断片日記

断片と告知

力と欲

山手線、大江戸線を乗り継ぎ、六本木まで。国立新美術館と、サントリー美術館ピカソ展を見る。国立新美術館のタイトルは「巨匠ピカソ 愛と想像の軌跡」、サントリー美術館のタイトルは「巨匠ピカソ 魂のポートレート」。それぞれそのタイトルそのままの展示構成になっている。こんなにたくさんのピカソを一度に見るのは久しぶりのこと。パワフルなおっさんやなー、という関西弁の突っ込みを入れたくなるほど、どの時代でも、どの画風でも、ピカソの作品には生命力と欲がみなぎっている。絵描きと言えば、繊細で今にも自殺しそうな人を思い浮かべるが、ピカソはそのま逆、殺してもしなない人間に見える。そうした人間がなぜ絵なんて描くことになったのだろうと不思議な気さえしてくるが、もしかしたらタフな人間こそ絵描きに向いているのかもしれないとも思う。どの世界でも、大成するのは、たぶんピカソみたいな人間なんだろう。
ABCで立ち読みをし、青山霊園を通り、新宿の世界堂で買い物をし、そのままなんとなく家まで歩いて帰る。六本木から池袋まで、大した距離ではないが、ピカソに生気を奪われたからか、いつもよりも足が重い。