断片日記

断片と告知

みんな夢の中

夢を見た。大阪の環状線の、あれは桜ノ宮駅に着くか着かないかしているとき、車窓から銭湯が見えた。そこがあまりに素敵そうだったので、慌ててホームに降り立ち、次に気づくと銭湯の前に立っていた。素敵そうに見えた銭湯は、目の前にするとそんなに大したこともなく、雑居ビルの1階に間借りしているイマドキの銭湯のように見えた。入るかやめるか思案していると雑居ビルの入り口にある銭湯の受付のおじさんに声をかけられた。木枠の窓にガラスがはまり、受け付けと言うよりは、神社の社務所のように見えるそれ。おじさんは、ガラガラとガラスを開け、何か帳面を見せながら説明をしてくれる。その帳面には、家紋のような記号と、銭湯の歴史が書いてある。パラパラとめくりながら、受付の先を見ると、ビルの1階のはずなのに、玉砂利と灯篭を配した庭があり、どうやらその向こうに銭湯があるようだ。あぁ、そうか。このビルは、「コ」の字型になっていて、中庭があるのか。そんなことを考えているうちに目が覚めた。
夢でも、うつつでも、入り損ねた銭湯ほど悔しいものはない。