断片日記

断片と告知

二十五の瞳

隈之城から、鹿児島、博多、小倉、門司、尾道、倉敷、大阪、京都と寄り道をして、6日に東京へ帰ってきました。南のみなさん、西のみなさん、お世話になりました。美味しいご飯を毎日ありがとうございました。南と西の空の陽射しは強く、景色の陰影が濃く、東京へ戻ってから街を歩くと、いつもより景色がぼんやり見えました。晴れていても、東京の空は曇天のように見えました。
鹿児島での個展「スカートの柄」は8月31日まで開催中です。ギャラリーの裏には畑と田んぼが広がり、山の向こうに日が暮れていき、小さな電車がその間を走って行くのが見えました。わたしはいま東京にいるのに、わたしの絵たちはまだ田んぼの中のギャラリーにあるのかと思うと、少し愉快な気持ちになります。

武藤良子個展***スカートの柄***
■期間
2011年8月1日〜31日
(営業時間 9:00〜19:00 初日は12時から/最終日は17時まで)
■住所
ギャラリー「U1 SPACE」(小城製粉、のせ菓楽内)
〒895-0041 鹿児島県薩摩川内市隈之城町1892-1
TEL 0996-22-3447
http://www2.ocn.ne.jp/~kojos/
最寄駅の隈之城へは、九州新幹線川内駅から、鹿児島本線に乗り換えてひとつめ。もしくは鹿児島中央駅から鹿児島本線で11駅目です。

雑司ヶ谷小学校の同級生・樋口毅宏くんの小説に挿画を描きました。「別冊文藝春秋」2011年9月号掲載の新連載「二十五の瞳」です。小豆島が舞台の小説なので、オリーブの枝の絵を描きました。文藝春秋のサイトの立ち読みコーナーで挿画を見ることもできますが、本屋さんで手に取っていただけるとうれしいです。
文藝春秋|雑誌|別冊文藝春秋_1901
仕事の連絡をくださった編集の方は、「イラストレーションファイル」を見て、小説の雰囲気に合う絵だからとたまたまわたしを選んだそうで、その後、同級生だと知って、とても驚かれていました。
小学校を卒業して以来、樋口くんと20数年ぶりに再会したのは、ジュンク堂書店池袋店のトークショー会場でした。亀和田武さんと沖縄の出版社ボーダーインク新城和博さんのトークでした。トークの開始をぼんやりと待つわたしに、金髪の男が話し掛けてきました。間違っていたらごめんなさい、もしかして武藤さんですか?仕事の関係の人だったか、どこかで会った人だったか、頭の中で言葉が回りますが名前が出てきません。そんなわたしを見て、樋口です、雑司ヶ谷小学校の、と金髪の男は笑いながら言いました。めったに行かない六本木のギャラリーに行こうと六本木駅の出口を出た瞬間、試写会に行くつもりが時間も場所も間違えて腹が減ったからラーメン食ったらくそ不味かった、と怒り嘆く樋口くんに会ったことがあります。「イラストレーションファイル」には900人以上のイラストレーターが載っています。だからなんだと言われそうですが、定期的に交わる樋口くんとの不思議な縁、これはいったいなんなんだろうと思います。