断片日記

断片と告知

トキワ荘2007

フジテレビの深夜に放送していたドキュメンタリー番組「トキワ荘2007 わたしたちのマンガ道」を見る。墨田区のどこかで、漫画家を目指す女性たちが、NPOが管理する一軒家で集団生活を送っている。商業誌デビューは果たしているが続きが描けない人、まだデビュー未満の人、イラストは描けるがストーリーもコマ割りもうまくいかない人、そんな人たちが1つ屋根の下に住み、一緒にご飯を食べ、漫画を見せ合い、意見しあって生きている。広い部屋もあるが狭い部屋もあり、最後にこの家に入居してきた30代の女性の部屋は、ホコリっぽい3畳間、光熱費通信費込みで3万円だった。風呂は共同でついているのだろうが、決して安い値段ではない。東京でも、風呂なし便所共同の日のあたらない3畳間なら、もっと安いところもある。それでもここで生活することが楽しいのだと、その人は言う。商業誌デビューは果たしているが続きが描けない人は、この中での漫画ご意見番だ。自分の作品が描けないときに、人の作品を見せられ意見を求められるのは辛くないのだろうか、と思いながら、その人は丁寧に見て言葉を返す。漫画家が描いた漫画家物語は大好きだが、実際に「まんが道」のような状況に自分がいたら耐えられるだろうか。一緒に暮らす人が売れていくのを見て、おめでとう、と素直に言えるんだろうか。こんな壁の薄そうな一軒家に一緒に暮らしていたら、一人で泣くこともできなやしない。