断片日記

断片と告知

林檎

竹橋の国立近代美術館へ。「現代美術への視点6 エモーショナル・ドローイング」展を見る。企画展を見ると常設展のチケットもくれるので、それも見る。ここの常設展は、学生の頃から何度も何度も見ている。水彩画や日本画などの劣化しやすいもの以外は、ほとんどいつも同じものが展示してある。ほとんど同じものであるはずなのに、10代の頃と、20代の頃と、30代の半ばを過ぎた今では、目に入ってくる絵が違う。その時々の状況と気分によるブームがあり、ある時はクレーが好きで、ある時は古賀春江しか目に入らず、またある時は長谷川利行を追いかけていた。今も昔もかわらず好きなのは、岸田劉生くらいか。この人の描くものは、人物でも静物でもなんでも好きだ。所蔵作品の中でどれか1つ好きなものをやる、と言われたら、迷うことなく「壺の上に林檎が載って在る 」をいただく。たぶん、この絵だけは、40代になっても、50代になっても、好きだと、何の根拠もなく思う。