断片日記

断片と告知

福豆

朝、新聞の折込チラシを見ていると、鬼子母神の節分豆まき、と書かれた1枚に目がいく。そうか今日は節分か、鬼子母神で豆まきか、と知ってしまったら最後、何か行動せねばと「わめぞ」民に電話をする。当日の昼間にいきなり電話をして、3時半からの豆まきに行こうなんて、普通に社会人をしていたら無理だろう。しかし「わめぞ」なら可能なのだ。豆まきに集まったのは、古書往来座の瀬戸さん、退屈くん、Oさん、そして私の4人。鬼子母神に集合して、今か今かと豆まきを待つ。3時半を大分過ぎた頃、やっと豆をまく人たちの入場がはじまる。マイクで紹介されながら境内に作られた高床式の通路に1人1人上がっていく。目白警察署や消防署のお偉方に混じり、芸能人の姿も見える。谷隼人城戸真亜子、そして唐十郎。話し好きのおじさんが、谷隼人城戸真亜子は毎年来ている、たまに体調がいいと菅井きんも来る、芸能人の場合は名前を呼ぶと自分の方に豆を投げてくれる、と教えてくれる。なるほど、と思うが、目の前の通路に芸能人の姿はない。仕方がないので、目の前に立つ誰だかわからない人に手を振ってみる。全員が通路に勢ぞろいしたところで、どーん、どーん、と太鼓が鳴らされ豆がまかれる。豆はそのまままかれるわけではなく、「福豆」と書かれた小さなポチ袋に10粒だか20粒だか入れられてまかれる。ポチ袋なら捕りやすいだろうと思うのだが、これが思うように捕れない。1回で10袋くらいが目の前の宙に舞うのだが、どの袋を捕ろうかと迷った瞬間にこの勝負は負けている。迷う前に、とにかく手を出さないといけないのだ。前の方のおばちゃんたちは、後ろの方にばっかり豆がいく、と文句を言い、後ろの方のおばちゃんたちは、前にばっかり豆がいく、と怒っている。豆まきは3回行われ、捕れた数は12袋。ポチ袋は、豆しか入っていない袋、豆と小さなお菓子がはいっている袋、そして金色の観音様が入っている当たりの袋、の3種類あるのだが、わめぞ民が捕った袋は豆とお菓子のものばかり。つくづく金目のものには縁がないのだ。