断片日記

断片と告知

靴と可喜庵と武相荘

雨なので今日も靴を履く。去年の秋に拾ったTHE NORTH FACEの登山靴。新しい靴が欲しいなぁ、と思って歩いていたら家から徒歩2分の知らない人の家のガレージに「ご自由にお持ちください」と書かれて置いてあったもの。試しに持って帰ってみたら、サイズもぴったり。モスラの幼虫のようなモコモコした形はどうかと思うのだけれど、履いてみるとなかなか似合う。先日の雨の日に履いたアディダスのスニーカーは底に穴が開いていた様で、歩くたびに水が染みてくる。なのでこれからの雨の日は、この登山靴を履こうと思う。
小田急線に乗って鶴川へ。「可喜庵」という江戸時代末期に建てられた古い民家で、浅生ハルミンさんのイラスト展を見る。鶴川に着くと雨がやんでいた。知らない町を歩くのは楽しい。鶴川は新しいビルと家と古いお寺の多い町。丘に沿って新興住宅が建てられている。みんな似たような奇妙な形と色。車の往来の激しい通りをしばらく歩くと可喜庵に着く。この周りだけは別世界で、車道からも近いのにしーんとしている。大きな玄関を入ると、和室がある。ハルミンさんの描いた春夏秋冬の襖絵がある。女の子と猫の春夏秋冬。かわいい。その襖を開けるともう1つ和室。床の間にはハルミンさんの掛け軸。子供が遊んでいる絵。墨で気合一発で描かれた絵。緊張するだろうなぁ。それとも、さささっと描けてしまうものなのだろうか。畳に座ってしばらくぼーっと見る。2年前まで実際に住んでいたそうで、家の中には人とモノの気配が満ちている。知り合いの家に遊びに来たみたい。庭沿いの廊下を歩くと本棚や筆入れや机がそのままになっている。庭の奥には古い犬小屋も見える。廊下の突き当たりを曲がると大きな洋間に出る。額装されたたくさんのイラスト。何を描いてもうまいんだなぁ。また羨ましい病が出そうになる。
KAKIAN
せっかく鶴川まで来たならば、あの有名な「武相荘」にも行ってみよう。月曜火曜は定休日だけれど、せっかくならば門くらいは見てこよう。可喜庵のスタッフさんに教えてもらった道をもりもり歩く。大きな通り沿いのユニクロを入ったところにあの「武相荘」はあった。当然閉まっているけれど、中が少し見れる。猫が歩いていたので呼んでみる。無視して竹薮に消えていった。白州さんちの猫だろうか。次郎さんも正子さんも、まさか目の前にでっかいユニクロが出来るとは思っていなかっただろうなぁ。
旧白洲邸 武相荘 Buaiso