断片日記

断片と告知

ホープ軒

電車を乗り継ぎ、六本木へ。打ち合わせが終わり、また酒屋でオリオンビールを買い、飲みながら歩く。六本木トンネルを抜け、青山霊園を抜け、246に出る。外苑西通り千駄ヶ谷方面に向かって歩く。そう言えばこの先にはホープ軒があるんだっけ、と思いながら歩く。店の前まできて一瞬悩み、次の瞬間には券売機の前に立っている。ラーメン1杯700円。最後の1000円札を券売機に押し込む。ラーメンのボタンを押すと、カタン、と音がし、プラスティックの食券が落ちる。小銭ばかりになった財布に300円を入れて、立ち食いカウンターに向かう。ラーメンの食券を差し出すと、おじさんが何事かつぶやく。にゃにゃにゃにゃにゃー。聞き取れずにまた聞く。にゃにゃにゃにゃにゃー。三度目でやっと聞き取れる。上にテーブル席もあるよ。ここで大丈夫です、と答える。開けっ放しの、半分外にいるような、この1階の立ち食いカウンターでラーメンが食べたかったのだ。ラーメンはすぐに出来る。目の前に、どん、と置かれたラーメンを見る。モヤシとメンマとチャーシューが、脂ぎったスープの中に浮いている。ネギとニンニクと辛子味噌は各自のお好みでと、カウンターに別に置いてある。モヤシをかき分けて出てきた太い麺をすする。脂がまとわりついて食べても食べてもスープが熱い。あっちーなー、あっちーなー、と食べるたびに脳みそが言う。食べ終わり、ごちそうさま、と店を出る。汗が体中から噴き出している。千駄ヶ谷を通り過ぎ、新宿御苑の横を歩き、明治通りを歩き、結局家まで歩いて帰る。歩いても歩いてもラーメンは消化できず、家に帰ってからも胃が重い。