断片日記

断片と告知

道路のつくり方

道路工事をしている。ショベルカーで山を切り崩し、山の上から駅の方まで一直線に、新しい道が出来ている。道路予定地にたっていた大きな木は切られ、家は壊され、畑は潰されていく。大きな蟻の巣も掘られた土と一緒にどこかに行ってしまった。数年後に生まれるはずだった蝉の幼虫も生まれる前にどこかに行ってしまった。ここにあったものたちを好きだったけれど、この道が出来てしまえばきっと便利だから、なくなったものたちのことを忘れて私はこの道を歩くんだろう。全ての道がこうして出来ているのかと思うと、そこにあった何かの記憶につまずきそうになる。忘れてしまわなければ、まっすぐ歩くことさえ出来ない。