断片日記

断片と告知

学校

私のアトリエは廃校になった小学校の旧理科室。理科室の向かい側の2部屋は空き教室で、時間貸しでいろんな人達が出入りしている。映画、ドラマ、雑誌の撮影。バレエ教室の子供達。劇団の稽古。日によって毎日違う。面白いのは、劇団の人達とドラマや映画の撮影の人達。叫んだり、突然笑ったり、歌ったりしている。何事か、と思う。廊下の端っこで台本を見ながら自分だけの世界に入っている人もいる。なぜ人前で、どこか違う世界に行けるんだろうか。怖いけれど反面とても羨ましい。彼らはいつでも楽しそうだ。
昨日の撮影。廊下で母と娘の会話。
母「まぁ、美術室。母さん、こう見えても美術には造詣が深いのよ。ちょっと覗いてみましょうよ。」(とてもおだやかな声)
娘「母さん、やめて!」(叫ぶ)「・・・・・・」(娘、何か早口で母に訴えている)
母「それじゃ、母さんご挨拶しとかないと。」(おだやか)
娘「やめてー!」(絶叫)
美術室に入るのにこんなに騒ぐ母娘がいるだろうか。何の撮影か気になったが結局聞かなかった。以前1度だけ、大仕掛けのセットを組んでいるスタッフに何の撮影をしているか聞いたことがある。「入ったばっかなので解らないっす。」そうゆうものなのだろうか。それ以来、聞く気がしない。