断片日記

断片と告知

みちくさ市でした

朝6時半、起床。仕度をして、8時前に家を出る。チョモランマを押しながらけやき並木の入り口、第2みちくさ案内所を目指す。到着と共に、立石書店ブルゴーニュ岡島さんの運転する車も到着。荷台から本と什器を降ろす。什器を組み立て、本を詰め、レジを設営する。風が吹くたびに、頭上に生い茂るけやきの葉から、昨日の雨の残りが滴り落ちてくる。濡れないように本の上にはビニールシートをかけ、人間は濡れても大丈夫なので雨粒を浴びながら作業をする。第2みちくさ案内所での仕度を終え、今度は出店者の方々の案内係をする。都電の踏み切り辺りに立ち、大きな荷物を抱えてやってくる出店者の方たちをブースまで案内し、注意事項をいくつか伝える。10時頃、ゆるゆると「みちくさ市」がはじまる。腹が減ったので、ブルゴーニュ岡島さんに金をせびり、おにぎりと飲み物を買いに行く。人数分のおにぎりと缶ビールとお茶。今日は午後から個展会場に行くので酒は飲むのはやめておこうと密かに誓っていたのだが、どうせ飲むんだろ、とブルゴーニュに言われ、あっけなく陥落する。春というよりは初夏のような陽射しと風。仕方がない仕方がないよ、と自分に言い聞かせ缶ビールを飲む。あぁ、おいしい。午前中のまったりとした時間の中で、本はゆっくりと売れていく。ビールを飲んで、おにぎりを食べて、けやきの木の下で本を売る。こんなに気持ちのいいことはない。
12時になり、遊びに来ていた「音の台所」さんと一緒に要町の個展会場を目指す。雑司ヶ谷から要町までの2駅分の散歩。池袋の西口に出て、要町通りを歩く。ゆるやかな坂になっているこの道は、眼下に要町や千川の町並みを見ることが出来る。今日はその町やビルの向こうに、どこか遠くの青い山並みが見えた。何度も歩いている道なのに山が見えたのはじめてのことで、たったそれだけのことなのに、なぜかうれしくなぜか幸せな気持ちになる。
昼1時から夜7時までギャラリーに篭る。知人、友人、はじめての方、このブログを読んでくださっている方、ひっきりなしにご来場くださり、ずっとしゃべって、ずっと笑っていたような気がする。ご来場いただいたみなさま、どうもありがとうございます。
そんな幸せいっぱいの気分の中、ブルゴーニュ岡島さんから電話。幾らにすんだよこっちも慈善事業でやってるわけじゃねーんだからよ。本当に貧乏なんです今回はこれだけで勘弁してください。ヤクザの取り立てではなく、「みちくさ市」の売上から引かれる6月の仙台行きの強制積立金の話です。それも今回の積立金を三千円にするか二千円にするかという誠に小さな話です。今月の生活がかかっているんですとお願いし、なんとか二千円にしてもらう。家族に内緒で闇金に手を出し家族団欒の最中に督促の電話をもらって焦るお父さんの気持ちがなんとなくわかりました。辛いです。
金もなく、野暮用もあり、「みちくさ市」の打ち上げにも参加せず、とぼとぼと家に帰る。全部、貧乏が悪いんです。