断片日記

断片と告知

大塚女子アパートメント

昼過ぎ茗荷谷へ。改札を出て春日通りまで出る。同潤会の大塚女子アパートメントのあった場所が、更地になっている。取り壊すとは聞いていたけれど、本当になくなってしまったのか。見なければよかったと少し思う。見さえしなければ、私の頭の中の茗荷谷には、永遠に大塚女子アパートメントのある景色が残っていたのに。記憶が上塗りされていく。
古いものや、壊されていくものに対して、私の評価は甘くなる。なくなっていくから惜しいと思うのか、それ自体が本当にいいから悲しくなるのか、その点がイマイチはっきりしない。今どこにでもある、飲料水の自販機や、同じ形の家が並ぶ建売住宅や、コンビニや、ファーストフードなんかも、いざなくなるという時には、悲しくなったりするんだろうか。よくわからない。