断片日記

断片と告知

遠くへ行きたい

天気もいいし、久しぶりに海も見たいし、これはどこか遠くへ行かないといけないなと思い、あまり遠くないけど横浜へ行く。みなとみらい駅で降り、近くなったり遠くなったりする海を横目で見ながら散歩する。久しぶりの山下公園からの海。水平線は見えないけれど、ここからの眺めはとても好きだ。対岸の工場も煙突も橋も白く光っていてまぶしい。油のように濃く青いトロリとした海と合っている。海の中をじーっと見ていると、横を通ったカップルの女性がちらりと海の中を見て「うわっ、きたないっ」と一言だけ残して去っていった。確かにゴミは浮いているけれど、水深1.7メートルあるのに底の砂まで見えるのは割ときれいな方なんじゃないのかな。海草もひらひらしているし、黒い魚もうようよ泳いでいるし、結構いいと思うんだけど、ダメですか。そうですか。
神奈川県民ホールギャラリーの塩田千春展「沈黙から」を見る。焼け焦げたピアノ。張り巡らされた黒い糸。積み上げられた窓枠。他人の夢の中に入ったような、気持ち悪さと、息苦しさと、少しの興奮。こうゆう作品は、たぶん女性にしか作れない。キキ・スミスと同じ匂いがする。
外に出るともう暗くて、あんなに素敵だった海はどこにあるのかよくわからない。
今日の読書「中国行きのスロウ・ボート RMX」ねえ、・・・どこにも出口なんてない。