断片日記

断片と告知

先生と私

新宿へ行く。短大時代の友人と、学科の先生と、先輩、の4人で飲む。マルイの前で待ち合わせ、どこにする、決めてないのかよ、と言いながら三丁目のほうにぶらぶらと歩く。新宿末廣亭のある三丁目は、小さな飲み屋がこれでもかと集まる、新宿の中でもお気に入りの一郭だ。自家製ラー油がおいしいんだよ、と先輩がすすめる中華料理屋はすでにいっぱい。金曜の夜にあまり空いているのもね、と道に面して口を開けている飲み屋を覗きながらさまよう。探すのにも飽きて、結局空いている飲み屋に吸い込まれる。生ビール1杯目105円しか取柄のない店。座った途端に後悔し、4人で文句を言い合う。空いているのに2時間制ってどーゆーことよ。つまみの量少ないし値段高いよ。先生と先輩に会うのは久しぶりのこと。こんなどうでもいい会話で、会わなかった数年の時間と距離をはかり、埋めていくのに利用する。先生、白髪が増えた。先輩、あいかわらず。私が18歳だったころ先生は35歳で、今の私よりも若かった。そんな話がなぜか切ない。
さっさと次の店に行こう言いながら、私は生ビールを3杯飲み干し、先生と先輩は日本酒を飲み干し、席を立つ。2軒目は、先生お気に入りの歌舞伎町の中華料理屋。新宿区役所の裏、一見さんはとてもじゃないけど入れない店、そんなお店を教えてもらうのはとてもうれしい。飯もつまみも美味くて量があって値段も妥当。はじめからこっちに来れば良かったじゃん、と先生を責める。すでに腹がいっぱいのところに、美味しそうだから、と欲張って頼んだ皿がテーブルに並ぶ。ここ肉まんが美味いんだよ、土産に包んでもらうか、と先生に言われれば、いや今すぐホカホカのを食べたい、と言い張りさらに腹がいっぱいになる。3軒目はゴールデン街だ、と叫ぶ3人を見送り、ひとり雑司ヶ谷まで歩いて帰る。もう、何も飲めないし、何も食べられない。