断片日記

断片と告知

招く

早起き、のち税務署。確定申告を済ます。わずかな金額とはいえ、源泉徴収で引かれた分が戻ってくることのうれしさよ。
昼前、要町駅で大阪の絵描き・つき山いくよさんと待ち合わせ。かえる食堂でカレーとシフォンサンデーを食べる。つき山さんの個展の話、絵の話、大阪の話など、ポツリポツリと話す。つき山さんは大阪のギャラリーiTohenで知り合った絵描きの1人。iTohenで個展をしなかったら、大阪に行かなかったら、会わなかったかもしれなかった人たちの顔が浮かぶ。何かの縁で、誰かと出会い、繋がりができること。いつも不思議に思う。
つき山さんのリクエストで、西池袋にある自由学園明日館へ。400円払って中へ入る。しょっちゅう建物の前は通るものの、ちゃんとお金を払って見学するのははじめてだ。前庭を囲むようにいくつかの部屋があり、中央には食堂とホールがある。洋館なのに天井は低く、椅子やテーブルの背も低い。学校とはいえ、ひと昔前の日本人は、こんなにも小さかったのだろうか。前庭に植わる桜が咲く頃、今度はお花見をしに来ようと思う。
http://www.jiyu.jp/tatemono/myonichi.html
ポポタムに寄ってから、つき山さんを目白駅まで送る。アトリエに戻り、野暮用を済ませ、有楽町線で有楽町まで。何度見ても、有楽町駅周辺の様変わりした姿に目が慣れない。慣れ親しんだ風景が目に入るまで、なんとなくうつむき加減で早足になる。新橋まで歩き、汐留ミュージアムで「ルオー収蔵作品展 色の秘密」を見る。色の秘密と題された展覧会なのに、モノクロの版画の方が面白い。「ユビュ親父の再生」シリーズが見てて楽しく、何度も前を行ったり来たり。版画の黒い線を目で追っていく。
新橋駅の雑踏を抜け、小さな飲み屋街を抜けると、大きなビルが立ち並ぶビジネス街になる。「東京美術倶楽部」と書かれたひときわ立派なビルの前に立ち、これは場違いである、と悟ったもののここまで来て今さら後には引けず。いつ海原雄山が現れてもおかしくないような雰囲気に飲まれながら、なんとかこらえて中に入る。チケットを切ってもらい、エレベーターで4階に上がる。林哲夫さんが出展している「東美アートフェア春 2009」を見る。画廊ごとにブースが仕切られ、絵が飾られ、その前にはスーツのおじさんがにこやかに立っている。いつも行くようなイラストのギャラリーとはあまりにも雰囲気が違う。絵の値段も、ゼロが2つ以上は多い。アートフェアだからか、派手な、きらきらした絵が多い。その中で、林さんの絵だけが、しーん、と静かに切り取られている。ボロボロの岩波文庫。使い切った絵の具のチュウブ。日にちが経って切り口が乾いてしまったようなパン。白い画面の中にそんなものたちが、ぽつ、っといる。見ていると、緊張していた気持ちがどこかに行って、いつの間にか心が落ち着いていることに気づく。
東美アートフェア春 : daily-sumus