断片日記

断片と告知

未知との遭遇

夜7時半。アトリエからの帰り道。アトリエそばの図書館の返却ボックスに期限のきれた本をドコンドコンと返し入れ、公園を通り、昔からある寂れた商店街を池袋駅目指して歩いていたときのこと。通り過ぎた路地の奥に何かを見たような気がする。一瞬、野良猫かと思い、次の瞬間に、いや何かが違うだろ、と脳みそが囁く。一歩下がって、通り過ぎた路地を見る。こっちを向いて4つ足で立っているそれ。タヌキだった。数秒間見つめ合い、体をひるがえし、また路地の奥に消えていくタヌキ。雑司が谷や目白にいるとは聞いてはいたが、まさか池袋にもいるとは思わなかった。要町通り、山手通り、川越街道に囲まれているこの地域で、よくぞ生き残っていてくれました。家族はいるのか、友人はいるのか、食べるものはあるのか、いじめられてやしないかと、都会にやった我が子を思う母のような気持ちになる。