断片日記

断片と告知

ことほぎギャラリー

鬼子母神の手前にはけやき並木の参道がある。都電の線路を背にして歩けば、右手に「キアズマ珈琲」があり、その数軒先に気になる家がある。玄関の扉の横に奥行きのあるガラス窓があり、それはどうやら小さなギャラリーのようで、月ごとに展示が変わり、けやき並木を歩く人たちの足をとめる。個人宅なのか、お店なのか、判断に迷う。前を歩くたびに、この家はなんなのか、と不思議に思う。
ある日、その不思議なギャラリーから、絵を飾りませんか、とメールが届き驚く。家が近所だと、前から気になっていたのだと返信すれば、あちらも驚く。いつかこの場所を改装してギャラリーを開きたいのだと、小さなギャラリーの人は言う。小さなガラス窓の中に、額装した絵を3点、最近挿画を描いた本を4点、飾らせていただく。花の絵ばかりなのは、ここ数日の空気がすでに春だからか。3月の中旬まで。小さなギャラリーは、ことほぎギャラリー、という。