断片日記

断片と告知

花見4回目

アトリエで絵を描き、夜は上野へ行く。赤いぼんぼりが桜を赤く染めている。例年よりも早く満開になったからか、いつもより花見客は少ない。でも桜の木の下のあちこちに、車座になって酒を飲んでいる人達を見ると、「これぞ日本の花見です」という気分になる。飛鳥山千鳥ヶ淵靖国神社、どこの桜も見事だけれど、そんな気分になるのは上野の桜だけだ。
公園の桜並木を潜り抜け、芸大前を通り、谷中墓地を抜けて帰る。上野の桜は満開なのに、墓地の桜はところどころ蕾がまだ固い。同じような場所にあるのに不思議なことだ。
夜は桜の匂いがよくわかる。人のいない時間、満開の桜の木の下に立つと、ふわっと桜の香りが体を包む。それは、ちょっと、ぞわっとする瞬間。