断片日記

断片と告知

クスクス

今年1番お世話になったAさんとかえる食堂へ行く。たまには昼から忘年会もいいんじゃないの、というわけで女2人カウンターに座りビールで乾杯をする。おつまみで出していただいた海南チキンを食べながら、昼からビールを飲むことの幸せよ。ビールとつまみがなくなった頃、みどりのカレーご飯大盛りを注文する。そのみどりのカレーを食べはじめたとき、ふと気づくとAさんの横に座るかえる食堂常連のSさんが、不思議なカレーを食べている。Sさんは以前も納豆入りのカレーを食べていた人で、今度もまた変なカレーをと思って訊ねてみれば、ご飯のかわりにお皿に盛られている粒々はクスクスだと言う。ご飯が足りなくなったときのかわりがこのクスクスで、カレーにもよく合うらしく、Sさんはたまにこうして食べているらしい。ご飯が足りなくなったのは、私が大盛りを頼んだせいなのに、見ていたら自分も試してみたくなり、少しもらってカレーに混ぜて食べてみる。小麦粉で出来た直径1ミリくらいの粒々。ご飯よりもさっぱりとしていてカレーにもよく馴染む。それにしてもSさんの食に対する熱心さには会うたびに驚かされる。かえる食堂で自腹を切りつついろんな食べ方を独自に研究している。今度はあの食材を持ってくるから、などとかえる食堂の旦那さんと話している。カレーを食べ、シフォンサンデーを食べ、スパイスティを飲み、かえる食堂忘年会版フルコースを堪能して外に出る。池袋までの道のりを歩きながら、Sさんはすごい人だね、とAさんがしきりに感心している。
Aさんと池袋で別れ、高田馬場まで歩き、西武新宿線で井荻まで。以前、関西でのブックカバー展でご一緒した小匙舎さんのイベントに呼んでいただく。今日明日の2日間だけ自宅を開放して小さなお店を開くというこのイベント。地図を頼りにマンションを探し、呼び鈴を鳴らす。ここは、小匙舎の旅担当・しさんの一人暮らしの部屋で、その部屋がきれいに片付けられ、飾り棚や机には小匙舎の商品が美しく並べられている。すでに先客が数人。商品を見ながら、話の輪に入りながら、はじめて来たのに居心地のいい部屋でくつろぎ、ついゆっくりとしてしまう。そして気づくと3時間も経過している。小さなもみの木のボタンを買って部屋を後にする。素敵なイベントだったなと、ついうれしくなり隣り駅の下井草まで歩いてしまう。
小匙舎