断片日記

断片と告知

師匠、再び

神保町の東京古書会館で開催中のアンダーグランド・ブック・カフェへ。「鯉昇、本の街にリターンズ!」というわけで、瀧川鯉昇師匠の落語を聞きに行く。師匠が出てくるだけでもう可笑しい。あの顔なのか、あの動作なのか、歩き方なのか、会場に入って高座に上がってお辞儀をして顔を上げただけで、会場の雰囲気が、ふにゃ、と柔らかくなる。師匠の演目は、「へっつい幽霊」と「佃祭り」の二つ。どちらも面白かったけど、その前の「枕」が好きだ。寒暖計の、自動改札の、あのばかばかしさで、大口開けて笑ってしまう。会場の笑い声で、師匠の声が聞こえないほど盛り上がる。聞こえなくても、何やらパクパクしているあの顔を見ているだけで、また笑ってしまう。あぁ、可笑しかった。楽しい夜だった。アンダーグランド・ブック・カフェは、今回で一応最後ということで、この場所での師匠の落語も最後なのか、そうでないのか、古本に囲まれて聞く落語、というこの素敵な会をまたどこかでやって欲しい。
会場で、林哲夫さんにお会いできたのも、うれしかった。大阪での個展「日曜おんな」を見に来てくださったお礼を言えてよかった。いろんな噂を聞いていますよ、と林さんに言われる。いや、それは、みんな大げさに言いすぎなので、決してそんなことはなく、とぶつぶつ言っていると、林さんの近くの席に座っていた退屈くんが振り向いて笑っている。西秋さんも、タイガー、とつぶやきながら笑っている。