断片日記

断片と告知

秋晴れ

昼、かえる食堂へ行く。何も予定はないのだ。なので昼からビールを飲む。朝飯を食べていない空きっ腹に、冷えたビールが染み込んでいく。おつまみを出していただく。ハイナンチキンと、その上にのっているのは新ショウガを醤油と酒に漬けて千切りにしたもの。チキンとショウガ、一緒に食べても、別々に食べても、とてもおいしい。減るのがもったいなく、ちびちびと意地汚く食べる。いつものみどりのカレーご飯大盛り辛めを頼む。そしてビールをもう1本。
招待券をいただいたので、本郷の弥生美術館に行こうと思う。池袋から丸の内線で本郷三丁目まで、そこから歩いて10分15分か。のつもりが、重たいお腹を少しでも減らすべく、酔いを醒ますべく、歩いていくことにする。池袋の西口から東口へ、サンシャイン60の横を抜け春日通りへ、左折して不忍通りを歩き、小石川植物園の横を抜け、少しずつ本郷に近づいていく。植物園の塀沿いの道には印刷所・製本所が連なっている。歩いている間中、カシャンカシャン、と印刷機の回る音が必ずどこかから聞こえてくる。植物園に面して建っている春陽堂書店の社屋の格好良さに痺れる。
弥生美術館と竹久夢二美術館は同じ敷地内にあり、渡り廊下で繋がっている。竹久夢二美術館では「夢二装幀事始展 夢二で見る近代日本装幀のあゆみ」を、弥生美術館では「少女の友」展と「安野モヨコ展 レトロモダンな世界」を見ることができる。「少女の友」展では時代とともに変わっていく挿絵の少女たちの姿が興味深く、繊細で美しい付録に驚き、安野モヨコが描く少女たちも現代の少女画として見れば違和感がなく面白く。「夢二装幀事始展」では恩地孝四郎の装丁に惚れ直し、杉浦非水の装丁した「小説渦巻」の懲り過ぎに笑う。絵・夢二、装丁・恩地の「どんたく」。カバーの裏は応募ハガキになっていて、切り取って送れるようになっている。当選者は夢二の絵がもらえるというのはうれしいが、カバーのタイトルと鳥の絵の部分を丸々ハガキ大に切り取るのはかなりの勇気がいる。
後楽園まで歩き、家に帰る。なんでもない、いつもと同じ一日。それでも今日は私の誕生日でした。