職員と切符を買いに…

宝くじ

駅のホームに立ったとたん電車が来た日、信号待ちのない日、仕事の電話がいくつかあった日。そんな日は駅前を通ると宝くじを買ってみようか、という気になるが買ったためしがない。一生のなかで運不運は均等にならされるとどこかで思っていて、思いがけない…

金泉湯

いつでも行けそうだからといつも前を通りすぎていた、早稲田の古本屋、古書現世の横の横に建つ銭湯「金泉湯」に行く。 瓦屋根の、唐破風の、立派な煙突のある、古く大きな銭湯。入り口左手にコインランドリー、暖簾をくぐると正面にフロント、右手に大きな池…

じゃがいもびいき

中央公論社から発売の単行本「じゃがいもびいき」の装画を描きました。日本のごつごつとしたじゃが芋とは違う、フランスの細長くすらっとしたじゃが芋を、いくつもいくつも描きました。10月25日発売です。本屋さんでぜひどうぞ。じゃがいもびいき|単行本|…

明日から小布施へ

小布施の図書館まちとしょテラソで行われる古本市にわめぞで参加いたします。わめぞは、かんてんパパ、という寒天屋さんのお蔵をお借りして古本を売ります。高円寺・ハチマクラさんのかわいい雑貨も売ります。長野のみなさん、他の町から遊びに行くみなさん…

ボエーズ一箱へ行く

ボエーズというバンドをご存知でしょうか。イラストレーター、古本屋、古道具屋、フリーライターなど、働く女と男、6人からなるバンドです。主な活動は、月に1度のオリジナル曲カバー曲の練習録音、その後の呑み会です。夢はパルテノン神殿での初ライブです…

ただいま食事中

アトリエの冷蔵庫を開けると、秋味、と印刷された缶ビールが2本入っていた。しばらく前、差し入れに貰ったまま、飲まずに忘れていたものだ。1日仕事のゲラを読み、食べものがたくさん出てくる話だからか口寂しくなり、夕方、冷蔵庫を開け、缶ビールの爪にカ…

峠うどん物語

重松清さんの新刊「峠うどん物語」(講談社)、の帯と見返しに挿画を描きました。ネット上では帯なしの書影しかみることができませんので、ぜひ本屋さんで手に取ってご覧ください。特に、うどん屋の品書きになっている見返し、は必見です。下巻は来月発売の予…

二十五の瞳

隈之城から、鹿児島、博多、小倉、門司、尾道、倉敷、大阪、京都と寄り道をして、6日に東京へ帰ってきました。南のみなさん、西のみなさん、お世話になりました。美味しいご飯を毎日ありがとうございました。南と西の空の陽射しは強く、景色の陰影が濃く、東…

鹿児島へ

今日から8月6日まで、個展に合わせて鹿児島旅行に行ってまいります。メール等が見られなくなります。急ぎの連絡は携帯電話までお願いします。

ちくまとマッチとスカートの柄

筑摩書房のPR誌「ちくま」の8月号から、木村衣有子さんの短期集中連載「もの食う本」がはじまります。連載第1回目に木村さんが紹介する鮨の本に合わせて、刺身包丁の挿画を描きました。本屋さんで見ていただけるとうれしいです。筑摩書房 PR誌ちくま 倉敷・…

今日はみちくさ市

本日、雑司ヶ谷「鬼子母神通りみちくさ市」開催いたします。みちくさ市の前には仙台の書店員・佐藤純子さんと、会津を紹介するリトルプレス『oraho』の編集発行人・山本晶子さんのトークもあります。トークを見てからみちくさするのも十分間に合いますので、…

ワメトーク仙台と会津

純ちゃん、こと佐藤純子さんは、ジュンク堂書店仙台ロフト店で働く書店員です。山本さん、こと山本晶子さんは、会津を紹介するリトルプレス『oraho』の編集発行人です。第8回目のワメトークは、おふたりに、本とブックイベントと東北の話、をしていただきま…

本と団扇

森まゆみさんの新刊「おたがいさま」(ポプラ社)の装画を描きました。森まゆみさんといえば、地域雑誌「谷中・根津・千駄木」を創刊された方であり、いまでは普通に使われている「谷根千」という町の呼び名を広めた方でもあります。装画のお話しをいただいた…

川嶋湯

仕事終わりの王子を誘い、北赤羽の銭湯「川嶋湯」へ行く。はじめて降りる駅から、川を越え、団地を横に見、日の落ちた住宅地の空に煙突を見つける。「川嶋湯」の前の道に、白黒の猫が1匹寝ているのを見る。 瓦屋根の唐破風、木製の懸魚、のある大きく古い立…

6月の仙台は本の月

仙台の本のイベント「Book!Book!Sendai」が今年も開催されます。「わめぞ」は昨年第二回目の「B!B!S」に参加し、サンモール一番町の商店街で古本を売りました。その前年は「火星の庭」と「マゼラン」の店先を借り、古本や雑貨を売りました。 「わめぞ」…

第二松の湯

品川から赤い電車に乗り大森町まで。 頭の上を高速道路が走る大きな道路を歩き、川沿いの道を曲がる。ビルとビルの間を見ると、目指す銭湯の煙突が伸びているのを見つける。煙突よりも、横のマンションのほうが背が高く、マンションの外階段のすぐ横で、黒い…

原っぱ

たいていアトリエに着くのは昼過ぎで、着くとまず台所の窓を開ける。窓の下の小さな原っぱに寝ている猫たちを見る。日によって、天気によって、いない日もあれば、原っぱのあちこちに散らばって寝ている日もある。絵を描いていて手が止まると、窓を開け、原…

ノミヤマだからさ

物心ついたころから、自分の出来ないことが出来る人たちを、羨んでばかりいる。一番はじめは幼稚園のとき。お姫様の絵を描くのが上手だったU子ちゃん。それから順に思い出してみると、女の顔ばかり頭に浮かぶ。女ばかりの学校に通っていた時間が長かったから…

口笛

アトリエにいて夕方になると、たまに口笛が聞こえてくる。毎日でもないがよくあることなので、たぶん近所の誰かなのだと思う。選曲、例えば今日は「七つの子」、からして、若者ではなく、年配の人だと思う。姿はいつも見えないが、なぜか、女ではなく、男に…

明日はみちくさ市

明日は久しぶりの鬼子母神通り商店街「みちくさ市」が開催されます。お時間ある方、ぜひどうぞ。 *第10回 鬼子母神通り みちくさ市* 商店街が、一日だけの古本街! 2008年6月、東京に新地下鉄・副都心線が開通し、雑司が谷駅が誕生しました。ちょうどそ…