断片日記

断片と告知

歩く距離

アトリエを夜9時に自動的に追い出され、誰と飲む約束もなく、電話をしてつかまえるでもなく、ただまっすぐ家に帰るのが嫌で、コンビニで缶ビールを買う。家のそばまで飲み歩いたが、まだまだ、と体のどこかが言うので、さらに缶チューハイを買う。意味もなく、鬼子母神の周りを歩き、都電の線路で来ない電車の行方を見る。十代の頃、食欲だか性欲だかそれとも違う何かだかに突き動かされ、夜ひたすらに歩いていたのを思い出す。大人になったいま、アルコールのお陰で歩く距離があの頃の半分で済む。