断片日記

断片と告知

蛍光灯と虫

アトリエの窓に網戸はない。夏のこの時期、開けっ放しの窓からは、蛍光灯の明かりめざしてよく虫が飛び込んでくる。ある日はトンボ、ある日は蛾、ある日は甲虫が、飛び込んできては蛍光灯にぶち当たり、ぶぶぶ、と嫌な音をたて、また懲りずに蛍光灯にぶつかっていく。申し訳ないと思いつつ、手も届かないのでほって帰る。あくる日、昨日の虫はどうなったかしらと、あちこち見渡すがどこにもいない。知らない間に窓から出ていればいいが、部屋のどこかに干からびた虫の墓場があったら嫌だ。