断片日記

断片と告知

トーキョー絶滅危惧種、その2

あれから自販機が気になって仕方がない。どの自販機でも良いわけじゃない。エロ雑誌、もしくは普通の週刊誌の売っている自販機だ。自分の町、よく行く町、めったに行かない町を歩きながら、目は自販機を探している。それなのにどこにもない。30数年生きてきて、雑誌を売っている自販機を見た記憶はある。あの、夜になると銀紙が透けるやつだ。でもその自販機が、どの町のどの路地にあったかが思い出せない。どこにでもあるうちに、1冊くらいは買っておけばよかった。1冊でも自販機でエロ雑誌を買っておけば、そのドキドキした記憶と共に、その自販機だけは忘れなかったはずなのに。後悔はいつも遅い。
東京で絶滅しているならば、自分で買って売ればいいのだ。ネットの海を探し、中古の自販機業者のサイトを見つける。雑誌の自販機の取り扱いもある。その名も「寝ないで働く店員さん」。そして価格を見る。140万か。
どこかに、野人系女子が好みだという、マニアックでお金持ちのおじ様はいないものか。「おじ様、リョーコ、自販機が欲しいの。」そんなおねだりをしてみたい。