断片日記

断片と告知

笑う犬

犬が笑うと知ったのは、チューヤに出会ってからだ。チューヤはN氏の家の中型犬で、毛が長く、夏は苦手で、寒いのは大好き、風呂は嫌いで、カリカリよりも缶詰の柔らかいご飯が好きで、散歩も好きだけど、年を取ってきた最近はちょっとよぼよぼ歩く。そんな犬だ。名前のチューヤは、中原中也からとったもの。そんなチューヤ(犬)とザキちゃん(猫)のいる家に、近くのお寺で拾った子猫を連れて行ったときの、数年前の話。拾ってから数日後、獣医さんで検査してもらい、何も病気を持っていないのを確認してから、3匹をはじめて会わせた。扉から出てきた子猫を見た瞬間、チューヤは確かに「ニヘッ」って感じで笑ったのだ。うれしそうに。あぁ、犬も笑うんだ。犬を飼っている人にしたら当たり前のことかもしれない。でもはじめて見た私には、衝撃だった。それ以来、なんとなく彼らの感情がよく解る気がする。チューヤとキリ(拾った子猫)は今もとても仲良しで、寒い夜は一緒にくっ付いて眠る。そんな2匹を見るのはとても楽しい。