断片日記

断片と告知

戎に沈む

高田馬場古書往来座の瀬戸さん、わめふり相棒の山本くんと待ち合わせ。東西線に乗り、西荻窪へ行く。今日は、王子の家見学、そして王子行きつけの飲み屋「戎」で飲む、「王子会」なのだ。まず王子の家へ。古く味のあるアパートの1階。玄関を入るとすぐ台所、正面に便所と風呂、左側に畳の6畳間押し入れ天袋付き、がある。6畳間の角には、暮らしの手帖の山、仙台で売る本の山、CDの山、が少しある。壁には王子のトレードマークの白シャツが何枚かかかり、その横には黒いコートがかかっている。小さな丸いちゃぶ台がアクセントのようにポツンと置かれている。何もかもが王子らしい、禁欲的な部屋だ。
古書現世のパロパロ向井も合流して、「戎」へ行く。みちくさ市でご一緒した、文系素敵女子のモノンクルブックスさんもいたので、6人でテーブルを囲み一緒に飲む。で、生ビールの大ジョッキをぐいぐい飲んで、その後サワーも飲んで、としているうちに、意識が飛んだ。椅子で寝ていたのも覚えている。その後、まともに歩けない私を王子と山本くんが捕らわれの宇宙人よろしく引きずって王子の家まで運んでくれたのも覚えている。やはり泥酔していたモノンクルブックスさんが王子の家に転がっていたのも覚えている。
友達の家に転がり込む、そのまま泊まる。布団の中で丸まりながら、絵の学校時代の友人のことを思い出していた。彼女の家も、畳の6畳間で、アパートの1階で、2階からは知らない人の生活の音が聞こえていた。2階から降る、赤の他人の足音と、ジー、となる冷蔵庫の音。そんなものまで10年も経つと、懐かしいと思えてしまうものなのか。