断片日記

断片と告知

迷い道

目黒から代官山まで散歩。気温は低いけれど日差しが暖かで、歩いていると背中がポカポカしてくる。あまり考えずに大通りと路地を行ったり来たりする。山手線の中ならば、どんなに無茶な方向に歩こうと、必ずどこかに線路か駅が出てくるので、心細くはない。
歩いている途中に寄った一軒の古本屋。均一台でおもしろいサイン本を見つけた。「私の靴物語」という靴デザイナー・高田喜佐さんの本。見返しの署名が「篠山 紀信様 高田喜佐」と記されている。博物館の古文書並みの虫食い跡があるけれども、おもしろいので買ってしまった。ちなみに高田喜佐さんのお母様は詩人の高田敏子さん。こうゆう有名人同士のサイン本、いったいどうゆう経緯で古本屋の軒先に並ぶようなことになったのか、その事情が気になる。
代官山のギャラリーイッツでイラスト同業者伊藤絵里子さんの個展「青果」を見る。タイトルから想像できるように全部野菜の絵。首の青い大根のたくましいボディが眩しい。曲がったナスのテカッた紫が愛しい。伊藤さんが描くと野菜はみんな丸みをおびてかわいらしくなる。良い絵だな、とシミジミ思う。
夜はアトリエに戻り、地味な作業。オープンアトリエというものを3月の土日にするためにその仕度。気が重い。