断片日記

断片と告知

アトリエ

「曇天画」の搬入の日からそのままにしていたアトリエを片付け、たまっていたゴミを捨て、少しさっぱりした部屋で久しぶりにぼうっと過ごす。この場所は、廃校になった小学校の理科室で、西向きの広い窓からは高層ビルと高速道路がよく見える。廊下の向いの教室と校庭では大きな機材を持ち込んで何かの撮影をしている。他の階の空き教室からはどこかの劇団の稽古の声が聞こえてくる。防音のはずの音楽室からはバイオリンの練習曲がもれてくる。そして近所の子供たちが裸足で廊下を駆けていく。子どもたち、学生のサークル、大人たちの趣味の集まり、テレビや雑誌の撮影。毎日いろんな人たちが出入りするこの場所は、おしゃれだとか、芸術とかデザインとか、選ばれた人たちだけが出入りできる場所よりもごちゃ混ぜで、だからこそいつでも活気があるように思う。そんな場所で絵を描けることは幸せなのだなと、久しぶりにアトリエの椅子に座りもれてくる音を聞きながら思う。