断片日記

断片と告知

親指

余所見をしながら包丁を使っていたら、指をざっくりと切った。爪から肉の途中まで包丁の刃が入っていく感触。途中どこかで引き返えすこともできず、食い込んでいく刃が自然に止まるのをただ見つめる。その刃をどうやって指から抜いたのか解らないまま、ふと気づくと、爪の間から血が溢れていく。痛いと感じるのはもう少し後。水で傷口を洗いながら、今日のお風呂はどうしようと、そんなことを考えている。