断片日記

断片と告知

縁結び

仙台には行ったけれど、それ以外は家とアトリエとの往復で、ほぼ引き篭もりの日々。これではイカンと、久しぶりに青山に行く。
HBギャラリーで櫻井乃梨子さんの個展「LINE」を見る。アメリカの砂漠と山と町と人が、シンプルな線で描かれている。絵を描くためだけにアリゾナまで行ってきた、と櫻井さんが言う。資料写真ではなく、直接見てきた人だけが描ける本物さを絵から感じる。
お互いに作品は知っていたが本人同士は面識のなかった櫻井さんと私を結びつけたのは、神保町の西秋書店2代目・西秋学さんだ。神保町古書会館でおこなわれていた古書イベント「アンダーグランド・ブック・カフェ」。その会期中ロビーに絵を展示しないかと西秋さんに誘われ、打ち合わせの帰り道、友人がもうすぐ個展をするんだ、と差し出されたのが櫻井さんのDMだった。それが確か2006年の春ごろ。それ以来、櫻井さんとはお互いの展示を行き来し、たまに酒を飲んだりしている。
副都心線西早稲田に出る。古書現世で悪態をついてから、早稲田鶴巻町にあるギャラリーLIFTで北村範史さんの個展「スカート」を見る。細い道、印刷工場に囲まれた、その中にここが早稲田かと思うようなギャラリーがある。1階と地下1階にわかれた真っ白な空間を、北村さんの描く透明な水彩画が埋めている。スカートから伸びた足、枯れたヒヤシンス、鳥のモビール。この場所によく似合っている。小さな布のバッグをひとつ買う。あいかわらずの金欠病だが、それでも買わずにおれないほど、このバッグはかわい過ぎた。